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工程管理とは? 製造業に導入する際の手順とメリット、重要なポイント

2018/08/23公開 / 2023/06/15更新

製造業で効率的に製品を生産し利益につなげるためには、多くの製品を製造するだけではなく、製品の品質を常に高い状態で維持することや、無駄なコストを削減することも重要となります。 しかし、現在の製造業における製品の製造工程は複雑化しているため、どの工程をどのように改善すれば作業の効率化をはかれるのかは簡単には分かりません。

今回は、このような製造業における作業の効率化をはかる際に重要となる「工程管理」についてご紹介します。

工程管理とは?

工場をはじめとした製品の製造を行っている現場では、「作業員」「機械」「作業方法」の3つの要素によって製品の製造工程が構成されています。また、製造する製品の構造が複雑であるほどこの工程も複雑化するため、各々の作業を円滑に行うためには作業の手順を管理しなければなりません。

このような製造業における作業手順の管理が「工程管理」です。工程管理を行うことによって作業手順が分かりやすくなり、例えば新たな作業員が製造ラインに加わってもすぐに作業を覚えやすくなる、といったメリットが得られます。

また、工程管理は工場内の各現場で行われている作業の進捗を管理することも意味します。これによって日々の作業が問題なく進み、目標通りの生産数量を達成しているかが一目で分かるようになります。それに加え、工程管理をしっかり行っていると進捗状況に問題が生じた際にもすぐ分かり、工程の改善に役立てられます。

以上のことから、工程管理とは主に「作業手順の管理」と「進捗の管理」の2種類の業務を意味すると考えれば分かりやすいでしょう。

工程管理の目的

工程管理の重要性について耳にすることはあるけど、その具体的な目的については把握しきれてないという方も多いのではないでしょうか。

工程管理の最も大きな目的の1つが「作業工程を可視化し、ムダがないかを管理すること」です。具体的には、製品の生産工程内の各プロセスでチェック体制を強化し、ムダな作業や作業員が多すぎる工程、原料のロスが多く発生している作業などをはっきりさせ、それらを改善することが工程管理の目的の1つとなります。

例えば、金属を加工して生産する製品の場合、その過程では多くの鉄くずが発生します。その量が多いほど原料のロスは多くなることから、より効率的に利益を上げるためには鉄くずが発生しやすい工程をリストアップし、作業手順の変更をはかる必要があります。工程管理はこのような作業で大きな意味を持ち、職場環境の改善が行える立場の人は、その方法を熟知している必要があります。

また、工程管理を行うことによって作業のムダを改善できると、生産性と収益率の向上にもつなげられます。このうち生産性の向上は、会社にとってムダな人件費を削減できるというメリットがあるだけでなく、残業を減らすことで作業員のモチベーション維持にもつながり、結果的に職場環境の改善も行えるようになります。

以上のことから、工程管理は製造業における広い意味での「ムダ」を排除し、より多くの利益につなげることや、職場環境をよくすることが主な目的であるといえます。

工程管理のメリット

それでは、工程管理を行うことによってどのようなメリットが得られるのか考えてみましょう。具体的なメリットとしては以下のものがあります。

コストを削減できる

「工程管理の目的」の段落でもご紹介したとおり、工程管理をしっかりと行うと、作業のプロセスで生じる原料のムダを削減できます。これによって原料費のコストを削減でき、その分は利益に直結します。このことは工程管理の大きなメリットといえます。

また、コストの削減というメリットは人件費にも当てはまります。例えば、特定の作業工程を担当する作業員の人数が多すぎることが工程管理で発覚した場合、その人員を他の工程へと配属変えすることができれば、残業時間の短縮による人件費の削減が実現します。

以上のように、工程管理は幅広いコストの削減ができるという点で大きなメリットがあります。

一定の品質が保てる

大量の製品を生産する製造業では、製品ごとに品質の違いが生じてしまうことがあります。しかし、それでは製品やメーカーへの信頼は大きく損なわれてしまう可能性があります。

工程管理によって製品の生産プロセスを常にチェックすると、製品の品質を常に一定に保つことができます。よって、大量生産を前提とするメーカーや製品にとっても、工程管理を行うことには大きな意味があります。

作業員のモチベーションを維持できる

作業員は機械ではないため、いつでも同じパフォーマンスをできる訳ではありません。とりわけ「気持ち」の問題は作業員のパフォーマンスの質にも大きく関係します。

例えば、上層部から1日の生産量を増やすことを命じられているにもかかわらず、作業方法にムダがあるため生産量を増やすことができない場合、残業が多くなってしまい、現場で働く作業員のモチベーションは下がってしまうかもしれません。工程管理によって作業方法のムダを省くことは、作業員が作業をしやすい環境を整えることでもあり、作業員のモチベーションを維持する上でも重要となります。

