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アルミ製造に興味あり! アルミニウムのことを詳しく教えて!

2017/01/09公開 / 2023/06/01更新

1円硬貨や飲料缶、アルミサッシ、アルミホイルなどアルミニウムは、私たちの生活の身近なところで数多く使われています。

なぜいろいろな用途にアルミニウムが使用されているかというと、軽くて錆びにくく、熱が伝わりやすいなどのメリットがたくさんあり、使いやすいからです。

では、アルミニウムは工場でどのように作られているかご存じでしょうか?

今回は、アルミニウムの持つ特性やアルミ製造の方法ついてご紹介します。

アルミニウムってどんな特性があるの?

アルミニウムはその特性から、いろいろな分野で活用されている金属です。まずはアルミニウムの特性についてお伝えします。

比重(同じ体積の水と比較した重さ)は鉄や銅の約3分の1

アルミニウムはその軽さが魅力のため、軽量化が求められている自動車や鉄道車両、航空機などの輸送分野で、アルミニウムが活用されています。

強い軽いのに強いのが特性

アルミニウムは軽いため、建築物の構造材料にも使用されています。アルミニウムに銅、マンガン、マグネシウムなど別の物質を添加してアルミニウム合金にすることで、さらに強度を高めることもできます。

同じ重さの銅と比較すると、約2倍もの電流を通す

アルミニウムは電気をよく通します。さらに「非磁性体」で磁場にも影響されないため、エレクトロニクスの分野において需要が高くなっています。

熱伝導率は鉄の約3倍、熱をよく伝えます

アルミニウムは熱の伝わるスピードが非常に早いです。逆に言うと、それだけ冷える速度も速いということです。その特性を生かして、エンジンの部品や冷暖房装置などに使用されています。

錆びにくい

アルミニウムは空気中では「酸化皮膜」と呼ばれる膜が表面にできて、錆びにくくなっています。そのため、1円硬貨や飲料缶、調理器具、建築物の外壁、道路標識などに幅広く利用されています。

無臭・無害で毒性がない

アルミニウムは重金属のように人体や自然への害がないことから、医療機器、食品、医薬品の包装などに使われています。

アルミニウムは工場でどう作られるの?

アルミニウムは、全国にあるアルミ製造・加工工場で作られています。アルミ製造の工程についてお伝えします。

まず「ボーキサイト」を「アルミナ」という物質にする

ボーキサイトをアルミナにするアルミ製造は、まず「ボーキサイト」と呼ばれる赤褐色の鉱石を「アルミナ」と呼ばれる物質にすることから始まります。最初に粉砕したボーキサイトを水酸化ナトリウムで溶かして「アルミン酸ソーダ」という化合物を作ります。アルミン酸ソーダを加水分解(水を加えて化合物を分解させること)すると、水酸化アルミニウムの結晶ができます。その結晶を1000℃前後の熱で焼成してできるのが「アルミナ」(酸化アルミニウム)という白い粉です。

アルミナを電解炉に入れ、鉱物を溶かしたものと電気分解させる

アルミナを電解炉に入れて、フッ化アルミニウムや氷昌石(ひょうしょうせき)という鉱物を溶かしたものと混ぜて電気分解させます。するとアルミナは酸素とアルミニウムに分かれるので、そのアルミニウムを取り出して塊にすると「アルミニウム地金」となります。

「鋳造」「押出」「圧延」「鍛造」等の加工でアルミの素材に

アルミニウム地金をアルミ製品にするアルミニウム地金を原材料として「鋳造」「押出」「圧延」「鍛造」などの加工をすると、アルミ製品の素材が出来上がります。

一石二鳥!アルミニウムのリサイクル

アルミニウムのリサイクルは、貴重な資源を守れると同時にゴミを減らすことができる、一石二鳥のリサイクル方法となっています。

アルミニウムのリサイクルは省エネになる

私たちが普段購入している缶飲料の容器であるアルミニウム缶には、「冷えやすい」「軽くて持ち運びやすい」という特性だけでなく、「リサイクルすることで省エネになる」というメリットがあります。回収したアルミニウム缶をリサイクルすれば、上で紹介したアルミ製造の工程を最初から行うことなく、直接アルミニウム地金を作ることができます。その場合、アルミ製造で消費する電力エネルギーは、ボーキサイトからアルミ製品を作る場合の3%まで抑えることができます。

アルミニウムリサイクルの流れ

アルミニウム缶は分別収集された後、回収業者によってアルミニウム工場へと送られます。缶の表面のフィルムや塗料、付着した異物などを除去したら、回転炉に入れて高温で溶かします。溶かしたアルミニウムを再び固めて「再生地金」にし、それを加工すれば、新しいアルミ製品へと生まれ変わります。

アルミニウムは地球に優しい!

「アルミニウム缶リサイクル協会」の調査によると、アルミニウム缶のリサイクル率は約9割前後に上っています。また、日用品や建材、自動車に使われたアルミニウムもリサイクル目的で再利用されています。使わなくなった製品を再利用することができるアルミニウムは、地球に優しい素材なのです。

アルミニウムは、優れた特性と再利用のしやすさが魅力!

アルミニウムは、軽さや強さ、錆びにくさといった使いやすい特性の多さに加えて、「リサイクルの王様」と称されるほどの再利用のしやすさを持ち合わせています。私たちの生活に欠かせないだけでなく、地球にある限られた資源を大切に使うことが求められる現在では、アルミニウムの活躍の場は今後も広がっていくでしょう。ネット上の動画サイトには製造工程やリサイクルの様子、さらには『アルミニウムの誕生』という1960年に製作された20分ほどの科学映画がアップされています。アルミ製造に興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。

制作:工場タイムズ編集部

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