工場や倉庫、さらにはホームセンターなどでも見かけるフォークリフト。一度は「運転してみたい!」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。運転するためには、自動車と同じように免許が必要であり、フォークリフトの資格を取らなければなりません。
構造は自動車と似ており、ハンドル、アクセル、ブレーキがあります。実はそれほど免許の取得には時間がかからず、1週間程度で取得することができるフォークリフト。この記事では、特に「カウンターフォークリフト」を運転するのに必要な資格と、運転するときの注意点を解説します。
カウンターフォークリフトとは?
フォークリフトは今や倉庫の荷下ろしなどをするのに欠かせない乗り物となっており、トラックの荷下ろしや荷積みなどでも使われます。フォークリフトといってもいくつかの種類があり、どの場所で使うのに適しているのか、なども違ってきます。
ここではまずフォークリフトの主な種類から説明します。
フォークリフトの主な種類
カウンターフォークリフト
一般的なフォークリフトであり、正式には「カウンターバランスフォークリフト」と言います。座席に座ってフォークリフトを操作し、ハンドルで進行方向を決めます。車体の後ろに重りとなるカウンターがついているため安定性が高く、左右に広がったような荷物を運ぶときも転倒しにくくなっており、バランスを保って運ぶことができます。
リーチフォークリフト
カウンターフォークリフトより背が高く、停止した状態でもフォークであるツメの部分が前後に動きます。基本は立ったまま操作するフォークリフトです。タイヤが90度近く左右に動くので小回りが利くタイプであり、狭い場所で使いやすく屋内での使用も多くみられます。ただし、背が高いのでバランスは悪く、転倒することも多くなるのでカウンターフォークリフトよりも操作に注意が必要です。
サイドフォークリフト
車体の真横にフォークが付いています。木材やパイプなど、長い物体を乗せて運ぶのに便利です。フォークは台車のようになっているタイプが多く、車体も長いものが多くなります。
ウォーキーフォークリフト
手動で動かすタイプのフォークリフトです。フォークリフトの運転席にあたる部分に取っ手がついており、人が押す、または引っ張って移動させて使います。手動タイプと電動タイプがありますが、どちらのウォーキーフォークリフトも操作するのに特に資格は必要ありません。
カウンターフォークリフトの特徴
荷物を載せて運ぶときは、フォークであるツメ部分に荷物を乗せます。前方に荷物を載せるためどうしてもフォークリフトのバランスが崩れてしまうので、後方に重りを乗せてバランスを取ります。カウンターとは「反対」という意味があり、後ろにバランスをとる重りを乗せたフォークリフトなので「カウンターフォークリフト」と呼ばれています。
重りには鉄の塊やバッテリーが使われています。この重りは500kgや600kgにもなり、これによって1トン近くの荷物を運んでもバランスを崩さないようになっています。ただし回転半径の大きいフォークリフトのため、狭い場所での運転には向いていません。
電動と手動タイプ以外のフォークリフトはガソリンで動くので、給油する際はガソリンスタンドまで運転していきます。
カウンターフォークリフトの操作に必要な資格
カウンターフォークリフトの資格
カウンターフォークリフトの操作には資格が必要です。資格は
・運搬できる荷物の重さ
・最大積載荷重
によって2つに分けられ、荷物が「1トン未満」か「1トン以上」かで必要となる資格が異なります。工場内や敷地内など、公道ではない場所でカウンターフォークリフトに乗る場合、車の運転免許は特に必要ありません。
特別教育修了証
最大積載荷重1トン未満のフォークリフトでは、「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育」という名前の教育を受けると資格取得となり、試験はありません。
「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育」は18歳以上の方であれば誰でも受けることができ、特別な条件などは特にありません。年齢が18歳に達していれば誰でも受けられます。特別教育は様々な事業者が行っており、コマツなどの大手メーカー、自動車教習所などで受けられ、費用は1万5千円程度ですみます。
特別教育は、学科と実技科目に分かれます。学科6時間、実技科目6時間を修了すると資格が取得できます。最短2日で取得可能であり、修了後は「特別教育修了証」が発行されます。
技能講習修了証
最大積載荷重1トン以上のフォークリフトでは、「フォークリフト運転技能講習」という技能講習を受けて、さらに試験に合格すると資格が取得できます。
「フォークリフト運転技能講習」も、18歳以上であれば誰でも受講可能です。技能講習は各都道府県の自動車教習所などで受講できます。費用は1万5千円~4万5千円程度です。
学科科目と実技科目がありますが、普通自動車免許や大型免許を持っていると一部の科目が免除となります。
・大型特殊免許取得 : 学科7時間、実技4時間
・普通自動車免許取得 : 学科7時間、実技24時間
・所持免許なし : 学科11時間、実技24時間
このように取得免許により学科と実技の時間が違い、さらに費用も変わります。資格免許は2日~5日で取得できます。ちなみに学科も実技も試験があり、不合格となれば追試を受けないとならず、費用も追加で発生します。資格取得後は、それぞれの修了証が発行されます。
カウンターフォークリフトを操作する際の注意点
フォークリフトはエンジンで動く乗り物なので、基本的には車と同じだと考えてください。荷物を移動させるのには便利ですが、当然事故も発生する可能性があります。操作時にいくつかの注意点がありますので、以下に注意しながら安全運転を心がけましょう。
守るべき基本事項
安全にフォークリフトを操作するためにも、運転前は点検をします。「ブレーキは利くのか」「油漏れはないか」などを確かめます。
運転時は正しい姿勢を保ち、手足を運転席の外に出して運転してはいけません。急旋回や猛スピードを出すようなことはせず、危険のないように運転します。またフォーク部分には人を乗せてはいけません。
安全な服装で操作する
運転手の安全を確保するために、フォークリフトに乗るのに相応しい服装をします。ペダルを踏み外さないためにサンダルではなくスニーカーなどの靴を履きます。万が一に備え、運転するときにはヘルメットを被ってください。
広い場所で作業する
旋回するとフォークリフトの後部は大きく振るので、広い場所で運転します。また、運転時は車体を壁やシャッター、人にぶつけないように、周りに障害物がないかどうかを確かめます。夜間は周囲が見えにくくなるので、特に注意しながら運転しましょう。
周囲の荷物、運んでいる荷物に注意する
フォークリフトの事故で多いのが荷物の破損です。フォークにパレットなどで荷物を載せて運んでいるときに落として壊す、または倉庫内に積んである荷物にフォークをぶつけて壊すケースなどがあります。
壊した荷物の内容によってどれぐらいの被害額になるかは変わってきますが、被害額を弁償させられるかもしれませんし、場合によっては解雇となるケースも考えられるので、十分に注意してください。
またフォークリフトで人を轢いて人身事故を起こす場合もあります。自動車での人身事故と同じ扱いなので、こちらにも十分に注意して操作しましょう。
カウンターフォークリフトの資格は短期間で取得できる
カウンターフォークリフトを運転する際は、「特別教育修了証」または「技能講習修了証資格」が必要です。最大積載荷重が1トン未満だと特別教育の講習を受けるだけで免許が取得できます。1トン以上となれば技能講習の学科と実技ですが、こちらも数日で取得可能です。
フォークリフトは主に倉庫内作業などで使用され、資格取得者を募集している会社も多いので、資格を取れば仕事の幅が増え、より多くの場所で役に立つでしょう。
制作:工場タイムズ編集部