QC検定に合格し取得できる資格に対して、企業の評価は年々上昇傾向にあります。就職・転職の際には大きなアピールポイントといえます。
またこの資格は対象とする分野が広いこともあり、現在は就職・転職をする予定がなくても、将来的には大変役に立つことが考えられます。
ここでは、そのQC検定の基礎知識やメリット、受験方法などについて解説していきます。
QC検定とは?
そもそもQC検定の存在を知らないという方もいらっしゃるかもしれません。ここでは最初に、その基礎知識をご紹介します。
QC検定の基礎知識
QC検定は「品質管理検定」と呼ばれることもあります。それによって取得できる資格は、品質管理についての知識レベルを証明するものとなり、たとえば製造業であれば部品の品質、接客業であれば接客時の対応方法の良し悪しなどのチェック能力を証明することができます。対象となる分野は非常に幅広く、あらゆるモノやサービスの質の管理において意義のある資格です。
QC検定試験
QC検定試験は2005年にスタートした比較的新しい試験でもあります。その方式は品質管理に関する幅広い知識を問う筆記試験となっており、日本全国で実施されている試験には、学生から社会人まで幅広い方が参加しています。
この試験によって取得できる資格は、4級、3級、2級、準1級、1級の5段階となっており、職種やポジションによって必要となる知識レベルは異なります。また、準1級は1級試験の合格基準の一部を満たした受験者が認定されます。一方で受験資格に制限はないため、比較的気軽に受験することが可能な試験でもあります。
また、QC検定では受験料が必要となり、金額は1級が8,220円、2級が5,140円、3級が4,110円、4級が3,080円となっています。併願や繰り返し受験の場合は受験料が割引されるため、詳しくはQC検定を運営する一般財団法人日本規格協会のホームページをご確認ください。
QC検定のレベルと階級
続いては上述した階級に関し、各々で必要とされる知識量や対象者について解説していきたいと思います。
4級
4級では品質管理に関わる基本知識の理解が必要となります。品質管理に関する学習を始めたばかりの人であれば、年齢や職業にかかわらず、4級からのスタートとなります。合格基準は総合得点の概ね70%以上とされており、それに応じた十分な対策を練る必要があります。
3級
若干レベルが上がり、「パレート図」、「特性要因図」、「グラフ」、「チェックシート」、「ヒストグラム」、「散布図」、「層別」のQC七つ道具の使い方の十分な理解が必要です。実務経験があり、サポートがあればある程度の問題解決ができる方や、ある程度の品質管理に関する学習を継続して行ってきた学生などが対象となります。合格基準は、「出題を手法分野・実践分野に分類し、各分野概ね50%以上」、「総合得点概ね70%以上」の両方を満たす必要があることが公表されています。
2級
さらにレベルが上がり、QC七つ道具と新QC七つ道具の使い方を理解している必要があります。3級レベル以上の実践的な問題解決能力を有し、率先して品質管理が行える方や、実際に品質管理に関わる仕事に従事している方などが対象となります。また、合格基準は3級と同様で、「出題を手法分野・実践分野に分類し、各分野概ね50%以上」、「総合得点概ね70%以上」の両方を満たす必要があることが公表されています。
準1級/1級
品質管理活動のリーダーとして期待されるレベルの知識と、複雑な問題でも解決できる能力をあわせもつ上級者が対象となります。1級は品質管理の経験者でも難易度が高く、特に多くの知識と経験が必要となります。
1級の合格基準は、「一次試験(手法分野、実践分野)で各分野の得点が概ね50%以上、および、総合得点(手法分野+実践分野)が概ね70%以上」、「二次試験(論述)で得点が概ね50%以上」、「総合得点(一次・二次試験の合計点)が概ね70%以上」の3点が決められています。また、このうち「一次試験(手法分野、実践分野)で各分野の得点が概ね50%以上、および、総合得点(手法分野+実践分野)が概ね70%以上」のみを満たした場合は準1級に認定されます。
このようにQC検定は階級ごとにレベルや対象者が異なるため、自身がどのレベルにあるのかという点もしっかりと把握する必要があります。また、QC検定の過去問はネット上で簡単に入手することができるため、問題の傾向を把握し、対策を練ることも比較的容易です。
QC検定を取得するメリット
上述したように、QC検定は就職や転職において大きなメリットがあります。続いては、その詳細について解説します。
基礎から応用に至るまで幅広い知識の習得が可能
QC検定の資格取得のための学習では、品質管理に関する幅広い知識を習得できます。その幅は階級が上がるに従って広がっていくため、継続した学習をするだけの価値が十二分にあります。また、知識を理解しておくことで、業務を通してさらに成長ができるため、学習と並行して実務経験を積めば、より充実したスキルを身につけることができます。
就職・転職時に役に立つ
職種、分野に関係なく、日本のほとんどの企業では広義的な品質管理を行っています。そのため、QC検定の資格を採用時や働く上で必要な知識として評価している会社は非常に多く、採用時に大きなアピールポイントとなるという点で大きなメリットがあります。
QC検定を受験するには?
続いてはQC検定の申し込み方法や試験の概要、結果発表までの流れについて解説します。
通常、QC検定の試験は年2回開催されており、開催月は9月と3月となっています。具体的な日時は毎年異なるため、その都度確認するようにしてください。
申し込みはQC検定を運営している一般財団法人日本規格協会のホームページ、もしくは払込取扱票で行うこととなっています。申込期限もまた、開催日時と同様に毎年異なるため、その都度確認するようにしましょう。申し込みが完了すると受験票が届きますので、顔写真を貼り、試験当日も忘れず持参してください。
試験時間は、1級が13:30~15:30(120分)、2級が10:30~12:00(90分)、3級が13:30~15:00(90分)、4級が10:30~12:00(90分)と定められています。また、試験方法は1級がマークシートと論述方式で、それ以外の級はマークシートのみです。1~3級の試験では電卓が必要です。忘れずに持参してください。
試験終了1カ月後からWebサイト上で合否の確認ができます。また、2カ月後には試験結果通知が届きます。
QC検定の資格は製造業や接客業などの幅広い仕事で役立ちます。そのため、現在進行形で品質管理に関係する仕事に従事している方は、キャリアアップの一環として資格取得を目指すことができます。また、進路や就きたい職業が決まっていない学生などの場合でも、まずは取得を目指して、そこから進路を決めることができるという点でも大変魅力的な資格といえます。
また、QC検定の受験資格には実務経験を有していることが明記されていないため、より気軽に受けることができるという点もまた大きな特徴となります。今回ご紹介した内容を参考に、受験を考えてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2018年3月26日現在の情報をもとに執筆いたしました。
制作:工場タイムズ編集部