海や川や山などの自然に触れると心が癒されます。
ビルが立ち並ぶ都市の中に、公園や花壇を設置することが増えています。それと同様に、工場にも自然を増やす取り組みがされています。
いったいどのような取り組みなのでしょうか。
工場の環境を良くするための法律
1974年にある法律が実施されました。それが、工場立地法です。工場内の環境をよりよくするために、いくつかのルールが決められています。その中の一つに、工場に自然を増やそうというルールが含まれています。これは、工場の緑化計画などと呼ばれています。自然や人にとってよい影響を与えることを目的に、緑のない場所に木や植物を植えることを緑化といいます。
工場には、モノづくりをするための、機械や設備を置いている施設があります。もちろん工場の土地全体が、建物になっている訳ではありません。例えば、人が行ったり来たりするための道路や、周りにある花壇など。このように、工場の土地には、大きく分けて2つに分けることができます。「作業する施設」と「それ以外の場所や施設」です。
工場の土地全体に対して、ある一定以上の割合で「緑地」をつくってください。ということが工場立地法で決められています。この法律によって、敷地内に花や木などの緑を増やすことが義務になりました。場所によって、必要な緑地面積は異なります。当初は、敷地の10%を緑地にする必要がありましたが、2004年の改正でそれが5%に変更となりました。
緑地って草が生えていればいいの?
それでは、緑地の定義について。緑地といっても、いろいろなものが考えられます。花や木の種類などは決まっているのでしょうか。それとも芝生があれば良いのでしょうか。
緑地として認められるためには、基準をクリアする必要があります。3つある基準のうち、いずれかに該当していれば、緑地として認められます。
その3つの基準とは
・10平方メートルの土地又は建築物屋上等緑化施設に高木が1本以上あること
・20平方メートルの土地又は建築物屋上等緑化施設に高木1本以上及び低木が20本以上あること
・低木または芝その他地被植物で表面が覆われている10平方メートル以上の土地または建築物屋上緑化施設であること
ちょっとややこしいので簡単に解説をします。まず10平方メートルは、だいたい6畳くらいの広さです。なので、20平方メートルであれば、12畳くらいです。高木や低木とは、その言葉の通り、木や花のことです。つまり、花壇であっても、10平方メートル(約6畳)以上であれば「緑地」として認められます。きれいに整えられて管理がされていれば、雑草が生えている土地でも緑地です。
工場に緑地を増やすためのポイントは、しっかりと計画をすることです。工場にあるいろいろな条件を踏まえて、それぞれに合った対策が考えられます。敷地がある場所や、工場施設が建っている場所など、工場よって利用状況はさまざまです。
例えば、敷地の外周りや門の付近には、外から見えないようにするための草木が考えられます。中庭であれば、背の高い木を植えたりします。もし、高い木が植えられない場合には、芝生を植えることもあります。敷地の北側など、日が差さない場所には、日光の少ない場所でも育てられる木々を設置することが考えられます。
一方で、地上で緑地をつくるのが難しいケースがあります。そのため、最近では屋上や、工場施設の壁を利用して、緑化をする方法も注目されています。
緑化することのメリットとは
自然が増えれば、工場で働く人たちへの癒しになるでしょう。これはなんとなく想像がつきますよね。しかし、緑化のメリットはこれだけではありません。
まず、地域の人にもよりより影響を与えることができます。工場内部の関係者だけでなく、工場の周りに住んでいる地域の人々も、緑地の癒し効果を得ることができます。大きな面積を占めている工場が、周辺地域の人々と良い関係を築くためにも必要なことといえます。
また、防音効果や、温度の調整機能があります。工場では機械を使っていることがほとんど。そのため、ときには大きな音が出ます。先ほどご紹介した通り、工場の壁や屋上に、ツタなどをつけることで、防音効果が期待できます。さらに、温度を保つ効果もあります。夏の暑いとき、冬の寒いときには、外の温度が工場内に伝わりにくいです。
まとめ
工場立地法による緑化計画はいかがでしたか?そもそも緑地とはなにか、緑地を増やすことのメリットをご紹介しました。緑地といっても、ただ単に緑を増やせばいいという訳ではありません。法律によって決められた基準をクリアする必要があります。また、緑化にはいくつかのメリットがありました。工場で働いている人の環境をよりよくすること。工場の近くに住んでいる人にもメリットがあります。モノづくりを通じて、私たちの生活を支えている工場。しかし、緑化をすることでも、私たちの生活に貢献してくれているといえます。また、緑化は工場以外にも応用できること。自宅や職場でも、環境をよくするために、ぜひ緑化を考えてみてください。
制作:工場タイムズ編集部