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企業も注目している! 「産業洗浄技能士」とはどんな資格なの?

2016/01/13公開 / 2023/06/02更新

工場内や巨大なコンビナートの設備、作業スペースなどでは、清掃やメンテナンスを行うことが日々の業務を安全かつスムーズに進める上で大切なポイントです。

生産性を向上させる大切な清掃作業の中で、企業が注目しているのが「産業洗浄技能士」という資格です。「清掃、洗浄に資格が必要なの?」と思うかもしれませんが、産業用の機械を洗浄するお仕事には独特の技術が使われるのです。

一体どのような資格なのか、その内容を詳しく説明していきます。

産業洗浄技能士とは?

産業洗浄技能士の資格を持っていると、公共設備の清掃業務の中でも専門性の高い技術を用いた清掃作業ができるようになります。国家資格である技能検定の一つで、資格を取得すれば法律(職業能力開発推進法)にもとづき、産業洗浄技能士を名乗ることができます。

産業洗浄技能士ってどんな仕事?

機械の種類に合わせて、特殊な洗浄技術を使って清掃する仕事です。たとえば公共施設の上下水道の配管やタンク、金属の熱処理に用いる「加熱炉」、モノを加熱したり冷却したりする「装置熱交換器」などプラント設備の洗浄を行います。「噴射ガン」や、金属でできているのに自由に曲げられる「フレキシブルホース」など多様な種類の高圧洗浄機器を扱い、化学洗浄の知識と技術を持って“洗浄のエキスパート”として活躍することができます。

検定概要

高圧洗浄、化学洗浄ともに単一等級で、実技と学科試験があります。

高圧洗浄作業

実技では三つの作業試験があります。一つ目は「下水道管の洗浄」で、下水道管洗浄車を用いて行います。二つ目は「熱交換器の管内洗浄」、三つ目は「鋼板に塗られた塗料の剥離洗浄」で、いずれも高圧洗浄車を用いて行います。これらの実技試験を、それぞれ20分以内に行うのです。

ペーパーテストは、高圧洗浄の方法や高圧洗浄車の使い方が出題されます。また、パイプ内における液体の効率的な流れ方を考える「圧力損失」、洗浄用具や特殊な施設に関する問題なども出題されます。すべて選択方式になっており、二つの選択肢から正解を選ぶ25問と複数の中から一つの正解を選ぶ25問のトータル50問です。試験時間は40分で、実技と合計すると1時間40分となっています。

化学洗浄作業

実技では、塩酸の濃度やpH値の測定、パイプやホースなどの洗浄回路の取り付け・組み立て・分解、ポンプ運転などを1時間行います。ペーパーテストは、給水加熱器といってボイラーに送り込む水をあらかじめ加熱する装置の洗浄や、洗浄を行う機械同士の関係図である「洗浄系統図」に関する基礎知識が出題されます。また「圧力損失」などボイラーに関する問題も出題されます。試験時間は2時間。

化学洗浄の試験は自治体ごとに行われていますが、試験を行っていない年もあります。受講を希望する場合はあらかじめ確認しておいたほうが良いでしょう。

合格するための対策やコツは?

受験資格は「中学を卒業して3年以上であること」と「仕事として産業洗浄を行った経験があること」です。

勉強方法としては、試験前に開催される産業洗浄技能士に関する講習会を活用するのがオススメです。「公益社団法人日本洗浄技能開発協会」のWebサイトには技能検定に関する講習会の日程が掲載されているので、個人的にテスト受験する場合はチェックしておきましょう。基本的に参考書などは販売していません。もし先立って自主的に勉強したいのであれば、過去に産業洗浄技能士の試験を受験したことや講習会に参加した経験のある先輩などからテキストを借りて勉強をするのが一つの手です。

企業も重視している資格!

産業洗浄技能士の資格に関しては、企業が費用を全額負担して取得させてくれる場合があります。その場合は、企業が希望者をまとめて受験を申し込みます。試験前になると講習会の開催が告知されるので、その指示に沿って受講する機会が設けられます。

産業洗浄技能士は一度取得すれば一生使える資格となり、自身のスキルアップにつながるでしょう。その人の頑張り次第で、資格取得をバックアップしてくれる会社も多数あります。「まだ一年目だから…」「働き始めたばかりだから…」と気後れすることなく、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

自分の武器になる、生涯使える資格で収入もアップ!?

産業洗浄技能士の資格を取得することで入社してから数年でチームリーダーや責任者として大抜擢される可能性もあります。また専門知識を持つことや資格を取得することは、仕事に対する自信につながってくるものです。噴射ガンや特殊なホースを使い、機械ごとに合わせた洗浄方法を実践するお仕事としてさらに腕を磨くことができるでしょう。新しい仕事やリーダー昇格などのチャンスを逃さないためにも、資格をあらかじめ持っておくのもオススメです。

制作:工場タイムズ編集部

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