自動車をはじめとした機器に装着され「エアクリーナー」と呼ばれることもある「エアフィルター」。その役割としては、機器の中を循環する空気の処理が主なものとなっていますが、具体的な処理方法に関しては、装着される機器によって異なります。
今回は、そんなエアフィルターの基礎知識と期待できる効果、交換時期についてご紹介します。
エアフィルターの基礎知識
そもそも「エアフィルター」って何? という方も多いことでしょう。そこで、最初にエアフィルターの基礎知識をご紹介したいと思います。
主に自動車に装着するものを指す
単に「エアフィルター」といってもその種類はさまざまであり、機器によって異なるタイプのエアフィルターが装着されています。広い意味でのエアフィルターは、内部に空気が循環している多くの機器に装着されており、私たちの身の回りにも数多くのエアフィルターがあります。
しかし、一般的にエアフィルターというと、自動車に取りつけられているものを指すことが多く、自動車以外に取りつけられているエアフィルターの中には、別の名称で呼ばれているものも少なくありません。
ここでは自動車に搭載されたものに限定したエアフィルターについてご紹介します。
吸入した空気を処理する
エアフィルターは、そこを通過する空気を処理し、その機器にとって最適な状態になった空気を機器の内部に送り込むことを主な役割としています。例えば、自動車を正常な状態に保つためには車の心臓部であるエンジンにきれいな空気を送らなければなりませんが、エアフィルターが搭載されていることで、このような空気の処理も正常に行われます。
エアフィルターとエアコンフィルターの違い
自動車に搭載されたエアフィルターとエアコンフィルターを混同されている方は少なくありません。しかし、この2つにははっきりとした違いがあります。
自動車に搭載されたエアフィルターは、エンジンの内部に送り込む空気の処理を主な役割としていることから、多くの場合、ボンネットの中に装着されています。
それに対して、エアコンフィルターはエアコンの周辺に搭載されており、多くの場合、自動車のダッシュボード内部に搭載されています。また、エアコンフィルターはエアコンから出る空気を処理するという点でもエアフィルターとは大きな違いがあります。
3種類のエアフィルターがある
エアフィルターは、「乾式」「湿式」「ビスカス式」の3種類に分けることができます。
乾式エアフィルター
このうち乾式のエアフィルターは、紙や不織布でできているため洗浄ができず、定期的な交換が必要であるという特徴があります。
湿式エアフィルター
湿式のエアフィルターはウレタンなどでできているため、洗浄することができます。
ビスカス式エアフィルター
一方、ビスカス式エアフィルターはビスカスオイルを浸透させたろ紙を利用した特殊な構造になっており、塵埃や汚れを落としやすくなっているものの洗浄はできません。
このようにエアフィルターは種類によって特徴が異なるため、用途に合ったものを選ぶのも重要です。
エアフィルターに期待できる効果
エアフィルターを装着した場合、以下のような効果が期待できます。
エンジンにきれいな空気を取り込む
エンジンは稼働している最中に空気を取り込みますが、その空気に含まれる塵埃が内部にたまってしまうと正常に動かなくなってしまいます。
自動車のボンネット内部に取りつけられたエアフィルターは、このようなエンジンに取り込まれる空気から塵埃を除去し、エンジンが正常に動くよう状態を整えることを主な役割としています。
燃費の向上
取り込んだ空気に含まれていた塵埃がエンジン内にたまってしまうと、燃費は徐々に悪くなってしまいます。エアフィルターをエンジン近くに装着すると、このような空気中に含まれる塵埃を除去できることから、エアフィルターがない状態に比べると格段に燃費が向上します。
エンジンを長持ちさせる
エンジンは消耗品であり、利用方法次第ではすぐに劣化し、交換が必要になってしまうケースもあります。
内部に塵埃がたまってしまったエンジンは、燃費が悪くなるだけでなく、寿命も短くなりがちであるため、エアフィルターにはエンジンを長持ちさせる効果も期待できます。
室内の空気清浄
空気清浄機に搭載されたエアフィルターは、室内の空気を機器内部に循環させることで、空気中に含まれる塵埃を除去します。このことから、エアフィルターには室内の空気清浄効果も期待できます。
このようなエアフィルターの空気清浄効果は、一般家庭だけでなく、精密機器の製造を行う工場や生鮮食品を取り扱う施設でも活用されています。
エアフィルターの交換時期
エアフィルターは交換時期を守らないと十分な効果を得られないことがあります。続いては、エアフィルターの交換時期について確認していきましょう。
エアフィルターは消耗品
エアフィルターには先ほどご紹介した通りの3つのタイプがありますが、いずれのタイプでもフィルターには徐々に空気中から除去した塵埃がたまっていきます。湿式フィルターの場合、洗浄ができるため寿命は若干長いですが、一定期間利用を続けるとその性能は大きく低下してしまいます。
このことから、エアフィルターはどのタイプのものでも利用限度があり、消耗品であると考える必要があります。
走行距離10万キロ~20万キロが目安
エアフィルターの交換時期は、利用環境や利用頻度によって大きく異なるため、一概にいうことはできず、商品のパッケージに記載された内容や交換を依頼した業者のアドバイスを参考にする必要があります。
一方、エアフィルターの交換時期は走行距離から判断できるともいわれており、走行距離が10万キロ~20万キロの間に達したら交換時期と考えるのがよいでしょう。ただし、エアフィルターの劣化速度は、空気中の塵埃が多い都市部で10万キロ走った場合と、空気がきれいな郊外などで10万キロ走った場合では大きく異なるため、あくまでも走行距離の基準は目安であると考えるようにしましょう。
交換は業者に行ってもらうのがおすすめ
自動車のボンネット内部に取りつけられたエアフィルターは、エンジンが吸い込む空気をきれいにするのが役割であるため、エンジンの近くに装着されています。そのため、専門的な知識がない人がエアフィルターの交換を行うと自動車の心臓部であるエンジンに影響が出てしまう危険性があります。
また、場合によってはエアフィルターの交換がまだ必要ないこともあるため、検査も含めてエアフィルターの交換は業者に任せるのがおすすめです。
定期的なセルフチェックも重要
エアフィルターは寿命がきていなくても、大きな塵埃が引っかかることやカビが発生することなどによって急速に劣化してしまうことがあります。よって、エアフィルターの利用においては定期的なセルフチェックを行うことも重要です。
エアフィルターのセルフチェックでは、エアフィルターを目視し、大きな塵埃の引っかかりや破れ、カビの発生がないか確認します。また、カビが発生したエアフィルターは全体が黒く変色するため、未使用状態のエアフィルターの色も覚えておくようにしましょう。
自動車を長持ちさせるため、エアフィルターのチェックはこまめに行おう!
自動車の心臓部であるエンジンを正常に動かし、長持ちさせる上で重要な役割を担っているエアフィルター。しかし、その効果を十分に発揮させるためにはエアフィルター自体の状態にも常に気をかける必要があります。
このことから、自動車の燃費を向上させると同時に長持ちさせるためには、エアフィルターのチェックを小まめに行い、定期的な洗浄や交換をしっかりと実施することが重要といえるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部