ファッション業界、アパレル業界に関係する資格の中に「繊維製品品質管理士」があります。
一般的にはそれほど知られていない資格かもしれませんが、「繊維のプロ」として、製品の品質に目を光らせるのが主な業務であり、アパレル業界では高く評価されている資格の一つです。
アパレル製造工場で働いている人、これから就職や転職を希望する人も、取得しておくと役に立ったり有利に働くことがあるでしょう。
今回は繊維製品品質管理士という資格の概要をはじめ、資格取得のメリット、活躍できる業界などについてご紹介します。
繊維製品品質管理士とは?
まず繊維製品品質管理士という資格の概要についてお伝えします。
繊維製品品質管理士とは「一般社団法人 日本衣料管理協会」が認定する、繊維製品の品質管理に関するスペシャリスト(専門家)に与えられる資格のことです。繊維製品品質管理士の資格制度(通称「TES制度」)には、「企業活動の合理化」「消費者利益の保護」「企業と消費者の信頼関係の改善」といった狙いがあり、ファッションビジネスの世界では重要な資格の一つとして位置づけられています。また、TES制度は人材を育てる手段としても評価されており、アパレル業界では社員教育の一環として活用されています。繊維製品品質管理士の資格を持っていると品質や技術面を保証する一定の目安となります。それが取引先に対するアピールにもなるため、資格取得者の中には名刺に資格名を印刷している人もいます。
どんなお仕事で活躍できるの?
繊維製品品質管理士の資格を持っている人の数は、平成28年3月現在で7193人となっています。それぞれどんな分野で活躍しているのでしょうか?業種と業務別にお伝えします。
繊維製品品質管理士が活躍する業種
アパレル:27.5%検査機関:14.2%商社・卸:11.2%紡績・織物・編物・不織布:9.3%クリーニング:5.2%染色加工:4.8%百貨店・量販店・専門店:4.3%通信販売:3.5%行政機関:2.3%など
繊維製品品質管理士が活躍する業務
営業:13.8%品質管理:13.7%試験検査:11.8%商品企画:8.3%生産管理:6.9%商品開発:5.4%苦情相談・処理:3.9%教育指導:2.5%など
※いずれも「日本衣料管理協会」Webサイト(http://www.jasta1.or.jp/)より
上記の分類を見ると、幅広い業種・業務の人が繊維製品品質管理士の資格を取りたいと希望し、実際に資格を取得して各分野で活躍していることがわかります。
繊維製品品質管理士の資格をとろう!
最後に、繊維製品品質管理士の資格を取得するために必要な試験の情報や、試験対策などについてお伝えします。
認定試験のポイント
学歴・年齢に関係なく受けられる
繊維製品品質管理士の認定試験に受験資格の制限はないので、未経験者や初心者でも試験を受けることができます。
筆記試験の一部免除制度がある
「大学(または短期大学)で繊維の技術に関する科目を修得した人」や、「繊維製品の品質管理に関する業務に通算5年以上従事した人」「衣料管理士の称号を持つ人」は、筆記試験のうちの『繊維に関する一般知識』が免除されます。
試験の難易度
試験科目には大きく、基礎的な知識が問われる「短答式試験」と、応用能力が問われる「記述式試験」の2種類があり、合格ラインはどちらも100点中60点以上が目安です。難易度はそれほど高くありませんが、合格するためにはしっかりと対策をしておくことが大切です。
公式のテキストを活用しよう
家政学科のある大学や短期大学に通っていれば、繊維製品品質管理士の資格を取得するための授業を受けることができます。もちろん、独学で勉強して合格することも可能です。繊維製品品質管理士の認定元となっている日本衣料管理協会は、公式のテキストや試験問題集を販売しています。合格に向けて活用すると良いでしょう。
繊維製品品質管理士はアパレル工場で働く人にもオススメ
繊維製品品質管理士は「繊維のプロ」です。服の販売や商品開発、服についての苦情処理を仕事にしている人はもちろん、服を製造するアパレル工場で働いている人にとっても役に立つ資格です。取得しておけば品質管理の仕事なども任されやすくなりますし、キャリアアップにつながります。また、繊維製品品質管理士の資格は将来性が高く、取得していると就職・転職に有利です。興味のある人は日本衣料管理協会のWebサイトなどを見て、試験概要を確認したり、テキストや問題集を取り寄せて勉強してみてはどうでしょうか?
制作:工場タイムズ編集部