建築物の天井の上、壁の中、床下などを、まるで私たちの体の中を走る血管のように張り巡らされているのが「配管」です。
その配管を組み立てる重要な役割を担うのが配管工です。水道管やガス管、排水管など、配管なしの日常生活は、もはや考えられません。
そんな配管工の仕事をするには、どうすればいいのでしょうか?配管工には取得すべき資格があるのでしょうか?
今回は配管工の仕事についてご紹介します。
配管工に向いているのはどんな人?
配管工は、図面を見ながらコツコツと作業を積み重ねる仕事です
図面の通りに配管をつなぎ合わせ、設計図通りにいかないときは別の手段を考えて、作業を続けます。そのため、着実かつ地道に作業を積み重ねるのが得意という人に向いています。
また、資材を加工し組み立てていく仕事なので、プラモデルやペーパークラフトのようにモノを組み立てるのが好きだという人も興味を持って取り組めるでしょう。配管工の中には、配管をつないでいく作業をパズルゲームのようだと感じている人も多いようです。パズルゲームが好きな人にも向いているかもしれません。
パズルゲームとの違いは、作業の場所が住宅の床下などのように狭い空間であることです。一方、等身大の配管をビル全体に配置する臨場感はゲームとは圧倒的に違う点かもしれません。
配管工の資格には何があるの?
配管工の資格には、「配管技能士」があります
配管技能士は国家資格で、給水管、ガス管、空気清浄装置や冷暖房の換気設備など、建築物の配管工事をする上で必要な技能を認定しています。
配管技能士には1級から3級まであり、1級は上級技能者、2級は中級技能者、3級は初級技能者と位置づけられています。技能検定試験は、「建築配管作業」と「プラント配管作業」に分けられますが、一般的には「建築配管作業」を受験します。
初心者からでも受けられる3級配管技能士では、給水配管図をもとに、エルボ(L字に曲がったパイプの一部)、チーズ(三口に分かれたパイプの一部)などのパイプ同士をつなぐ「管継手」を使用して配管の組み立てを行う試験があります。
3級に合格すると、ステップアップして2級を受験することができます。2級以上では、技能試験に加えて、筆記試験があります。1級を受験する場合は、配管技能士として仕事をした経験が必要になります。さらに1級では、鋼管の溶接作業も行われます。配管技能士の合格率は、年度によってバラつきがありますが、平均すると50%前後です。
さらに配管工のステップアップの資格として、「管工事施工管理技士」という国家資格があります。配管工事の専門家として高い応用力を活かし、配管工事の現場を指揮・管理する資格です。1級管工事施工管理技士と2級管工事施工管理技士に分かれます。
この資格の対象になる人は、1級もしくは2級配管技能士の資格を持つ人、冷暖房設備や空調設備などの配管工事に4年以上の経験がある人です。難度は比較的高めで、各設備や施工管理、関連する法規などの幅広い知識が問われる学科試験と、施工全般に関することや実務経験などを問われる実地試験があります。取得には配管工事の経験と専門的な知識が必要ですが、2級から1級へとステップアップすることで活躍の幅が広がります。また配管技能士と比べて、年収にして平均で50万円ほどのアップが見込めます。
さらなるスキルアップを目指すなら、建築設備士に挑戦!
私たちの生活の中でも、使っている道具が日々進化しているように、配管工が扱う設備にも、高度な技術を要するものや複雑なものが増えてきました。
建築設備について幅広い知識を持ち、建築士に建築設備の設計などで適切な指示やアドバイスを行うのが、「建築設備士」です。建築設備に対する高度な技術と安全性が求められるようになったことから、高い注目を集める資格です。
建築整備士の受験資格は、大学や専門学校などで建築・機械・電気に関する課程を学んで卒業した人、一級建築士などの資格を持っている人のほか、建築設備に関する実務経験がある人が対象です。
試験は、第一次試験として建築の一般知識や設備、法規などを問われる学科試験。第二次試験として基本計画や設計製図などを問われる設計製図試験があります。建築設備についての出題が多く、第一次試験では法令集を持ち込むことができます。建築設備士の合格率は、第一次試験で約30%、第二次試験で約50%となっていて、総合合格率は15~20%となっています。
インフラを支える配管工は、「縁の下の力持ち」
「縁の下の力持ち」ということわざがありますが、配管工の仕事はまさに「縁の下の力持ち」として、見えないところで生活を支えている仕事です。
私たちが水道やクーラーを快適に使えるのも、配管工の仕事のおかげです。配管工の資格は、初心者でも受験できる3級配管技能士からステップアップできるので、仕事に対する目標を立てやすく、年収アップへのモチベーションにもつながります。目立つことは苦手でも、手先を使ってコツコツと作業を進めることが得意な人には向いている仕事といえるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部