ターボ機能がついている車には「インタークーラー」という装置がついていることが多いです。この装置は主にターボ機能を安定させるためのものなのですが、設置場所によっては外観にも影響するため、好みで設置場所を変える方もいます。使っているうちに経年劣化で中に汚れがたまりその性能が落ちてしまいますが、自分で修理ができる方であれば、洗浄剤などを使って中を清掃することも可能です。今回はそんなインタークーラーについて解説します。
インタークーラーとは?
インタークーラーとは、車の「ターボ」の性能を維持するために必要な冷却装置ですが、ターボ機能がついている車種でもインタークーラーがついているタイプとついていないタイプがあり、また設置されている位置なども異なります。
そもそもターボとは
ターボとは、排気(=外に出す空気の流れ)を利用してエンジンに空気を取り入れ、少ない排気で大きなパワーを得る機能で、装置自体は「ターボチャージャー」と呼ばれます。
排気量は軽自動車では2018年時点で660ccという上限が決まっていて、少ない車種ほど税金が安くなるなど、できるだけ抑えたいと考えられる部分。そのため、ターボ機能をつけて排気量を抑え、走行力がある車種を製造することはメリットがあるのです。
ただしターボ車は燃料を多く使うため、燃費が悪くなったりエンジン温度が上昇しやすいというデメリットもあり、このデメリットを少しでも抑える目的として設置されているのがインタークーラーです。
ターボからエンジンに送り込まれる熱気を冷却させる役割
車にターボがかかった際、ターボチャージャーについている羽根が空気圧縮機であるコンプレッサーを回転させて空気を圧縮します。このコンプレッサーが動くとエンジン内の温度が上昇してしまうため、そのままだと熱い空気をエンジンに送り込むことになってしまいます。コンプレッサーに、より熱くなった空気をエンジンに送る前段階で冷やすため、圧縮された空気の通り道とエンジンとの間に設置されている冷却装置がインタークーラーなのです。
「前置き」「中置き」などの配置により冷却効果が異なる
設置する位置により冷却の効果は変わってきます。一般的にエンジンルーム内に置く「中置き」は、エンジンとの距離が縮まるため冷却をする機能自体は高くなるメリットはありますが、エンジンルーム内に機械が増えるため、熱をもった空気がこもりがちになってしまうのがデメリットです。
また「前置き」は、エンジンから離れるために冷却機能自体は下がってしまうものの、バンパーから見える部分に取りつけることになるため、風がよく当たるようになり冷却効果が高まる傾向があります。エンジンルーム内の他の装置の配置や構造なども影響するため、一概にどちらであれば必ず冷却効果が高くなるとは断言できないので、注意が必要です。
「前置き」と「中置き」の2つの違いは冷却効果だけではなく、エンジン保護の目的や外観部分、重量のバランスなどでも違いがあります。特に保護や外観的な面で位置を変更する方も多いです。前置きはバンパー部分から見えるため、外観のかっこよさや見栄えが良くなるものの、バンパー部分をぶつけてしまったり下をこすることでインタークーラーにもダメージを与えやすくなってしまいます。
反対に中置きであれば、エンジンルーム内という内部に置かれるため、衝撃からは保護されるものの、見た目の良さがなくなってしまうという点があります。車種によって、どの点を重視するかで設置位置が異なってくるのです。保護の目的で実際には中置きしつつも、外観目当てでダミーのインタークーラーを取りつけるという方もいます。
熱気を冷やす必要性とは
エンジンの温度を冷やす理由としては、エンジン内の温度が上昇しているとターボの効果が薄れてしまうためです。空気が温まっていると点火プラグの火花が発生するのとガソリン着火のタイミングがずれる「ノッキング」という現象が発生してしまいます。
ノッキングとは、「キンキン」や「カラカラ」といった音がなる現象です。本来とはタイミングがずれているエンジンの異常燃焼のため、発生することで走行に影響を与えてしまいます。冷却し温度の上昇を抑えることでノッキングの発生が少なくなり、正常な動作を維持して走行が安定します。またエンジンに送られる空気が冷えていると押し込む圧力も上がるので、高いエンジン出力を維持することが可能となります。
インタークーラーの洗浄方法
インタークーラーは使用を続けているうちにゴミなどがたまり汚れてしまいます。汚れたまま放置していると性能も下がってしまうので、たまに掃除をしてあげましょう。インタークーラーの洗浄で用意するのは以下のものがあります。
・中身を洗浄するためのパーツ洗浄剤もしくはホワイトガソリン
・穴を塞ぐためのガーゼか布
・手を汚さないようにするためのゴム手袋
・インタークーラーを取り出すための工具
注意点として、中身の洗浄に水を使用するとサビの原因につながるので絶対に使用しないようにしましょう。洗浄手順は以下のとおりです。
1. インタークーラーの取り外し
それぞれの車種や設置位置によって異なりますが、まずはインタークーラーをとりはずします。
前置きに設置しているのであればバンパーを外し、下部のカバー関連もひととおり外しておかなければインタークーラーを取り出すことができません。中置きにしているのであれば、ボンネットをあけてエンジンルームが見える状態からエンジンカバーを取り外します。
次にイン、アウトの順番に取り外してバルブに接続されているホースも外します。車種によってはこの工程でいくつかのピンを外すこともあります。
2. 洗浄準備
インタークーラー取り出したら、まずは自分の手が汚れないようにゴム手袋などを装着し、インタークーラーの穴部分から洗浄する液体が流れでないように入り口一箇所を除いて他をガーゼか布で塞ぎます。
3. 洗浄開始
空いている入り口部分から洗浄液やホワイトガソリンを流し込み、入り口を塞いだ状態でインタークーラーを振ります。そして入り口を空けて中に入れたホワイトガソリンや洗浄液を外に出しますが、かなり黒くなっているはずです。この洗浄を3〜4回程繰り返して出てくる液が綺麗になってきたら洗浄完了です。中を覗いてみても綺麗になっていることがわかります。
4. 充分な乾燥
洗浄が終わったら日光にあてて充分乾燥させましょう。乾燥が充分でないと装着後に残っている洗剤やガソリンが多くエンジンに流れ込んでしまい、トラブルが発生していまいます。エンジンが壊れてしまうこともあるので、乾燥している日に外に一日置くのが無難です。急いでいるときはドライヤーや扇風機で風を当てるのも良いでしょう。
5. インタークーラーの設置
しっかりと乾燥できたら、後は元通りに装着すれば完了です。
インタークーラーの交換方法
インタークーラーが古くなってきて交換が必要な場合や、別の製品に交換したい場合も出てきます。交換手順は洗浄のときと同様で以下の通りです。
1. インタークーラーの取り外し
まずはインタークーラーを外します。ボンネットをあけてイン、アウトの順で接続部分を外し、バルブと接続されているホースや止められているピンなどをすべて外します。
2. インタークーラーの交換
インタークーラーが取り出せたら新しいものと交換します。
3. 新しいインタークーラーの設置
洗浄ではないため乾かす時間が不要で、新しいものを取り付けて元通りに設置すれば、交換はこれで完了です。
インタークーラーはターボに必須
インタークーラーはターボ機能がついている車の安定走行には必要な装置で、その位置によって外観や冷却効果が変わってきます。長期間使用していると汚れにより性能が下がってくることもあるので、すぐに車のエンジンが熱くなると感じたら、インタークーラーの清掃をしてみましょう。ただしエンジン周りの部品を外すことになるので、作業には充分な知識をもった人が行うようにしてください。
制作:工場タイムズ編集部