老若男女、幅広い層に親しまれるアイスクリーム。コンビニやスーパーで手軽に買えるデザートとして、昔から人気です。
アイスといえば、夏の風物詩でしたが、最近では濃厚な味わいの「冬限定アイス」も登場、季節に関係なく食卓に上るようになりました。
そのアイスクリーム、一体どのように作られているか想像したことはありますか?
今回は、アイスクリームが工場でどのように作られているか、そしてアイスが食べられる工場見学についてご紹介します。
アイスクリームは何でできている?
まず、アイスクリームの原料と消費量についてお伝えします。
アイスクリームの原料
アイスクリームの主な原料は乳製品と牛乳です。成分はクリームやバターなどの乳脂肪分と、脱脂粉乳などの無脂乳固形分に分けられます。乳脂肪分は、アイスクリームの風味を良くしたり、口当たりを滑らかにするのに欠かせないものです。無脂乳固形分は牛乳の成分から脂肪分や水分を取り除いたもので、タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれます。アイスクリームにコクを与えるのは無脂乳固形分です。原料はほかに、バニラビーンズやフルーツ果汁、果肉、砂糖、水あめなどがあり、それらを加えることでいろいろな味を作っています。
アイスクリームの消費量
総務省統計局の家計調査によると、アイスクリームに対する1世帯当たりの支出金額は8006円(2014年)でした。一方、都道府県庁所在都市別に見た1世帯当たりの支出金額は、石川県金沢市が1万969円でトップ。2位が神奈川県川崎市で1万95円でした。これに対し、沖縄県那覇市は5856円と金沢市の6割ほどになっており、地域性がはっきり表れています。なぜ北陸の金沢市の人たちがこれほどまでにアイス好きなのか、はっきりした理由はわかっていません。一方、月ごとの消費金額では、やはり夏本番の7月、8月が多く、真冬の1、2月に低迷する傾向が見られます。
アイスクリームはどうやって作られる?
次に、アイスクリームが工場でどのように作られているかについて説明します。
配合・混合・溶解
まずは材料の配合です。主な成分の乳製品、糖分、安定剤、乳化剤などを混ぜ合わせます。それらの原料にプラスして、アイスの味を決める果汁やチョコレートなどのフレーバー、香料などを加え、タンクの中で30〜70℃で加熱して溶かします。この状態のものを「アイスクリームミックス」と呼びます。
濾過(ろか)・乳化・殺菌
アイスクリームミックスを濾過して不純物を取り除きます。その後、「ホモゲナイザー」と呼ばれる均質機を使ってアイスクリームミックスを均質化します。そのことによって油脂が細かくなり、食感が滑らかになります。そのアイスクリームミックスを30分間、68℃で殺菌して、人体に有害な菌を死滅させます。
冷却・エージング・フリージング
今度はアイスクリームミックスを0〜5℃に冷やし、そのままの状態でしばらく貯蔵します。これによって、さらに滑らかさが向上します。その後、高速でかき回しながらマイナス4度~マイナス7度程度まで急冷します。これがアイスクリームの製造過程で特に重要なところです。それが終わったら容器に詰め、「硬化室」というところでマイナス30度以下に急速冷凍します。最後にもう一度、有害物や微生物等の検査を行い、合格したものが商品として出荷されます。
工場見学へ行ってみよう!
最後は、アイスクリームを作っている工場の「工場見学」について紹介します。いずれも試食できるのが魅力です。
シャトレーゼ・白州工場(山梨県)
シャトレーゼは、洋菓子やアイスクリームのメーカーです。おいしい水と添加物を極力使わないというこだわりで知られます。工場見学は自由見学とガイド付きツアー、20人以上を対象にした団体見学があります。自由見学は予約不要で、工場内の展示パネルやガラス越しにアイスクリームなどの製造工程を見ることができます。ガイド付きツアーと団体見学は予約が必要です。工場見学の後は、お楽しみのアイスクリーム試食タイム!試食用の部屋で、いろんなアイスを楽しみましょう。
https://www.chateraise.co.jp/enjoy/02factory.php
森永乳業・中京工場(愛知県)
「ピノ」などの人気アイスのほかに、「ピクニック」などの飲料品も生産されています。工場見学では製造工程のVTRを見たり、見学通路から実際に製造風景を見ることができます。「ピノ」は試食できます。また、チーズ作りを体験できるのが、この工場見学の売りです。見学の申し込みには予約が必要で、団体客を対象にしています。
https://www.morinagamilk.co.jp/learn_enjoy/factory_tour/factory/tyukyo/
ロッテ・浦和工場(埼玉県)
この工場は1964年に誕生しており、日本有数の生産規模を誇る菓子工場です。現在は「ガーナミルクチョコ」をはじめ、「パイの実」「コアラのマーチ」といったチョコレート菓子、「雪見だいふく」「爽」のようなアイスクリームを製造しています。見学後の試食も人気です。普段は団体客が対象ですが、春・夏・冬休み期間中には家族連れや少人数向けの日があります。
http://www.lotte.co.jp/entertainment/kengaku/urawa.html
進化を続けるアイスクリーム
アイスクリームはとても身近な商品です。昔ながらの素朴な味わいのアイスもあれば、脂肪分たっぷりの濃厚さと高級素材を使ったぜいたくな逸品まで、種類も豊富です。また、寒い北陸でたくさん食べられているかと思えば、暑い沖縄ではそれほどでもなかったりと、地域によって大きな差がみられる点もユニークな特色と言えます。今回は直接足を運ぶ形の工場見学を紹介しましたが、メーカーによってはWebサイト上で製造工程を見られるように「バーチャル工場見学」を紹介しているところがあります。興味がある人は、ぜひのぞいてみてください。
制作:工場タイムズ編集部