コンビニやスーパー、デパ地下などで売られている惣菜。美味しそうな料理が色鮮やかに並んでいるのを見て、「買わなくていいものまで、つい買ってしまった」という経験がある人もいるでしょう。
実はその惣菜にも「惣菜管理士」という資格があります。農林水産省に認可されている民間資格の一つで、2015年には資格取得者が2万人を突破した人気の資格となっています。
今回は、惣菜管理士の仕事内容と、資格の取得方法についてご紹介します。
惣菜管理士とは?
まず、惣菜管理士の仕事内容について説明します。惣菜はいろいろなところで販売されています。洋食・和食・中華と種類は豊富にあり、それぞれ揚げ物、炒め物、煮物、サラダなど食の好みに合わせて選ぶことができます。調理された状態で売られているため、忙しくて料理をする時間がないときにはピッタリです。
惣菜管理士は、安全で高品質な惣菜を消費者に提供することを目的につくられた資格です。惣菜の製造、流通、販売に携わる人を対象にしており、資格を取得することで惣菜や食品全般に関する知識を身につけることができます。
過去には、食品の偽装表示が問題になったことがあり、食の安全と信頼を求める消費者の意識は、現在とても強くなっています。また、アレルギーを持つ子どもがいる人なら、惣菜の原料や成分を非常に気にすることでしょう。このように、食に対する意識が高まっている時代だからこそ、「惣菜のエキスパート」である惣菜管理士の存在がクローズアップされているのです。
惣菜管理士の資格って?
次に、惣菜管理士の資格の取得方法について説明します。この資格は、惣菜メーカーの業界団体である「一般社団法人 日本惣菜協会」が実施しているものです。資格を取得するためには、6科目の通信教育を受講すると、年に1回行われている試験を受けることができます。
通信教育は、毎年10月から翌4月の半年間となっており、月に1科目ずつ学習します。月末にマークシート形式のテストを受け、提出して採点・添削を受けます。すべての科目に合格すると、集合研修に参加することができます。集合研修では惣菜管理士に関する講演を聞き、惣菜管理士として活躍できるよう知識を深めます。集合研修に参加すると受験資格が得られ、7月に筆記試験を受けます。筆記試験に合格すると、晴れて惣菜管理士の資格を取得できるという流れです。
惣菜管理士の資格は一級、二級、三級に分かれています。三級を受験する条件としては、惣菜に関する仕事に就いているか、過去に就いていた人、または栄養士や調理師などの資格取得者、大学や専門学校などで栄養・食品関連の学科を卒業した人です。惣菜管理士の2015年の合格率は三級が87.2%、二級が89.4%、一級が88.9%となっています。二級惣菜管理士を受験するためには三級、一級惣菜管理士を受験するためには二級の資格を取得していることが条件とされており、コンセプトや試験内容は、下記のようにそれぞれ違います。
三級惣菜管理士
三級のコンセプトは「安全と栄養」です。試験内容は「食品の衛生と安全」「食物と栄養」「食品の原材料とその取り扱い方」「食品に関する法律」「惣菜概論」「惣菜の調理加工」の6科目です。
二級惣菜管理士
二級のコンセプトは「品質と製造」です。試験内容は「食品の規格及び表示基準」「食品添加物」「惣菜工場の衛生管理」「食品衛生と微生物」「原材料の貯蔵と加工食品の保存」「食品の包装」の6科目です。
一級惣菜管理士
一級のコンセプトは「経営と管理」です。試験内容は「惣菜工場のHACCP(ハサップ=衛生管理のこと)」「労働と安全」「食品工場経営論」「応用栄養学」「冷凍食品の技術」「食品の官能評価」の6科目です。
メリットいっぱい!就職にも役立つ!惣菜管理士のお仕事
最後に、惣菜管理士の資格を取得することで得られるメリットについてお伝えします。食品メーカーや惣菜製造工場で働く場合はもちろん、調理師や学校給食などに携わる栄養士の人たちも、学んだ知識をすぐ自分の仕事の改善に役立てることができます。また、企業の中には、惣菜に関する専門的な知識を業務に役立てることができるとして、惣菜管理士の資格取得を昇進の基準にしているところがあります。
今や、惣菜は一大産業になっています。スーパーやデパ地下、コンビニなど多くの場所で惣菜が販売されており、こだわりの材料を使った惣菜も人気で、今後もさらなる市場の拡大が見込まれています。市場の拡大とともに、惣菜管理士の活躍の場も広がるでしょう。
注目が集まる惣菜管理士
健康的で安全性の高い「食」を求める消費者の意識が高まっています。現在では「惣菜管理士のいるお店」を売りの一つにするところも出てきています。食品に携わる仕事をする人にとって、惣菜管理士は今後も注目度の高い資格と言えるでしょう。資格取得に興味がある人は、日本惣菜協会のWebサイトなどをのぞいてみてはいかがでしょうか?
制作:工場タイムズ編集部