引っ越しや建物の工事などでは、壁や既に完成している部分などを保護するために「養生」が行われます。
これらの作業を行う専門業者にとって養生を行うことは基本中の基本ですが、一方で、一般の方にとってはあまりなじみがなく、中には養生自体がどのようなものなのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、そんな養生に関する基本的な情報について解説します。
運搬物や周囲の汚損を防ぐための「養生」
最初に、養生の中でも最も一般的な、運搬物や周囲の汚損を防ぐための養生についてご紹介します。
汚損を防ぐための養生とは?
大型の荷物を運搬する際には、壁などを傷つけてしまわないように注意をしなければなりません。そのようなときに、養生は壁などを保護する目的で行われます。また、この場合の養生では運搬物を毛布などで梱包し、運び入れる際に周囲に汚れが付くことを防ぐ目的もあります。
主な使用現場
養生を行う現場の代表的なもののひとつが引っ越し現場です。引っ越しでは入り口や壁、床など周囲の汚損を防ぐために養生をするだけでなく、家具の運搬の際に運搬物そのものを養生することもあります。
また、養生は建築作業現場でも行われており、誤って資材や既に完成している部分を損傷したり切断したりするのを防ぐため使用されます。建材の面や角を保護したり、架空ケーブルに硬質のカバーを施すといったことも行われているのです。
一方、電気工事現場で行われる養生は、感電や短絡を防ぐのを目的とし、露出している金属部分を絶縁体で覆うといったことが、その主な作業内容となります。
養生に必要な用具
養生に必要な用具としては、引っ越しに伴う荷物の運搬時などに使用するマットや毛布などの布類、あるいは「養生シート」と呼ばれるプラスチック製のダンボールなどの板が挙げられます。また、上述したように電気工事現場などでは金属部分を覆う絶縁体も不可欠となります。
コンクリートの施工時に使われる「養生」
一方で養生はコンクリートの施工時にも行われます。続いて、その詳細について解説します。
コンクリートの養生とは?
コンクリートの施工時に関しては、コンクリートやモルタルを硬化させるために保護することを養生といいます。
養生の目的
コンクリートを十分に硬化させるためには、低温や乾燥、衝撃などから保護する必要があり、そのためには一定の温度や水分量を保たなければなりません。十分に温度や水分量が保たれないと均一にならず、必要な強度が得られない場合もあります。コンクリートの施工時に行う養生には、それらの条件を保つという点で大きな意味があります。
養生に必要な用具
コンクリートの施工時に行う養生では、周囲を囲うためのブルーシート、適温を保つための練炭やジェットヒーターなどが必要です。
塗装時に必要な「養生」
ペンキなどで塗装をする際にも養生は大きな効果を発揮します。続いては塗装に伴う養生の詳細を見ていきましょう。
塗装時に必要な養生とは?
塗装時の養生は、塗装部分以外の箇所にペンキなどの塗料が付かないようにすることを目的とします。この場合の養生は塗装前に施し、塗装が完全に乾く前に取り外す必要があります。主な例としては、建築物の壁面や床面塗装、自動車の塗装などが挙げられます。
養生に必要な用具
塗装時の養生には、養生シート、養生資材(マスカー)、ビニールシート、マスキングテープなどの用具が必要です。
まとめ
養生は工事や引っ越し、塗装などにおいて、建物や荷物の保護や、塗装の仕上がり具合をよくする上で欠かすことができません。しかしながら、手順を誤ったり、必要な用具がそろっていないと、養生本来の目的を達成できないばかりか、感電などの事故の引き金にもなりかねないため、今回紹介した内容をよく確認した上で、作業に臨むようにしましょう。
制作:工場タイムズ編集部