クリーニング店を利用することはありますか?
スーツやコートなど型崩れさせたくない衣類や、汚れが落ちにくいワイシャツなどは、自宅で洗わずにクリーニング店に出すという人はたくさんいると思います。衣類を清潔にし、美しく整えてくれるクリーニング技術は、大切な服を長く着続けたいという思いを助けてくれます。
クリーニング店に出された衣類は、個人経営の店以外、いったんクリーニング工場に集められ、クリーニングが行われます。
今回は、クリーニング工場でクリーニングがどう行われているかについてご紹介します。
知っておきたい! クリーニングの種類と効果
クリーニングには衣類の種類に合わせていろいろな方法があります。まずクリーニングの種類と、プロにクリーニングをしてもらうメリットをお伝えします。
クリーニングの種類
ドライクリーニング
水で洗うと縮んだり型崩れしてしまう衣類を石油系溶剤や塩素系溶剤といったクリーニング用溶剤を使って洗う方法です。スーツやジャケットなどを洗濯するときに使われます。歴史は古く、19世紀半ばには行われていました。
ウェットクリーニング
汗だくになったシャツの汚れはドライクリーニングでは落ちません。水で洗う必要があります。本来は水洗いではなくドライクリーニングすべき衣類をプロの技術で水洗いするのがウェットクリーニングです。
ランドリークリーニング
基本的には家庭での洗濯と同じですが、違うところは洗浄力を高める専用の洗剤と助剤を使っていることと、「ワッシャー」という大型の機械を用いてお湯で洗っている点です。ワイシャツやシーツ、布団カバーなど水で洗っても大丈夫なものが対象です。
特殊クリーニング
ミンクやカシミヤのコートなどの毛皮製品、皮革製品、着物などは、それぞれに合った特殊な溶剤を使ってクリーニングします。ただし、特に毛皮製品について以前と全く同じ風合いをキープできるかどうかは、事前にクリーニング店とよく話し合ったほうが良いでしょう。
クリーニング店に任せるメリット
クリーニング店は洗濯のプロです。クリーニング店に衣類を洗濯してもらうと、清潔で快適な衣類としてよみがえるだけでなく、「繊維の間に付いた汚れが落ちて通気性が良くなる」「繊維の歪みやヨレが正常に戻って耐久性が向上する」「防虫加工や撥水(はっすい)加工も一緒にしてくれる」といったメリットがあります。自宅で洗濯する場合に比べて費用はかかりますが、こうしたメリットはプロならではと言えます。
クリーニング工場でのクリーニング工程を教えて!
衣類のクリーニングは、工場でどのように行われているのでしょうか?クリーニング工場で行われているクリーニングの工程についてご紹介します。
点検、入荷
お客さんからクリーニング店に出された衣類は、店舗内でシミや破れがないかなどを簡単に点検した後、クリーニング工場へ入荷されます。クリーニング工場に着いたら改めて衣類を点検し、シミや汚れを落ちやすくするための前処理を行います。衣類の状態をあらかじめ確認しておくことがキレイな仕上がりへとつながり、トラブルを防ぎます。
クリーニング、仕上げ
衣類の素材や汚れの種類、お客さんの要望などに合わせて洗浄方法を決定し、クリーニングを行います。洗い終わったら手作業、または機械を使ってアイロンをかけ、全体の形を整えます。
シミ抜き
クリーニングで落とせなかったシミがある場合は、専用のシミ抜き機を使って落としていきます。酸化したシミは漂白処理をしないと落とせないため、ブラシやヘラなどを使って漂白剤を染み込ませた後、シミ抜きします。
包装、出荷
最後に仕上がりをチェックし、衣類にラッピングをしたらクリーニング店へ出荷します。
クリーニング工場で働こう!
最後に、クリーニング工場の仕事内容についてお伝えします。
工場スタッフ
クリーニング工場のスタッフは、主に衣類の仕分けや洗濯、アイロンがけ、検品、包装、清掃などを行います。また、入荷された衣類のポケットに物が入っていないかチェックしたり、ハンガーがけなども担当します。
工場スタッフに向いている人
作業については先輩が指導してくれるので、最初は指示に従って進めれば大丈夫です。ただ、洗濯が仕事ですから、本人も清潔感があることが大切です。また、決められた手順に従って多くの衣類を取り扱う仕事になるため、集中力のある人が向いています。激しく動き回ったり重い荷物を扱ったりすることはあまりないので、健康な人であればクリーニング工場で働くことができます。預かった衣類を清潔にしてお返しすることで、お客さんに喜んでもらえることをやりがいとして感じられる人なら、なお良いでしょう。
ボイラー技士
クリーニング工場で働く上で取得しておくと有利な資格の一つに、「ボイラー技士」があります。ボイラー技士とは「ボイラー」という熱源設備を取り扱うための国家資格です。クリーニング工場には、お湯を作るための専用のボイラー室がありますから、ボイラー技士の資格を持っていると重宝されますし、就職や転職時にも有利になります。ボイラー技士の等級には特級、1級、2級の3種類があり、いずれも試験に合格すると取得することができます。
技術とサービスの進化が、需要を支えるクリーニング工場
清潔好きで、「石鹸の匂いを感じられる環境で仕事をしたい」「きれいになった衣類をお客さんにお返しして、喜んでもらえるのがうれしい」という人には、クリーニング工場の仕事はピッタリです。クリーニングの技術は進化していて、現在では衣類だけでなく、布団、カーテン、じゅうたん、ぬいぐるみまで対応できるようになりました。また、お客さんの自宅まで衣類を取りに来てくれるという宅配サービスもあります。ここ一番というときには、クリーニングされて、プレスの効いた服でのぞみたいもの。そんな人たちがいる限り、クリーニングの需要が衰えることはないでしょう。クリーニングに興味のある人、手に職をつけたいという人は、一度クリーニング工場の求人に応募して働いてみてはどうでしょうか?
制作:工場タイムズ編集部