大きなモノから小さなモノまで工場でつくられる製品の多くには、どこかの段階で部品同士を「組み立てる」工程があります。実はこの「組立」にはいくつかの資格があるのです。
今回は、工場で行う組立作業にはどのような資格があるのか、どうすればその資格が取れるのかについてご紹介します。
組立の資格にはいろいろある!
まずは組立の資格について、代表的なものをお伝えします。
電気機器組立て技能士
電気機器というのは、家庭でよく使う電化製品のことではなく、発電機やモーター、変圧器のことです。これらの電気機器は、ほかのエネルギーを電気エネルギーに変えたり、逆に電気エネルギーをほかのエネルギーに変えるものです。また、バッテリーのように電気エネルギーを蓄えることもできます。こうした電気機器を組み立てたり、機器の調整や検査を行うのがこの資格です。
足場の組立て等作業主任者
ビルのような高い建物を建てていくときに、その周りには作業員が仕事をしやすいように足場が組まれています。「足場の組立て等作業主任者」は、その足場を組み立てたり、解体する資格です。足場を使った作業を行うときはこの資格を持った人が指示を出すことが法律で決まっています。
木造建築物の組立て等作業主任者
木造の建築物を建てるときに構造部分を組み立てたり、屋根や外壁の下地を取り付けたりする作業があります。その建築物の軒の高さが5m以上ある場合、安全に作業できるための知識と技術を持った「木造建築物の組立て等作業主任者」が活躍しています。作業が正しく安全に行われているかなどをチェックします。
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者
鉄骨の建物や橋梁の建設時には必須の資格です。高さ5m以上の金属製の部材を使って建築物の組み立てや解体を行うときに、作業方法や作業員の安全確保のための監督や指導を行います。
鉄筋施工技能士
私たち人間も身体を支える骨が丈夫であれば、ケガをしにくくなりますが、それは建物の骨組みにも同じことが言えます。大きな建物をしっかりと支えるためには、強度のある鉄筋がよく使われます。この資格は、鉄筋を使った建物をつくる際の図面作成と、実際の組み立て作業に関する知識と技能を証明するものです。
自転車技士
自転車が安全に乗れるように整備したり、故障を修理する資格です。自転車が正しく組み立てられているかをチェックし、安全性を保証します。
パソコン整備士
私たちの生活になくてはならないパソコンを組み立てたり整備するのが、パソコン整備士です。本体などのハードウェア、そのパソコンで実際に動かしているソフトウェア、インターネットまわりなど、私たちがいつもパソコンを使っている中で起こりうるトラブルに、幅広い知識と技術で対応します。
資格の取り方を知りたい!
主だった三つの資格について、取得方法をお伝えします。
電気機器組立て技能士
受験資格
3級は未経験から受験可能なので、初心者の人は3級の受験を検討しましょう。その後2級は実務の経験が2年以上または3級合格者、1級は実務の経験が7年以上または3級合格後4年以上の実務経験がある場合であれば受験が可能です。
実技作業試験内容
電気機器や変圧器、配電盤・制御盤の組み立てなどの実践作業が行われます。
勉強方法
会社の中に合格者がいれば、その人に教えてもらうのが良いでしょう。ほかには過去問が出ているので何度も繰り返し解いてみることがおすすめです。
おすすめの人
モーターなどの電気機器を扱う組立や整備に興味がある人は、仕事の幅を広めるためにもおすすめしたい資格です。
足場の組立て等作業主任者
受講資格
足場の組み立てに関する作業を3年以上経験したことがある人が取得できる資格です。または、大学、高専、高校で土木・建築・造船に関する学科を卒業し、その後2年以上足場の組み立て作業を経験している人も受験できます。
講習科目
作業方法や設備・機械に関する知識、作業者に対する教育に関する知識などの講習があります。
おすすめの人
ビルを建設するときなど、高い場所での作業を行う「とび工」を目指す人におすすめです。とび工と言っても扱うモノによって種類があるので、仕事の幅を広げる際には「足場の組立て等作業主任者」や「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」「玉掛け技能講習」を合わせて持つと便利です。
パソコン整備士
受験資格
パソコンの整備ができる人なら受験できます。等級は1~3級に分かれており、3級から順番に受験することになっています。試験合格後、パソコン整備士協会に入会すると、パソコン整備士として認定されます。
試験内容
ハードウェア、ソフトウェアの知識からセキュリティ、トラブルシューティング、サーバーの運用・保守まで幅広く問題が出題されます。
勉強方法
協会が発行するテキストがあるのでこれを中心に勉強するのが良いでしょう。
おすすめの人
パソコン整備に興味があり、パソコンショップやパソコン関連企業で働くことを希望している人におすすめです。
資格取得のメリットとは
組立の資格を持っていると、どんなメリットがあるのでしょうか。
電気機器組立て技能士や足場の組立て等作業主任者は国家資格です。その資格を持っている人が現場で作業指揮を執ることではじめて、電気機器や足場の組み立てなどの作業を行うことができます。そのため、各会社から重宝されるだけでなく、昇給やキャリアアップが期待できます。
初心者から挑戦でき、キャリアアップできる組立の資格
組立には大きな建築物の組立からパソコンの組立までいろいろな種類があります。また、それぞれの分野で国家資格や民間資格が設けられています。その資格を取得することで達成感を感じられて仕事へのモチベーションアップにつながるだけでなく、会社内でも「なくてはならない人材」として価値を高めることができます。組立の仕事に携わっている人、組立の仕事をこれから始めたいと思っている人は、その分野にどんな資格があるか調べてみるといいでしょう。
制作:工場タイムズ編集部