工場ではたくさんの製品を生産しています。また、効率よくできるだけコストを抑えられるよう工夫をしています。
そんなときに重要なのが「工程管理」です。
原材料を仕入れ、製品を生産して出荷するまで、一連の作業を把握して計画通りに進むよう管理します。今回は工程管理についてご紹介します。
工程管理の手順
工程管理とは、工場で製品が出来上がるまでのすべてを管理することです。原材料の仕入れから生産、品質検査、製品の保管、梱包(こんぽう)、出荷などの作業の流れを管理します。
工程管理はこのような手順で進められます。
計画(Plan)
何事もはじめる前の計画が大切ですが、工場で製品を生産するときも同じです。どれくらいの期間で、どれくらいの量の製品をつくるかを決め、作業の流れや必要な材料・人員の数など具体的な計画を立てます。
実施(Do)
計画をもとに生産を行います。このとき生産がスムーズに進んでいるかを確認し、問題や改善点があればそれを書き出します。
評価(Check)
書き出した問題点の原因がどこにあるのかを調べて改善案を立て、より効率の良い生産方法を考えます。
改善(Action)
改善案を実行します。それでもいい結果が出ない場合は、もう一度計画から練り直し、目指す工程が出来上がるまで改善を続けていきます。
この「計画(Plan)」→「実施(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」の流れは、それぞれの英語の頭文字をとって「PDCAサイクル」と呼ばれ、工程管理の基本と言われています。
工程管理表の種類
工程管理をするためには「工程管理表」をつくります。工程管理表にはいくつか種類があります。それぞれに長所と短所があって、使う場面も違います。その種類を見てみましょう。
横線式
上から下へ向かって各工程を書き、左から右に時間の流れを書いて、各工程がどの期間に行われるかを横棒グラフで示します。作業の細部や工程間の関係がわかりづらいものの、つくり方が簡単で全体の大まかな流れが見やすいです。バーチャートとも呼びます。
曲線式
完成した工程管理表にバナナのような図形が描かれるため、バナナ曲線とも呼ばれます。縦の軸は工程の進み具合、横の軸は時間の経過を表します。その表に工程が早く進んだ場合と遅れた場合の進行を曲線でグラフ化します。具体的な作業内容が見えづらい半面、全体の進行具合の確認に便利です。
ネットワーク式
各工程の前後関係や流れを矢印で示した工程管理表です。工程の全体像をよく頭に入れておけば、工程表をつくるのに手間取ることがないでしょう。ひとつの作業が終わったら、次はどの作業に移ればいいかという工程間の関係がひと目でわかり便利です。
工程管理のメリットは?
工程管理をしっかり行うことで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
製品原価を正確に計算できる
製品をつくるのにいくらかかったかを知るには、作業全体にかかったお金を常に把握しておく必要があります。工場の場合は人件費や機械を動かすための電気代、機械の修理にかかった費用をしっかり管理することが大切です。
コスト削減につながる
原価を知っておくことは、コストの削減につながります。工程管理がしっかり行われていれば、どの工程でどんな無駄が発生しているのかがわかり、そこからコスト削減案をつくることができます。
決められた納期を守れる
モノづくりに限らず、納期はとても大切です。納期までに製品を完成させるためには、工程がどこまで進んでいるかを示す「進捗状況」を把握するのが大事です。工程管理を行っていれば、進捗状況がわかりやすくなり、納期を守るのに役立ちます。
適切な在庫を持てる
工場での生産は、製品の売れ行きを見ながらコントロールします。1日50個売れる部品を毎日100個つくったら、倉庫はすぐに在庫でいっぱいになってしまいます。工程管理で生産する量を調整すれば、適切な在庫量を保つことができます。
製造業で欠かせない工程管理
工程管理がなければ、コストも納期も無計画なまま生産が行われることになります。工程管理表は、製造業が効率的な生産を行って利益を出すために大切なツールです。働いている工場では、どのような形式の工程管理表が使われているのかみてみましょう。あなたの工場の改善ポイントが見えてくるかもしれません。
制作:工場タイムズ編集部