在庫の調整がしやすくなる

多くの商品を取り扱う会社では欠かせない「在庫管理」。しかし、そのためのシステムは構築していても、効率的に管理を行えている企業はそれほど多くありません。

工程管理をしっかりと行うと、生産数の調整もできるようになることから、不足している商品を多めに生産することや、過多状態になっている商品の生産数も減らせます。よって、在庫管理の精度を上げるという点でも工程管理には大きな意味があります。

工程管理の手順

工程管理の手順は以下の4つに分類することができます。

計画

まずは工程の全体像を把握するために「計画」を行います、例えば製造業であれば、生産ラインの構造や工数、人員数だけでなく、原料や適切なロット数などもこの段階で決めることになります。

実施

計画が済んだら、続いてはそれを「実施」します。この段階ではあくまでも計画の段階でそろったアイデアを動かしてみることが重要であるため、トラブルが発生しても問題はありません。

評価

実施の段階ではさまざまな問題が発見されるため、続いてはそれらを「評価」し、問題の原因を突き止めます。また、改善する必要のない箇所をリストアップするのも忘れないようにしましょう。

改善

評価によって問題点が分かったらそれらを「改善」し、全体の工程の精度を高めていきます。そのためには「実施」から「改善」の流れを何度も繰り返すことも重要です。

工程管理に役立つ便利なシステム

工程管理で役立つシステムには以下のようなものがあります。

受注生産を管理するシステム

工程管理は、「顧客ごとの受注生産を行っている生産者ほど難しい」という特徴があります。このような受注生産での工程管理では、受注した製品の個別でのデータ管理だけでなく、進捗状況や原価などのさまざまなデータを管理できるシステムを活用すると工程管理もしっかりと行えるようになります。

小規模工程管理に特化したシステム

工程管理は規模の大きな工場などで行われることが多いため、逆に規模の小さな工場などでは一般的な工程管理システムを利用しても上手くいかないことがあります。しかし、昨今では小規模な工程管理に特化したシステムも登場しており、大規模な工程管理向けのシステムにはないメリットを得ることができます。

特に性能の高い大規模工程管理向けシステム

大規模な工程管理向けシステムは非常に多く、その中から性能の高いものを見つけるのは容易ではありません。しかし、メインのサーバから各部署の工程を管理できるものなど、より多くの情報を一括して管理できるシステムほど大規模工程管理に向いており、それをひとつのポイントとして考えるとよいでしょう。

工程管理で重要なポイント

製品の生産を行う上でさまざまなメリットがある工程管理。しかし、それを正しい方法で行い、恩恵を受けるためにはいくつかのポイントを押さえなければなりません。続いては、工程管理を行う上で重要なポイントをご紹介します。

実際に手を動かす人が使いやすいこと

工程管理を実施し、生産プロセスにムダが見つかると、それを改善するための作業に使う新たな工具を導入する必要が生じます。しかし、このような工具の導入時には実際に手を動かす人が使いやすいことを重視しなければなりません。

例えば、理論上その工具を使えば作業効率がアップするといわれていても、作業員によっては使いづらいと感じ、生産性の低下だけでなく、モチベーションの低下も引き起こしてしまうかもしれません。

そのため、工程管理によって新たな工具を導入する場合は、実際に現場で働く作業員の意見を聞くことも大事です。

進捗(各工程の達成度)がわかりやすいこと

目標とする生産数を達成するために工程管理を行う場合、生産プロセスをいくつかの部門に分け、その各々で目標を達成できているかをチェックする必要があります。そのためには、部門ごとの進捗状況が常に把握できるようにすることも大切です。

工程管理では部門ごとの目標に対する達成度を可視化できることから、生産プロセスのどこを改善すればよいかも分かりやすくなります。また、達成度に応じた作業員の表彰制度などを設ければ、作業員のモチベーション向上にも生かせるでしょう。

工程管理で生産性と効率をアップする

今回は、製造業において生産性と効率をアップする上で非常に重要な工程管理の詳細やメリットについてご紹介しました。多くの製品の製造を行っている会社では、作業の効率化をはかるために積極的に工程管理を取り入れてみてはいかがでしょうか。

制作:工場タイムズ編集部

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