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洗剤は工場でどう作られてるの? 洗剤を選ぶときのポイントは?

2017/02/17公開 / 2023/06/01更新

洗濯、食器洗い、お風呂掃除など、生活の中で出てくる汚れをきれいに落としてくれるのが「洗剤」です。

メーカーごとにいろいろな種類の洗剤が発売されていますが、成分や効能にどのような違いがあるのかまでは、なかなかわかりにくいですよね。

今回は、洗剤に関する基礎知識や工場での製造方法、効果的な洗剤の選び方などについてご紹介します。

生活に役立つ!洗剤の基礎知識

まず洗剤とは何かについて、あらためて基礎知識をお伝えします。洗剤と石鹸の違いをご存じですか?

洗剤の種類

洗剤は用途によって水溶液の性質(液性)が違います。

アルカリ性洗剤

キッチンや換気扇などの油汚れを落とす住居用洗剤です。

弱アルカリ性洗剤

直接手に触れる食器洗い用洗剤や、衣類の中でも比較的丈夫な綿などの繊維を洗うための洗濯用洗剤です。

中性洗剤

ウールやシルクといったデリケートな衣類を洗うための洗濯用洗剤です。

酸性洗剤

お風呂にこびり付いた水垢や石鹸カス、トイレの便器に付いた尿石や鉄サビを落とすための洗剤です。

洗剤と石鹸の違い

汚れを落とす商品としては、洗剤のほかに石鹸が昔から使われています。一見、似ているように見えますが、石鹸と洗剤にはいくつか違いがあります。まず製造方法が違います。石鹸は主に、原料となる脂肪酸を苛性(かせい)ソーダ(水酸化ナトリウム)で反応させて作ります。一方、洗剤は材料を「練る」「熱する」「粉末状にする」など、製造までにいろいろな工程を踏みます。原料も違います。石鹸はヤシ油やパーム油などの天然の動物性油脂を使用していますが、洗剤は石油から作られています。最近では天然油脂を原料にした洗剤も増えていますが、石油と天然油脂のどちらの原料から製造しても、完成した洗剤は同じ合成洗剤となります。石鹸には皮膚に優しくて洗浄力が高いというメリットがある半面、「冷水に溶けにくい」「石鹸のカスが残りやすい」「衣服が黄ばむことがある」というデメリットがあります。それに対して洗剤は、水に溶けやすく使い方も簡単ですが、環境への影響を指摘する見方もあり、使い方によっては皮膚に強い刺激を与えるおそれがあります。

洗剤は工場でどう作られてるの?

洗剤は工場でどのように作られているのでしょうか?台所洗剤を例に、製造工程をご紹介します。

ボトル(容器)の製造

まず、ボトルの原料となるプラスチックと着色料を成型機に投入し、試験管のような形をした「プリフォーム」を作ります。プリフォームを加熱して柔らかくしたら、成形機の金型にセットします。金型に空気を入れて膨らませばボトルの出来上がりです。

洗剤の製造

ボトルを製造するのと同時に、工場内の別の場所で液体の洗剤を製造します。たとえば食器を洗うときに使う台所洗剤を作る場合は、まず汚れを落とす力のある「界面活性剤」などの原料を専用の釜に入れ、温度を調整しながら混ぜ合わせて作ります。製品によっては最後にフルーツの香りがする香料を入れます。

洗剤をボトルに詰める

洗剤をボトルの中に詰め、品質検査を経て製品の完成となります。

コンパクト洗剤の製造方法

最近では洗濯に「コンパクト洗剤」を使っている人も多いと思います。コンパクト洗剤とは、洗浄成分を凝縮させたことで容器のコンパクト化を実現したもので、洗剤を少量しか使わなくても汚れが落ちるようになっています。コンパクト洗剤の製造方法も進化しました。従来の方法は、液体や粉状の原料を一度水で溶かし、それを熱して乾燥させる「スプレー乾燥・造粒(ぞうりゅう)法」で製造されていました。しかし、この製造方法は熱を使う分、エネルギー消費量が多く、CO2を多く排出してしまうというデメリットがありました。現在ではその方法が改良され、一度水に溶かして乾燥させるという工程を踏まなくても大丈夫な「直接造粒法」で製造しています。

もう迷わない!賢い洗剤の選び方

洗剤を知名度や値段だけで選んでいませんか?目的に合わせて洗剤を選べるように、洗剤選びのポイントをお伝えします。

汚れの種類で選ぶ

落としたい汚れの種類によって、最適な洗剤も変わります。洗濯洗剤を例に挙げると、食べこぼしによるシミ、泥など明らかに目に見える汚れの場合は、弱アルカリ性の粉末洗剤が効果的です。目に見える汚れではなく、服に付いたニオイや汗などを洗いたい場合には、粉末洗剤よりも液体状の中性洗剤のほうが適しています。また、なかなか落ちないシャツの襟や袖に付いた黄ばみは、粉末洗剤と漂白剤を併用すれば落ちやすくなります。

液性で選ぶ

洗浄力の強さは、パッケージに記載されている「液性」の項目をチェックするとわかります。例えば、「アルカリ性」と記載されている洗剤は洗浄力が強い半面、中性洗剤に比べると繊維への刺激が強い傾向にあります。また成分に「蛍光増白剤」と記載されている洗剤は、白系の衣服をより白くしてくれるというメリットがある半面、パステルカラーなどの優しい色の衣服を洗濯するのには適していません。

なかなか落ちない頑固な汚れには、洗濯の前に部分洗い用の洗剤や浸け置き洗剤を使用したり、特にニオイが強い衣服の場合には消臭効果の高い洗剤を使用するなど、気になる部分に応じて洗剤を使い分けることをおすすめします。

人にも環境にもやさしく、進化する洗剤

昔は洗剤に含まれる成分による皮膚や環境への影響が指摘された時代もありました。しかし、近年では天然原料を使用したタイプや、皮膚への刺激が非常に少ないタイプ、分解性が高く環境にやさしいタイプの洗剤なども販売されています。洗剤も進化しているのです。洗剤を作っているメーカーの中には、工場見学を受け付けているところがあります。興味のある人は、一度出掛けてみてはどうでしょうか?

制作:工場タイムズ編集部

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