日本は、世界の中でも魚の消費量が多い国として知られています。生の魚はもちろんのこと、缶詰や練り物、おつまみなどの水産加工品も、日常的によく食べられます。
なかには、魚が大好きで、水産加工工場で働きたいと考えている人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、水産加工品の種類をはじめ、水産加工品が工場で作られる工程、さらに水産加工工場で働くのに向いている人の特徴についてご紹介します。
水産加工品ってどんな種類がある?
まず、水産加工品の種類とメリットについてお伝えします。
水産加工とは?
水産加工とは、魚や貝、海藻などの水産物を原材料として調理・味付けを行い、食料や油脂などの水産加工品を製造することをいいます。たとえば、まぐろフレークなどの「缶詰」、小魚などを使った「佃煮(つくだに)類」、シーフードミックスなどの「冷凍食品」、干しわかめなどの「海藻乾製品」、かまぼこなどの「練製品」、するめなどの「乾製品」は、すべて水産加工品に該当します。
水産加工のメリット
水産物を加工することには、水産物を生の状態以上においしくするという目的のほか、食品の保存性を高めるという狙いがあります。水産物には水分が多く含まれているため、その分、腐敗が進むのも速いという特徴があります。しかし、加工をすることによって細菌の繁殖を防げば、長期間保存を行うことができます。たとえば、魚の缶詰の場合、水揚げ後に生の状態のまま放置しているとすぐに鮮度が落ちてしまいますが、金属缶に詰めて密封することにより、数年間に渡って保存することができます。また、イカであれば塩辛やするめ、イカフライなど、一つの水産物から複数の種類の加工品を作ることができるため、飽きることなくいろいろな味を楽しめます。
水産加工品はどう作られているの?
水産加工工場では、どのようにして製品が作られているのでしょうか?ここでは「しめさば」を例に、水産加工品の製造工程についてお伝えします。
半解凍
水揚げされた後、冷凍したサバを10℃程度の部屋に一晩置き、半解凍の状態にします。
塩漬け
頭や内臓などの余分な部分を除去し、洗浄したら食塩水に3時間から一晩浸します。
酢漬け
塩漬けしたサバを調味酢に3時間から一晩浸します。
成形
ヒレや皮などを除去して形を整えます。
包装
パックに真空包装したら製品の完成です。
凍結
サイズごとに選別したら-30℃以下でいったん凍結させます。その後、配送までの間、-20℃以下の冷凍室で保管します。
水産加工工場では、使用する機械の拭き取り検査や加工途中の水産品のチェックなど、徹底した衛生管理が行われています。
水産加工工場でのお仕事に向いている人は?
最後に、水産加工工場で働くのに向いている人の特徴についてお伝えします。
未経験者でも働ける
水産加工工場は海沿いの地域だけに置かれているわけではなく、全国各地に存在しています。また仕事をするにあたって特に資格などは必要ないため、未経験からでも働くことができます。もちろん、水産加工や食品加工の経験者は優遇されやすくなっています。一日中、水産物を見たり触れたりできるので、魚が好きな人にとってはピッタリの仕事でしょう。
清潔感は絶対必要!
水産加工工場に限らず、食品関係の仕事に就きたいのなら、「清潔感」は大前提です。食品に1本の髪の毛が混じっているだけでも問題になりかねません。万一食中毒などが起きれば、その工場は深刻なダメージを受けてしまうおそれがあります。そのため、他の食品工場と同じように、水産加工工場はどこも衛生管理が厳しくなっています。たとえば、水産加工工場に入る前に、専用の服や帽子の着用が義務づけられています。また、工場や仕事内容によって違いますが、手の消毒を行い、エアシャワーを浴びて服に付着した異物を除去してから工場に入るところが一般的です。なかには、異物の混入を避けるために、腕の毛を剃ることが規則で決められているところもあるほどです。
手先が器用な人
水産加工工場で行う仕事の中には、手先を使った細かい作業があります。そのため、細かい作業を集中して続けられる人のほうが向いています。ただし、「それほど手先の器用さに自信があるわけではない」という人でも、一つ一つの作業をていねいに行える人であれば大丈夫でしょう。
世界の消費者に喜ばれる、水産加工工場の仕事
日本の水産加工工場で製造される水産加工品は、国内だけでなく、海外からも注目されています。日本へ来る外国人旅行者のお土産としても人気があり、水産加工品を海外へ輸出する動きも活発です。水産加工工場の仕事は、日本だけでなく世界の消費者を喜ばせることができるのです。魚好きで、食べるのはもちろん、子どもの頃から釣りが趣味だったり、漁師町に生まれ育ったという人の中には、水産加工工場の仕事に興味を持っている人もいるでしょう。近所に水産加工工場があったり、そこで働いている人が知人にいたら、一度話を聞いてみてはどうでしょうか?さらに興味が湧いてくるかもしれませんよ。
制作:工場タイムズ編集部