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塗装の役割とは? 見た目と機能性を向上させる塗装の重要性と資格の種類・取り方について

2018/06/13公開 / 2023/09/14更新

塗装は建物の外壁や屋根に対して行う施工の1つです。

その目的は必ずしも見た目をよくすることのみにとどまらず、それ以外にもさまざまな役割を兼ね備えています。

ここでは、そのような塗装の役割だけでなく、塗装技法、塗装の手順、塗装作業を行うために必要な資格などについてもご紹介します。

塗装の役割

一般的には、塗装に対し、建物の外壁や屋根の見た目をよくするために行うものというイメージを抱く人も多いでしょう。しかし、塗装の役割は、それ以外にもさまざまなものが挙げられます。ここでは、主だった塗装の役割について解説します。

見た目の改善

塗料にはさまざまな色味があるので、塗装の目的が見た目をよくすることにあると考えても不思議ではないでしょう。特に粉体塗料などの高品質な塗料の中には光の反射も考慮した製品が開発されていることから、見た目を改善することを目的とした塗装は頻繁に行われています。

保護

一方で、実は塗装は、塗料を塗ることで品を保護するという点においても、大きな役割を担っているんです。この点は、ニスなどの塗料を塗った工芸品が長持ちすることからも明らかです。

特に、風雨にさらされる外壁や屋根には高い耐久性が求められることから、塗装が担う保護という役割は大きな意味を持ちます。塗料の中には、耐熱性や撥水(はっすい)性などを強化できる素材が使用されたものも多く、それらを使用すると耐久性の向上を図ることが可能なのです。

また、耐久性の向上という意味では、家具などの塗装においてもそれが担う保護という役割は重要です。そのため家具も外壁や屋根などと同様に、耐熱性や撥水性を強化できる素材が含まれた塗料を使用することが多くなっています。

付加的な価値

また、塗装には、防カビや抗菌などの付加価値的な効果も期待できます。物や製品の耐久性だけでなく、衛生面での安全性を向上するという点においても塗装は大きな役割を担っているといえるでしょう。

主な塗装技法

続いて、塗装技術と使用する道具について解説します。

ハケ

最も基本的な方法ではありますが、綺麗に仕上げるためには十分な経験と技術が必要なのがハケを使った塗装です。また、この技法には初期費用が少ないという点や、主に木工や建築塗装で行われるといった特徴もあります。ほとんどの塗料に対応できるというメリットもあります。

スプレー

スプレーを使用した塗装には、「エアスプレー塗装」と「エアレススプレー塗装」があります。

このうちエアスプレー塗装は、圧縮した空気を利用し塗料を霧状に噴射するため、均一に塗装を行うことができ、複雑な形状のものの塗装にも適しているというメリットがあります。

一方でエアレススプレー塗装は、塗料に高い圧力を加えて特殊なノズルから噴射させることで塗装を行うため、作業効率がよく、塗料を無駄にすることが少ないというメリットがあります。

ローラー

ローラーを使用した塗装はハケを利用した塗装よりも効率がよく、簡単に行うことができます。綺麗に仕上げるためにはハケを使用する場合と同様に、相応の経験と高い技術が必要となります。

こて

左官などのように、こてを使って塗料を塗りつけるという方法もあります。しかしながら、この技法は特に高い技術を要するため、熟練者以外には難しいといわざるを得ないでしょう。また、この場合に使う塗料は高粘度の特殊なものであるだけでなく、塗装する素材や塗料に応じて竹や金属、プラスチックなどのこてを使い分けなければならず、初期費用も高額になりがちです。

一般的な塗装の手順

続いて、一般的な塗装の手順を作業ごとに解説していきます。

1.下地調整

塗装を行うには、最初に下地調整を行う必要があります。この作業は塗料が乾燥した後、はがれやすくなることを防ぐことを目的として行うため、凹凸の除去や洗浄などが必要になります。また、特定の箇所のみを塗装する場合は、この段階で養生も行います。

2.下塗り

下塗りは主に下地の強化を目的として行います。そのため、壁の材質にあったものを使用する必要があります。また、この作業は「シーラー」、「フィラー」、「プライマー」などの名称で呼ばれることもあります。

3.中塗り

下塗りで塗った塗料が乾燥したら、続いて塗りを行います。中塗りは後述の上塗りと同じ塗料を使用するため、十分な量を用意しておく必要があります。

4.上塗り

上塗りは中塗りと同じ塗料を使用して行う仕上げの塗装です。この作業は中塗りで塗った塗料が十分に乾燥していないと塗装としての役割を果たさないため、1日程度の十分な時間をおいてから作業をする必要があります。

