重たい荷物を持ち上げて、移動させたいときに大活躍のクレーン。
クレーンの先端についているフックに荷物を掛けて移動させます。フックに荷物を掛ける作業には、資格が必要ってご存知ですか?
今回は、その資格の取得に必要な「玉掛け技能講習」についてご紹介します。
玉掛けの技能講習とは?
玉掛けとは、クレーンで荷物をつり上げるための準備から、荷物を降ろすまでの一連の作業のことです。この玉掛けの作業をするためには、講習を受けて、学科と実技の試験をクリアする必要があります。
具体的には、・つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン若しくはデリック・揚貨装置の玉掛け作業に、「玉掛け技能講習」を修了していることが条件となっています。このルールは、労働安全衛生法によって定められています。労働者が、安全で健康に働けるために、いろいろな基準が決められています。
また、資格を持っている人のもとで補助的な業務を行う場合には、資格は不要です。補助業務を一定期間経験した人は技能講習を受ける時間が短くなるなど、特別なルールもあります。
玉掛けの技能講習はなにをするの?
玉掛け技能講習では、どのようなプログラムになっているのでしょうか。一般的に「学科2日」と「実技1日」の計3日間の講習になっています。
学科では「クレーンに関連する知識」「クレーンへの玉掛け方法」「クレーンへの玉掛けに関する力学の知識」「クレーンの関係法令」などについて、テキストをもとに進めていきます。ここでは、クレーンの構造や種類、玉掛け用具の点検方法、安全な玉掛け方法について教えてもらいます。また、荷物をクレーンで持ち上げる際にバランスを保つための知識を、実際の玉掛け作業を想定しながら勉強します。
そして、2日目の最後に学科の試験があります。試験はマークシート方式で1時間です。複雑な問題ではなく、講義の内容が頭に入っていれば問題なく解ける内容となっています。
次に実技です。実技では「クレーン運転のための合図」や「クレーンの玉掛け」の作業を実際に行います。ここでの服装は、ヘルメットに長袖・長ズボンの作業服、軍手に合図用の笛など。実際の現場とほぼ同様のフル装備です。
荷物を持ち上げるまでの準備から、実際に持ち上げて移動させる作業、最終的に荷物を下ろす作業までを実際にやってみます。
ここで注意するポイントとしては、離れた場所にいるクレーンの運転者とコミュニケーション。笛の音や、動作の合図は、しっかりと行いましょう。また、玉掛け用具の点検や、荷物が水平になっているかどうかについても、慎重に。荷物を持ち上げてから下ろすまで、補助者や運転者との適切なやり取りを心掛けることが大切です。
そして、実技試験。実技講習で学んだ、玉掛け作業の実技テストを行います。指揮者1名、補助者2名、全部で3役を順番に練習します。指揮者役は、補助者2名とクレーン運転者に指示をおくります。焦らずに、習ったことを確実にこなして、試験をクリアしましょう!
技能講習を受講する方法は?
玉掛け技能講習は、技術系の教習所で受講することができます。教習所は全国各地にあるので、Webサイトを確認して、受講できる教習所をチェックしてみましょう。
受講料は20000円~30000円くらいが目安です。玉掛け技能講習を受けるためには、最低で3日必要です。そのため、教習所によっては、寝泊りができる場所を用意していて、宿泊費が込みの合宿パックもあります。
移動式クレーン又はクレーン運転士免許・デリック運転士免許・揚貨装置運転士免許取得者、小型移動式クレーン運転技能講習および、床上操作式クレーン運転技能講習修了者は、講習が免除になる場合があります。講習時間が短縮されて、受講料も少し安くなるケースがあるので、この資格を持っている方は、あらかじめ調べておくことをオススメします。
まとめ
「玉掛け技能講習」について、ご理解いただけたでしょうか?工場や工事現場などでよく目にするクレーン。そのクレーンへの玉掛け作業をするためには「玉掛け技能講習」を受講する必要があります。講習をしっかりと受けていれば、試験は問題なくクリアできるので、資格の習得は難しくありません。わりとリーズナブルに受講できるうえ、短期間で習得できる資格なのです。製造業で働くことを考えている方は、チャレンジして損はないです。活躍の場がぐっと広がります!
制作:工場タイムズ編集部