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花火の製造に関わりたい! 夏の風物詩を盛り上げるお仕事とは?

2017/02/16公開 / 2023/06/01更新

日本の夏の風物詩の一つに「花火大会」があります。

日本の花火に関する技術の高さや美しさは世界一と言われていて、有名な花火大会にもなると、数十万人の観客が押し寄せます。

花火を製造しているのは、「花火師」と呼ばれる人たちです。 では、花火はどのようにつくられているのでしょうか?また、花火師になるにはどうすればいいのでしょうか?

今回は、花火の製造工程や花火師の仕事内容についてご紹介します。

こんなにたくさん!花火の種類

日本の花火は、手持ち花火から打ち上げ花火までバリエーションが豊かなことが特徴ですまずは、多種多様な花火の種類からお伝えします。

打ち上げ花火のいろいろ

昼花火

花火=夜に上げるものと思いがちですが、運動会や祝賀会などで打ち上げられる昼花火もあります。昼間に使用される花火は、「音物」「割物」「吊り物」「細工小物」と呼ばれ、音や煙のほか、パラシュートが飛び出すなどの仕掛けで楽しませてくれることが特徴です。

夜花火

花火大会でも定番の夜花火は、音と光、そして打ち上げたときにいろいろな形を描くことで夜空を彩ってくれることが特徴です。よく見かける円形の大きな打ち上げ花火が「割物」「半割物」です。ほかには、破裂したかのように左右へ光が散らばる「ポカ物」、上空へ音と光が上り詰める様子が楽しめる「昇り曲」などが有名です。

仕掛け花火のいろいろ

花火大会のクライマックスに打ち上げられることの多い仕掛け花火は、見た目の派手さと、打ち上げる環境とのコラボレーションが見どころ。水辺で行われる花火大会であれば、ワイヤーに無数の花火を吊り下げて爆発させる張物仕掛け「ナイアガラ」や、ボートから水中へ花火を直接投げ込む水中物「スターマイン」などが人気です。

玩具花火のいろいろ

手持ち花火

スーパーやコンビニで気軽に購入できる手持ち花火は、子供たちに大人気。小さな子どもでも安全に楽しめるすすき(細長い筒状の花火)や線香花火のほか、勢い良く飛び出す火花が人気の吹き出し筒(少し太めで筒状の花火)などいろいろな種類があります。

ロケット花火

発火までのドキドキ感を楽しみたい人に人気なのが、ロケット花火や爆竹、クラッカー類。自分の手で着火することで、小さな打ち上げ花火を上げられたり、大きな発火音を出すことができるので、素人でも花火師気分を味わえるところが人気です。

花火の製造工程が知りたい!

次に、花火の製造工程についてお伝えします。製造技術が日々進化している日本ですが、花火の製造工程については基本的に昔からほとんど変わっておらず、多くの工程が花火師たちの手作業で行われています。

火薬の配合

花火の種類や打ち上げた際のイメージに応じて、必要な火薬を独自の分量で混ぜ合わせます。

星掛け

花火特有の火の光の元となる「星」をつくるため、専用の回転釜(星掛け機)を使って、配合された火薬と水を混ぜ合わせます。回転させることで火薬に水分が付着し、火薬が大きく膨れ上がっていきます。

日乾

星がある程度のサイズになったら、日光にあてて乾燥させます。乾燥→星掛けを繰り返すことで星を大きくしていきます。

玉込め

星が完成したら、玉皮と呼ばれる球体を半分に割った容器の中に星と導火線を配置していきます。詰め方によって打ち上がり方が変わります。

薬詰め

玉を空中で割るための火薬(割り火薬)を詰めます。さらに、星や火薬は摩擦で発火してしまうため、間に和紙を挟み込んで発火を防ぎます。これらの作業が完了したら、半球を一つに合わせます。

玉貼り

打ち上げ時、玉が空中で美しく開くように完全な球体に仕上げていきます。専用の紙を球体に貼って何度も転がすことで、均一に圧力のかかった完璧な球体へと仕上げます。

日乾

最後に、数日間の天日干しを行うことで湿気を飛ばしきります。

花火を作るお仕事に就くには?

花火師の仕事に興味があるけれど、どのように目指せば良いのかわからないという人のために、必要な資格や就職方法をご紹介します。

花火師の仕事内容

花火師の正式名称は「煙火(えんか)業者」。「公益社団法人 日本煙火協会」の登録者を一般的に花火師と呼んでいます。主な仕事内容は、夏場に行われる花火大会での打ち上げ作業です。ほかには、運動会やイベントなどでの打ち上げ業務や、花火の製造・販売・輸出入業務、花火大会の企画・消費許認可の代行など、花火に関わるいろいろな業務を幅広く行っています。また、花火師専業ではなく、土木や建設業と並行して煙火業を行っている人も多くいます。いずれの業務も力作業となるため、身体を動かすことが好きな人や、モノづくりが得意な人、イベントを一からつくり上げることに興味がある人に適した仕事です。

花火師になるには?

花火師になるためには、花火関連の企業へ就職して経験を積むのが一般的ですが、花火会社は家族経営で成り立っているところもあり、一般的な求人媒体などで応募がかけられることは少なめです。そのため、自分で会社を探して直接連絡をするといったアクションを取ることが大切です。10年程度の修業期間を終えると、一人前の花火師として認められるようになります。

資格については、花火大会などで打ち上げ花火を担当したい場合、日本煙火協会が発行する「煙火打揚従事者手帳」が必要になります。まず協会が指定した業者へ就職し、年1回開講される講習に参加すると、この手帳の取得が可能になります。また、必須ではありませんが、「火薬類取扱保安責任者」を取得しておくと、火薬類を保管・使用する際に、取り扱いの指導や監督を行うことができます。

花火師の給料

所属する会社の規定次第ですが、初任給は15万円程度からスタートと考えて良いでしょう。ただし、ベテランになると大きな花火大会を一任されるなど、個人で仕事を獲得できるようになるため、なかには年収1000万円を超える花火師も存在します。定年がなく、一生涯で活躍できる仕事なので、技術を極めるにつれ、着実に年収を上げていくことが可能です。

アルバイトから花火製造に就く道もある!

一般向けに求人が公開されにくく、足がかりをつかみにくいイメージのある花火師の仕事ですが、どうしても花火に関わる仕事に就きたいのであれば、夏季限定のアルバイトを探すという手もあります。そのためには、事前に花火業を営む企業をピックアップして採用の有無を確認しておきましょう。アルバイトになって、毎年呼んでもらえるようになれば、最終的に正社員採用へとつながる可能性もあります。門戸が狭い分、一度花火師の仕事に就いてしまえば、代えのきかない人材として長く活躍することができます。根気強く、就職のチャンスを探し続けましょう。

制作:工場タイムズ編集部

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