「ライン作業」や「ピッキング」「梱包(こんぽう)」など工場での仕事には、初心者や未経験の人にも簡単にはじめられる仕事があります。
だからこそ、「履歴書に何を書けばいいのかわからない」という悩みがあるのも事実です。特に「志望動機」をどう書くかは迷うところでしょう。
そこで今回は、ライン作業に絞って「志望動機の書き方」をご紹介します。
私でもライン作業をこなせる?
志望動機を書くためには、まずその作業について知っておきましょう。
ライン作業とは、家電や自動車といった工業製品や、お弁当などの食品を工場で大量につくるときに行われる業務です。「ライン生産方式」と呼ばれていて、品質を一定に保ちつつ効率的に大量製造をするのに向いています。ベルトコンベアーなどに部品を乗せ、各工程で決められた加工をして製品を生産します。
作業自体は複雑ではないのですが、はじめる前はいろんな不安があるものです。そこで、「ライン作業」をはじめるにあたってのよくあるギモンを「Q&A形式」でご紹介します。
Q.作業スピードについていけるか不安な人は、どうすれば良いですか?
A.ライン作業は全体の工程が流れるように進むので、決められた時間内に自分の担当作業を終わらせます。最初はそのスピードについていけない人がほとんどです。しかし、マニュアルを読んだり先輩のアドバイスを受けているうちに、作業スピードは自然に上がっていくので大丈夫です。少しでも早くみんなに追いつきたい人には、イメージトレーニングがオススメ。休憩時間や帰宅後に自分の作業を思い出して練習すれば、コツがつかめるでしょう。先輩の仕事ぶりをよく観察して、技を盗むのがスピードアップへの近道です。
Q.飽きそうなイメージがありますが、対処法はありますか?
A.「ライン作業=単調」というイメージを持っている人はいると思います。しかし、担当ポジションの入れ替えがあったり、ローテーション制を採用している工場もあります。仕事が単調だと感じたときは、任されている仕事をある程度しっかりこなせるようになった段階で上司に相談するのがいいかもしれません。これまでとは違った仕事をすると、新鮮味を感じられます。
また、ポジションが変わらない場合は、自分で目標を立てることで作業に対するモチベーションを高く保つことができます。「作業を早く終わらせる」だけでなく、「美しく仕上げる」など品質にかかわる目標を立てるのが効果的です。
Q.「ライン作業で酔う」と聞いたことがあるけど、それって本当ですか?
A.「ライン作業で酔う」ことがあるのは事実です。ライン作業を仕事にした人には「ライン酔い」を経験する人もいます。ただ、人によって程度に差はありますし、体が慣れてくれば酔わなくなりますので、特に心配しなくて大丈夫です。作業する際に視線を一点に集中させすぎないのが、ライン酔いをしないためのポイント。作業の合間を見て、視線を外して遠くを見ましょう。たとえば建物の端や窓の外の風景を見るのがオススメです。
ライン作業の平均給与は?
仕事を決めるときに、仕事内容と同じくらい重視するのが「給与」。では、ライン作業の仕事は、どれくらいの給与をもらえるのでしょうか。
2015年8月時点での平均時給は「食品加工」が978円、「組立・組付け」が1146円、「仕分け・梱包・ピッキング」が1010円となっています。この数字は必ずしもライン作業だけとは限りませんが、どれもライン作業で行われることが多い職種なので、おおよその目安になります。
業種別に平均時給を見ると、「車・バイク・重機」が1204円、「機械・精密機器・金属」が1113円、「携帯・パソコン・家電」が1070円、「物流・倉庫」が1116円、「フード・飲料」が999円となっています。こちらも参考にできるでしょう。
ちなみに、1カ月に20日、1日に8時間働いた場合、「食品加工」では約15.6万円、「組立・組付け」は約18.3万円、「仕分け・梱包・ピッキング」だと約16.2万円となります。
志望動機を書いてみよう!
ライン作業の仕事がどのようなものかわかったら、いよいよ実際に志望動機を書きます。ポイントが二つあるので、それを頭において素直に書けばうまくいきます。
ポイントその一:この仕事のどこに魅力を感じたか。
ライン作業の場合、やはり「モノづくり」に携われるのが仕事の魅力です。「小・中学校のころから工作が好き」「夏休みの自由課題には積極的に取り組んだ」など、「モノづくり」が好きなことをアピールしましょう。応募先の会社の製品を調べて、「その製品が好き」と書くのもひとつの手です。
ポイントその二:なぜこの仕事をしたいと思うのか。
これは「この仕事をどれくらいできるのか」のアピールともいえます。自分の過去の経験(仕事の経験に限りません)を書いて、だから「この仕事がしたい」とアピールしてください。ライン作業に関係がないことでも、「注意力」や「集中力」のアピールにつながるので、具体的にどんなことから何を学んだのかを書くと良いアピールになります。
≪例≫私は子どものころから工作が好きで、将来はモノづくりにかかわる仕事をしてみたいと考えておりました。先日、御社の工場を見学させていただく機会があり、日ごろよく飲んでいるジュースがつくられているライン工場の様子を拝見して、とても感動しました。また、御社の社員の方に親切に案内していただき、ぜひこの工場で働いてみたいと思うようになりました。私はもともと手先が器用なうえ、きれい好きですから、食品を扱う製造業に向いていると考えております。一日も早く御社の業務に貢献できるよう努めますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
志望動機はていねいな言葉で素直に書くのが基本
志望動機は採用担当者が重視する項目ですが、あまり難しく考えず、「なぜこの仕事をしたいのか」をていねいな言葉で素直に書けば大丈夫です。その際、会社や仕事の内容についてよく調べたうえで応募していることが伝えられると好印象を持ってもらえます。応募する会社と自分自身のことをしっかり考えてから書きはじめ、あなたがどんな人物か伝わるように表現を工夫してください。
制作:工場タイムズ編集部