塗装の資格の種類・一覧

塗装に関わる資格は、国家資格から民間資格まで多数あります。特に、塗装業に従事する上で重宝される資格は以下のようなものがあります。

国家資格 塗装技能士 塗装の技能に関わる資格
有機溶剤作業主任者 有機溶剤を扱うための資格
高所作業車運転者 高所作業車を運転できる資格
乙4種危険物取扱者 引火性液体を扱うための資格
民間資格 外装劣化診断士 外装の劣化具合の診断に関わる資格
外壁診断士 外壁の専門的な知識に関わる資格
カラーコーディネーター検定 色彩の知識に関わる資格
色彩検定 色の知識や技能に関わる資格
足場の組立て等作業主任者 足場を組み立てるための資格

塗装業に従事するにあたって必須の資格はありませんが、塗装に関係する有資格者であれば信頼度が増します。

特に、塗装業に大きく関係する塗装技能士は、技能検定制度の1つで、1級・2級・3級の区分で塗装の技能を証明することができます。1級塗装技能士を取るには、7年以上の実務経験が必要などの受験資格があるため、簡単ではありませんが、長く塗装業に従事する人はぜひ取得を目指したい資格です。

有機溶剤作業主任者や乙4種危険物取扱者は、シンナーや危険物が含まれる塗料を扱う際に必要な資格です。高所作業車運転者や足場の組立て等作業主任者は、高所の塗装の際に、自社で足場などを準備する場合は必要になります。

外装劣化診断士や外壁診断士の資格を持っていると、この外装の状態に対して必要な塗装は何か、適切な判断ができる業者であることが証明できます。

また、塗装作業には直接関係しませんが、外壁などの色選びの際にカラーコーディネーターや色彩検定を持っていると、色彩の知識で的確なアドバイスができて重宝されるでしょう。

塗装技能士の資格の取り方・手順

ここでは、塗装業で役立つ塗装技能士の資格取得について解説します。

塗装技能士は、塗装の技能検定に合格した者を指す国家資格です。塗装は次の5つの作業区分から選択でき、学科試験と実技試験に合格した者が技能士を名乗ることができます。

  • 木工塗装作業
  • 建築塗装作業
  • 金属塗装作業
  • 噴霧塗装作業
  • 鋼橋塗装作業

塗装の技能検定は1級と2級がありますが、金属塗装作業などは3級まで設けられています。

等級区分と受験資格

技能検定の等級による区分は次のようになっています。

技能の程度 受験資格
1級 上級技能者が通常有すべき技能の程度 実務経験7年以上
2級 中級技能者が通常有すべき技能の程度 実務経験2年以上
3級 初級技能者が通常有すべき技能の程度 実務経験を有していれば年数を問わない

基本的な技能検定の受験資格は上記の通りですが、学歴などによって実務経験年数が短縮される場合もあるので、詳細は厚生労働省のホームページで確認してみてください。

試験内容

学科試験は3級が30問で1時間、1・2級が50問で1時間40分の試験時間で行われます。実技試験については、選択した作業によって試験時間が異なり、4〜5時間程度で行われる作業が多いようです。

合格ラインは100点満点中、実技試験は60点以上、学科試験は65点以上となっています。学科試験は真偽法および四肢択一法、実技試験の内容は事前に公表されるため、しっかり対策をしておけば、充分に合格を目指すことが可能です。

受験の流れ

1年に2回、前期と後期に分かれて技能検定が実施されます。おおよその試験日程は次の通りです。

前期 後期
実施公示 3月 9月
受験受付 4月 10月
実技試験 6月~9月 11月~翌年2月
学科試験 7月~9月 翌年1月~2月
合格発表 3級は8月、その他は10月 翌年3月

前期と後期では、実施される職種が異なる場合があるため、自分の受けたい技能検定がいつ実施されているか、都道府県職業能力開発協会のホームページなどで確認しましょう。

美しさと保護性能の向上に役立つ塗装の重要性

ここでは塗装に関して、その役割だけでなく、塗装技法、塗装の手順、塗装の資格についても解説してきました。建物やさまざまな製品の美しさと保護性能の向上に役立つ塗装は、その作業自体が建設業、製造業において不可欠であることから、高い重要性を誇ります。知識や技術を習得するだけでなく、資格の取得も検討してみるとよいでしょう。

制作:工場タイムズ編集部

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