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職人技が光る! キレイで繊細なガラス細工をもっと知りたい!

2015/12/22公開 / 2023/06/05更新

骨董品から芸術作品、民芸品、日用品に至るまで、あらゆるところで目にする「ガラス製品」。

その歴史は紀元前から始まります。ガラスを生活用品、工芸品として使うようになったのは江戸時代の頃から。

職人ならではの現代に受け継がれた技術と、繊細で美しいガラス細工についてご紹介していきます。

ガラス細工とは?

日本でつくられているガラス製品にはいくつか種類があります。

ステンドグラス

着色、色付けなどの意味を持つ「ステイン」から由来しているステンドグラス。主に教会の窓ガラスやランプなどに使われます。

もともとはガラスに焼き絵を加工したものを言いますが、国によってとらえ方は違います。日本では一般的に、色のついた複数枚のガラスを鉛でつなげて仕上げた作品をステンドグラスと呼びます。

とんぼ玉

名前の由来は諸説ありますが、一般的には「穴の開いたガラス玉がトンボの複眼に似ているから」と言われています。主に装飾品に用いられ、江戸時代は青地に白い花の模様を描いたものを「とんぼ玉」と呼んでいました。

とんぼ玉は火で溶かしたガラスを棒にくるくると巻きつけて形をつくります。戦前になると、とんぼ玉は“贅沢品”として製造を禁じられましたが、戦後には江戸時代のとんぼ玉などを参考にして復元され現代の技術として受け継がれています。今ではお土産屋さんなどでビーズやかんざしの一部として使われているのを見かけますよね。

江戸切子、薩摩切子

切子は、ガラスの表面に彫刻する“技法”です。江戸切子は、国、そして東京都指定伝統工芸品で、葛飾区指定の伝統産業とされていますが、実は機械で削っても、手で削っても「切子」と呼ばれています。

切子の技法は江戸から始まり、その頃は無色透明のガラスに金棒、金剛砂やヤスリを使って細工を施していました。そして、その技術が薩摩に渡ると、色のついた薄いガラスの膜を被せた「色被せ」という加工を表面に施してガラスに切子細工がされるようになりました。青や赤のグラスに切子を彫ると無色透明の美しい模様が浮かび上がります。それを逆輸入するような形で、江戸でも色被せの技術を使われるようになったのです。

江戸切子は色被せが薄く、彫りがハッキリしています。対して薩摩切子は色被せが厚いので、切子の細工をすると「ぼかし」と呼ばれるグラデーションが柔らかい印象に仕上がるところが二つの違いです。

琉球ガラス

沖縄で初めてガラス製品がつくられたのは明治中期頃と言われており、ガラス製品の歴史の中でも比較的新しい工芸品です。長崎や大阪から職人がやってきて、沖縄に技術を継承しました。そうして沖縄でガラス製品が広まり、当時はランプをはじめとする生活用品がつくられていました。

現代の形になったのは戦後になってからです。アメリカ駐留軍が使っていたソーダやビールなどの廃瓶を色ごとに分け、きれいに洗って再利用することからつくられ始めました。廃瓶を使ってつくられたグラスは吹きガラス(下記参照)でつくるのが一般的で、厚みがあり、ガラスの中に生じる気泡が特徴です。本来、下級品であった気泡入りのグラスは米軍兵士が帰国するときのお土産として売れていき、今となっては琉球ガラス独特の特徴として受け入れられるまでになりました。

ガラス細工ってどうやってつくるの?

ガラスは主に「吹きガラス」または「バーナーワーク」によってつくられます。

「吹きガラス」は息を吹き込んで形をつくる方法です。風鈴やコップ、花瓶などのガラス製品がこの方法によってつくられ、手動で形を整える方法と金型を使って形をつくる方法があります。1100~1400度の高温の炉の中で、まるで水あめのように溶けたガラスを材料に、ステンレス製のパイプに巻きつけて形をつくるのです。重力によって形が崩れないように常にくるくる棒を回しながら形をつくります。

「バーナーワーク」は、強い火力で直接ガラスを溶かしながらとんぼ玉をつくる方法です。キッチンコンロのような火力を強くした機械を用いて、棒状になったガラスをその機械の火で溶かします。ガラス棒を回転させながら理想の柄や大きさになるまで、何度も溶かしては固めての作業を繰り返します。

進化した身近なガラス細工

最近では、デザイン性の高いガラス細工が増えてきています。バーナーワークで不思議な模様をつくり出す宇宙ガラス、ガラスの中にクローバーや花を閉じ込めたガラス細工など、その美しさ、可愛らしさが注目を集めています。

世界には、どこを切っても同じ柄が出てくる「ムッリーネ」と言われるガラス工芸品があります。着色されたガラスをバーナーワークで金太郎あめのように棒状につくり上げた工芸品です。アメリカのカリフォルニア州で活躍するローレン・スタンプさんはガラスとステンドグラスの職人ですが、そのムッリーネという技法を使い、まるで一枚の絵画のように精密で繊細なガラス細工をつくりあげて話題になりました。

職人のこだわりが集約された伝統技術の継承

伝統工芸品の衰退や継承者の不在で衰退しつつある技術ですが、最近では後継者を育てようと公的な研修機関が設けられつつあります。ガラス工芸も例外ではありません。体験教室などで気軽に訪れることができる工房もあるようなので、モノづくりが好きな人はぜひ一度訪れてその手で体験してみると面白そうですね。

制作:工場タイムズ編集部

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