工場での製品の製造工程のオートメイション化に対しては、多くの企業が積極的な姿勢を見せており、そのことは工場全体の仕組みにも大きな影響を与えています。
しかし、現在でも人の手でしか行えない作業は製造業の現場に限定しても数多くあり、中にはオートメイション化の影響を受けない仕事として今後も継続して人の手によって行われることが予想される作業もあります。
このような工場をはじめとしたモノづくりの現場にて人の手でしか行えない仕事を行う人のことを製造工と呼び、その存在はさまざまな製品の製造を陰で支えています。今回は、この製造工の仕事の詳細についてご紹介します。
製造工とは?
戦後の高度経済成長期に急速に発展した日本のモノづくりでは、自動車や家電からICチップなどの精密機器や冷凍食品などの食品にいたるまでさまざまな製品の製造を行ってきました。これらの各工程では当初から人の手による作業が組み込まれていたこともあり、多くの機械が導入されるようになった今日でも、人の手を除外することは難しくなっています。
モノづくりを主に行っているのは、製造する製品の種類にかかわらず工場が多く、そこでは多くの作業員が働いています。このような工場で働く作業員のことを「製造工」と呼びます。彼らの主な仕事は、人の手先でしか行うことのできない細かな作業や機械で行うと傷がつき、製品の品質に悪影響を及ぼしてしまう可能性のある作業です。
また、中には製造工として採用され、工場内で働いてはいるものの、製品の製造工程に直接かかわっているわけではないという人も存在しますが、今回は先ほどお話ししたとおり、工場の製品の製造にかかわる作業を行う人が製造工であるという認識をしてしまって問題ありません。
一般的に製造工とは期間を限定せず雇用契約を結んでいる作業員のことを指しますが、一部の自動車工場などでは期間限定で雇用契約を結ぶ製造工を募集していることもあります。このような期間限定で働く製造工のことを「期間工」と呼び、製造工とは違う仕事と認識されることもありますが、基本的な仕事内容は製造工と同じであり、異なる点は契約期間が限定されるという点のみとなっています。
製造工を募集している主な業界
製造工を募集している主の業界は以下のとおりです。
自動車メーカー
高性能化が進む自動車の生産では人の手によって作業をしなければならない工程が数多くあり、その作業を行う人員は頻繁に募集されています。自動車メーカーで働く製造工は人数が多いことから、工場の周辺に製造工専用の社宅や寮が用意されていることも多く、製造工として比較的働きやすい環境が整っています。また、自動車メーカーの製造工は期間工として募集されることが多く、その仕事を行う人は男性が多いという特徴もあります。
家電メーカー
家電もまた高性能化が進んでいることから、人の手でしか行えない製造工程は多く、家電メーカーでも製造工は頻繁に募集されています。大手の家電メーカーの場合は自動車メーカーと同様に社宅や寮を用意していることもあるため、短期間で確実に稼ぎたいという方がこの仕事を選択することも多いようです。
精密機械メーカー
ICチップや半導体の製造では、細かな作業を行える機械の開発が追いついていないため、その製造を行う精密機械メーカーでもまた製造工は頻繁に募集されています。精密機器の製造工程では、製造環境の悪化が製品の品質に大きな影響を与えるため、自動車や家電の製造工と比較すると職場の雰囲気は大きく異なります。
食品メーカー
冷凍食品などの大量生産される食品の製造は工場のような大きな施設で行われています。このような工場における食品の製造では、材料となる食品を所定のサイズ通りにカットしていくといった作業が人の手でしか行えないようになっており、食品メーカーでもまた製造工は募集されています。また、食品メーカーの製造工は女性が多いという特徴もあります。
製造工の働き方
製造工が働く現場は工場という外部から見ることはほとんどできない施設であることから、実際に製造工がどのような働き方をしているのか分からないという方も多いかもしれません。続いては、製造工の働き方を項目別にご紹介します。
仕事内容
製造工の仕事内容は製造する製品の種類によって若干異なりますが、基本的には製品の組み立て、および検査を行うこととなります。よって、例えば自動車メーカーにて製造工として働く場合、いくつかの段階に分かれた製造工程の流れのうちの一つに割り当てられ、ベルトコンベアで流れてくる自動車に決められた部品を手順通りに取りつけていくことが基本的な仕事内容となります。
給与システム
製造工の給与システムは一般的なアルバイトや派遣社員と同じ日給制となっており、場合によってはフルタイムで働くだけで一日1万円程度稼ぐこともできます。そのため、短期間でも比較的しっかりと稼ぐことができる仕事といえます。また、支払いは1か月の勤務日数分を翌月支払うというスタイルが一般的であり、場合によっては週払いや日払いもできます。
手当
製造工が他のアルバイトや派遣社員に比べて優れている点としては、一定の期間勤務を続けた場合に支払われる「満期慰労金」や夜勤、残業、休日出勤などについての手当が充実しているという点があります。また、場合によっては寮の使用料や食事代を給料とは別に支給してくれることもあります。
製造工として働くことの魅力
製造工として働くことの魅力・メリットには以下のようなものがあります。
モノづくりを間近で体感できる
製造工の仕事は工場における製品の製造にかかわる作業となります。これらの作業ではモノづくりを間近で体験できることから、日本のモノづくりの最先端に携われるという点は大きな魅力の一つとなります。
また、例えば自動車の製造工程には製造工が作業を行う部分が数多く存在するため、さまざまな視点からモノづくりを体験できることもこの仕事の魅力です。
未経験でも取り組みやすい
製造工の求人募集を見ると分かりますが、この仕事は未経験でも応募できることがほとんどです。未経験として応募した場合、就職後に覚えることは多くなりますが、特定の資格を持っていなくても高収入が望める仕事という点は大きな魅力です。
正社員を目指せる
製造工として長期間にわたって働くと正社員として登用してもらえる場合もあります。よって、キャリアアップを目指しながら仕事ができるという点もまたこの仕事の大きな魅力の一つとなっています。
製造工はガッツリ稼ぎたい人にもおすすめ
今回は、自動車、家電、精密機械、食品などの幅広い製品の製造を行うメーカーが頻繁に募集している製造工に関して、その仕事内容や魅力をご紹介しました。日給制であることから一般的なアルバイトや派遣社員の仕事と同じようなものだと捉えられることが多い製造工の仕事ですが、実際には手当や寮が充実しているという点でも多くのメリットがあり、契約期間が限定される期間工であってもまとまったお金を稼ぎやすくなっています。
以上のことから、製造工の仕事はとにかく効率的にガッツリ稼ぎたいという人にも適しており、例えば短期間で開業資金を集めたいという方にもおすすめできます。製造工の仕事は一般的な求人誌でも募集されていることが多く、簡単に応募できるため、まとまったお金が必要という方は応募を検討してみてはいかがでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部