メッキ加工は、車や精密機器、家庭用品、アクセサリーなど幅広い製品に使われています。
メッキの目的は、外観を良くすることやサビを防ぐこと、機能性を高めることなどいろいろです。
メッキの世界には「メッキ技能士」という国家資格があり、技術者のレベル底上げのため積極的に取得するよう勧めている企業もあります。
今回は、この「メッキ技能士」の資格についてご紹介します。
「メッキ技能士」とは?
日本のモノづくりを支えるメッキ加工。その資格「メッキ技能士」の概要を説明します。
検定の概要
「メッキ技能士」は、国家資格である技能検定の一種です。特級から1級、2級、3級に分かれており、学科試験と実技試験があります。実技試験は、電気メッキ作業、溶融亜鉛メッキ作業の2種類に分かれています。「電気メッキ」とは比較的安価に使える技術で一度に多くの製品をメッキ加工するのに向いています。また「溶融亜鉛メッキ」とは亜鉛を使ったメッキ加工で、電気メッキに比べて手間がかかるものの、長持ちする特徴があります。
選択した作業試験ごとに、学科試験では選択科目が決められています。試験日程は前年度の3月頃に公表されるので、各都道府県職業能力開発協会や中央職業能力開発協会が発行する試験案内を確認しましょう。
認定されるスキル
メッキ加工における技術力の高さを証明することができます。メッキに関する総合的な技能を取得できるので、機械を操作しているだけでは身につかない、作業の全体像を理解することができます。
受験資格
3級:実務の経験が半年2級:実務経験2年、または3級合格1級:2級を合格してから実務経験2年、または3級合格後実務経験4年特級:1級を合格してから実務経験5年
このように、持っている級によって自分の技能レベルを証明できる上、ステップアップできるように等級が分かれているので、向上心を持っている人にはオススメです。また、1級を取得すると後輩の指導を行うことができ、職務の範囲が広がります。
合格するための対策やコツは?
「メッキ技能士」に合格するためのポイントをまとめました。
実技試験のポイント
製品の仕上がりに関係する細かいところにまで気を配ることが、合否のカギを握ります。手の脂分が製品につくとメッキにムラができてしまうので、接触面積を少なくするよう心掛けることがコツです。
難関のひとつは、ミリ単位での作業となる治具づくりです。治具とは、メッキ加工をする際に製品を固定するためのものです。現場ではラック、ハンガー、タコ、ひっかけなどと呼ばれることもあります。実技試験本番で緊張しないよう、練習を積んでおくことが大切です。資格を取得している職場の先輩たちにコツを聞いてみるのがいいでしょう。
学科試験の対策や勉強法
参考書として人気があるのは、神奈川県メッキ工業組合が編集・発行している『めっき基礎読本』です。メッキ作業や工程の基礎知識を網羅した内容が評価されています。
過去問としては、中央職業能力開発協会や雇用・能力開発機構が出版しているものを使うと良いでしょう。合格した人の多くが、参考書でわからないところを確認しながら過去問を中心に学習しています。
実務で役に立つ!しかも優遇制度も!?
「メッキ技能士」を取得することで得られるメリットをお伝えします。
「メッキ技能士」取得で実務に役立つこと
メッキ加工の総合的な技術力が向上するので、よりキレイな表面加工ができるようになったり、製品の仕上げの精度が上がったりと実務に直結する能力が身につきます。その結果、お客さんのリクエストに十分応えられるようになり、社内外から信頼を得られます。
また、後輩を指導して技術を伝えることができるので、職場全体の技術力向上につながります。自分のリーダーシップをアピールすることもできるでしょう。
優遇制度
優れた技術者を育て確保したいという思いから、「メッキ技能士」取得を積極的に勧めている企業があります。なかには、資格手当や資格取得支援制度を設けて、職場の全員が「メッキ技能士」の資格を取ることを目指している企業もあるほどです。
ステップアップしたい人にピッタリの国家資格
モノづくりの現場になくてはならないメッキ加工。「メッキ技能士」は、現場で培ったメッキ技術のレベルを証明できる国家資格です。特級から3級まで等級が分かれているので、ステップアップを目指したい人にオススメです。
また、メッキ業界には、「全国鍍金(ときん)工業組合連合会 」(全鍍連)が主催する「全国めっき技術コンクール」という大会があります。平成4年から開始されたコンクールで、「研磨-装飾クロムめっき部門」「無研磨-装飾クロムめっき部門」「無研磨-亜鉛めっき部門」の3種目が用意されています。参加資格や応募方法、試験概要などを知りたい人は、「全鍍連」のWebサイトをチェックしてみましょう。
制作:工場タイムズ編集部