世界トップレベルとされる、日本のフィギュアの完成度。特に二次元キャラクターの再現度は特筆すべきものがあります。
人気のアニメやキャラクターはフィギュア化されることが多く、本格的なモノは一体数千円は当たり前。なかには数万円から、限定で数十万円するモノがあります。
今回は、そんなフィギュアの人気ぶりと生産方法についてご紹介します。
日本のフィギュア文化
マンガやアニメ、ゲームのキャラクターから恐竜や動物、家具、車まで身の回りにあふれるフィギュアたち。日本のアニメブームは今や世界に広がり、外国人たちがグッズを求めて秋葉原を訪れるなど、人気市場となっています。また、アニメブーム以前から立体造形を手掛けている「海洋堂」は、東京と大阪の店舗のほか、歴代の作品を集めたミュージアムを滋賀県長浜市と高知県四万十町にオープンしており、フィギュアが日本の文化の一つとして定着していることがわかります。
一方、ヨーロッパに目をやると、フランス・パリで毎年開催される、欧州最大の日本のポップカルチャーイベント「Japan Expo」が有名です。街中にもマンガ・アニメグッズ店が多く、マンガやポスターに交じって、フィギュアも所狭しと並んでいます。フランスで本格的にアニメ放送が始まったのは1990年代。「北斗の拳」「美少女戦士セーラームーン」「聖闘士星矢」「ドラゴンボール」といった作品が人気を呼び、最近では「ナルト」「ワンピース」「黒執事」などがブームになっています。
子どもから大人まで、幅広い年齢層に日本のフィギュアが愛されるのは、マンガやアニメ自体の人気だけでなく、つくりの精巧さや繊細さも理由です。ディテールまで再現された品質の高さに、多くの人が釘付けになっています。
フィギュアのつくり方と製造工場
フィギュアはどのようにつくられているの?
では、意外と知られていないフィギュアの製造工程を見ていきましょう。
(1)原型制作どんなフィギュアを、どれくらいのサイズでつくるのかを決めたうえで、手作業もしくはパソコンを使って原型をつくります
(2)金型制作原型をシリコーンで型取りして金型を制作します。原型がパソコンデータの場合は、機械で金属を直接削って金型をつくります。
(3)サンプル制作着色まで含めた完成見本を制作します。商品のパッケージや広告にも使われるものです。パーツ状態のフィギュアを完成品にする人を「フィニッシャー」、完成品の彩色サンプルを作成する人を「ペイントマスター」と言います。両方を兼ねる場合もあります。
フィギュアはどこでつくられているの?
フィギュアの量産は、ほとんどが中国の工場で行われています。中国はこれまで安価で豊富な労働力を持つ「世界の工場」と言われてきました。ところが、近年は物価の高騰や賃金レベルの上昇から、その競争力に陰りが見え始めています。加えて、フィギュア制作が「高度化」しているという問題があります。かつては200ほどだった製造工程は、現在1,000~2,000に上ることがあり、入れ替わりの激しい中国の働き手ではスキルが追いつかないことがあるのです。円安の影響もあり、今では習熟度の高い日本国内での製造に比重が移りつつあります。
自分だけのフィギュアをつくりたい!
フィギュアは個人でもつくることができます。自分でできるフィギュアのつくり方をご紹介します。
材料
【造形】 パテ、材木、アルミホイル、金属線【整形】 針、つまようじ、ヘラ【切る】 カッター、デザインナイフ、ノコギリ、ニッパー、ペンチ【接着】 瞬間接着剤、木工用ボンド、プラスチック用接着剤【削る】 紙やすり、布やすり
原型制作
イメージ画をもとに針金で骨組みをつくり、「ファンド」という石粉粘土(石を粉上に砕いて接着剤に混ぜ粘土状にしたもの)を付けていきます。ポイントは、乾燥を防ぐために粘土は少なめにしておくこと。全体に粘土が付いたら、一旦ポーズを決めます。
顔は別につくります。イメージ画のように顔をつくったら、5日間ほど乾燥。さらに彫刻刀などで細かい表情をつくり、胴体部分に顔を付けてバランスを見ます。その後、手をつくり、胴体の腕に接着。ポーズを決定し、粘土を盛りつけます。最後に細かめの紙やすりを使って、表面がツルツルになるように磨きましょう。粉塵が目に入らないよう、防塵メガネを用意しておくと便利です。
塗装
フィギュア塗装の鬼門は「肌色」。塗装方法は、エアーブラシを使ってシャドウ(立体的に見せるための影の部分)を部分的に吹きかけたあと、肌色を被せていく重ね塗りが一般的です。プラモデル用の塗料で十分ですが、肌色の塗装専用セットも販売されています。
前髪、衣装、袖口のしわなど、細部までつくり込み、自分だけのオリジナルフィギュアを完成させましょう!
自分に合ったフィギュアの楽しさを見つけよう
映画のキャラクターやスポーツ選手など、フィギュアのフィールドは広がるばかり。お気に入りの一体を探すもよし、コレクター買いするもよし。自分でつくってみるのもよし。この機会に、あなたに合った楽しみ方を見つけてみませんか? フィギュアを通して、世界中に友だちができるかもしれませんよ。
制作:工場タイムズ編集部