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傘って、どうやって作るの? 意外に知らない傘工場のお仕事

2016/03/11公開 / 2023/06/01更新

雨の日でも、私たちが濡れずに外を移動できるのは「傘」のおかげです。毎日、雨の続くジメジメした梅雨の季節でも、気に入った傘を使用することで、気分が少し晴れやかになります。晴れた日にはあまり存在を気にすることのない傘ですが、外出時、突然の激しい雨に見舞われて、やっとコンビニで傘を手に入れたときには、そのありがた味を痛感するものです。

今回は、私たちの生活に欠かせない傘についてご紹介します。

傘の種類には何があるの?

日本では推定で年間1億2000万~1億3000万本の傘が消費されています。このうち約8000万本がビニール傘と言われています。海外では多少の雨なら傘をささないという人が大勢いますが、日本には梅雨があり、湿度が高いせいか、傘を持っているのに雨でもささないという人は少数派です。雨はいつ降るかわかりませんから、傘の消費量は景気に左右されません。年齢、性別に関係なく、すべての人が購買の対象なので、市場規模は大きいと言えます。

傘の種類とは?

傘は大きく「洋傘」と「和傘」の2つに分けられます。洋傘とは、雨傘や日傘のことです。日傘は、フランス語で「パラソル」といい、日差しを防ぐ用途としてのみ作られています。雨の日にさすことがないため、生地に加工を施しやすく、ファッション性に富んでいるものが多く見られます。しかし、最近では「晴雨兼用日傘」というものが出てきました。これは、普段は日傘として使用しながら、雨も防いでくれるというものです。ただし、小雨を対象に作られているので、強い雨の場合はやはり雨傘が適しています。

和傘には、「番傘」や「舞傘」など用途に応じていろいろな種類があります。番傘は、太い竹の骨に和紙を張り、その上で油をひいた傘で、実用性に優れています。時代劇で見かける傘が、番傘です。舞傘とは、日本舞踊などの踊りの場で使用される傘であり、飾りや色は多岐にわたります。

傘の歴史って?

普段、私たちが使用している傘のほとんどは洋傘です。日本に洋傘文化が伝わったのは、江戸時代ですが、実際に国内に流通され始めたのは、西洋文化が流れ込んできた明治時代のことです。現在、洋傘として認定されている最古の記録は、江戸時代後期の1804年に、長崎に入港した中国船の中にあったものとされています。その後、日米和親条約締結のためにペリーが浦賀に再来した1854年、水平たちがさしていた傘が日本人の野次馬の目に留まり、話題になりました。

1859年には、本格的な輸入を開始。当初は主にイギリスから輸入されていましたが、日本でも1880年頃には国産品の製造が始まりました。それまで高級品とされていた洋傘ですが、国内で製造され始めたことで価格が下がり、庶民にも普及しました。折り畳み傘については、65年前の1951年に開発されています。

一方、和傘は、平安時代前後に漢字やお茶、仏教などとともに大陸から伝来したと言われています。しかし、当時の絵巻物に登場する和傘は、傘というよりは「笠」で、現在のような形とは違っていました。そのため雨具としては使われておらず、日除けや魔除け、権威の象徴として使用されていました。時間の経過とともに歌舞伎や踊りの小道具として使用されるようになり、機能性・デザイン性ともに進化を遂げていきました。その流れを継ぎ、現在でもファッションアイテムとして使われています。

傘はどうやって作られるの?

最後に、傘が工場でどのように作られるかについて紹介します。

検反(けんたん)と裁断

生地を伸ばして裏側から光を当てることで、プリントやコーティングのムラ、傷をチェックします。それから傘のサイズに合わせて、2つ割り、または3つ割りに裁断します。

へりかけ

専用ミシンで、生地のへり(端)の部分を縫い合わせます。技術を伴うところです。

三角裁断

デザインに基づき、三角形に裁断します。

小間検品

「小間」とは、裁断された生地のことです。小間に傷や穴ができていないかチェックします。

中縫い

小間を専用のミシンで縫い合わせます。三角形の頂点を合わせて縫い合わせると、きれいに仕上がります。

中とじ

縫い合わせた小間に傘の骨を縫い付けていく作業です。すべて手作業で行います。さらにアイロンをかけて生地のシワを取り除きます。

手元付け、検品、梱包

ボンドなどの接着剤を使って傘に手元(持ち手の部分)つけます。その後、完成した傘の開き具合、縫製の状態、カバーの汚れ・傷・骨のチェックを行ったら、梱包して完成です。

お気に入りの傘があれば、雨の日も楽しい

1750年頃、イギリスの旅行家、ジョナス・ハンウェイがロンドンで初めて傘をさしたとき、その見慣れない姿に人々は驚き、彼を嘲笑し、ののしったと言われます。しかし、彼がイギリスにもたらした傘の習慣は瞬く間に広がり、その後、日本へももたらされました。現代の日本では、雨の日に傘を持たず、ずぶ濡れで歩いている人の姿は滅多に見られません。傘を忘れても、コンビニや駅売店で簡単にビニール傘を購入することができます。

最近では、70センチ以上の大きな傘やオシャレなデザインの傘、ブランド物の傘、強風の日でも骨が折れにくい傘、軽い傘など、いろいろなタイプの傘が登場しています。傘をすぐ紛失する人もいますが、お気に入りの傘を1本持っていれば、大切に使う意識も高まるものです。何より、うっとうしい雨の日もきっと楽しくなることでしょう。

制作:工場タイムズ編集部

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