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大切な思い出を刻んだ時計を直して! 時計修理はどんな仕事?

2016/01/11公開 / 2023/06/02更新

日当たり前のように動いている時計が止まってしまったら?思い入れのある大切な時計が壊れてしまったら?

――そんな時は、時計の修理を依頼しますよね。では、時計の修理とは、具体的にどんな仕事なのでしょうか?

今回は、時計修理の仕事内容と資格についてご紹介します。

時計修理のお仕事とは?

時計修理の仕事には大きく分けて「修理」と「メンテナンス」があります。「修理」とは壊れた時計を再び使用できるようにすることです。「メンテナンス」とは時計が壊れないようにチェックしたり掃除をする作業です。では、「修理」と「メンテナンス」について、部品別にもう少し詳しく説明します。

オーバーホール

オーバーホールは、時計を一度分解して掃除する作業です。私たちが定期健康診断を受けるように、時計も定期的に点検をすることが大切です。長く使っている時計は、部品がすり減っていないか、スムーズに動くための潤滑油が古くなっていないかを確認します。潤滑油はおよそ3~5年で乾燥し、時計が止まったりサビが発生する原因になります。そのため、時計が壊れる前に分解してチェック・洗浄し、必要があれば修理を行います。

電池

電池で動く時計の場合、当然電池の寿命があります。寿命が来た電池を新しいものに取り換えるのは、時計修理の中でも非常に依頼が多い仕事です。電池交換なら、「修理を頼まなくても自分でできるのではないか」と思う人がいるかもしれませんが、時計は繊細な機械なので、時計の内部を知り尽くしたプロに任せるのが一般的です。

文字盤

どれだけ時計を大切に使っていたとしても、年数を重ねると文字盤が変色したり、傷がついたり、塗装がはげてしまうもの。そんな古くなった文字盤は、もう一度塗装することで、まるで新品のように生き返らせることができます。古くなっていなくても、「文字盤の色を変えたい」という要望にこたえて、塗り直すこともあります。

ガラス

時計のガラスは重要な部品の一つ。ガラスについた細かい傷は、磨いてきれいにできますが、大きな傷やヒビはガラスごと交換をします。

バンド

バンドは、金属製のものや革製のものなどデザインに合わせてたくさんの種類があります。その中でも金属でできたバンドは、「コマ」という小さな部品をつなげて作られます。このコマを足したり外したりして、バンドの長さを調整するのです。また、コマをつなぐ部品をピンと言います。ピンが劣化したり緩んでしまっている場合は、事前に新しいものに交換します。

時計修理に求められる人は?

時計修理の仕事は、どんな人が向いているのでしょうか?時計修理を仕事にするために、一般に求められることを見てみましょう。

時計が好き

「いろいろな時計を見るのが好き」「お気に入りの時計を持っている」「時計の歴史や性能に興味がある」など、時計に対する「好き」という気持ちは、時計修理におけるスキルの一つだと言えます。

手先の器用さと集中力

非常に小さいものを扱うので、手先が器用な人が向いています。さらに、細かい作業が苦にならず、集中して取り組める人が良いでしょう。

刻まれた時をよみがえらせる喜び

お客様が身につけた時計には、過ごした時間、大切な思い出が刻まれています。そんな時計を自分の手で修理することに喜びを感じられる人は、この仕事にピッタリです。

時計修理の資格って?

時計修理には検定試験があり、合格すると「時計修理技能士」の資格が与えられます。

時計修理技能士とは?

国が証明する国家検定試験である「時計修理技能検定」に合格すると、時計修理技能士を名乗ることができます。試験の難易度により、1級、2級、3級まで区分されています。

どんな検定試験なの?

受験資格

3級は、実務の経験がなしで、受験が可能です。2級は、実務の経験が2年あれば受験できます。ただし、3級に合格していれば、実務経験なしでも受験可能です。1級の場合は、実務経験が7年。ただし、2級に合格していれば、2年の実務経験があれば受験することができます。

実施状況

年に2回開催されます(平成27年現在)。厚生労働省または中央職業能力開発協会のWebサイトに具体的な日程が掲載されています。

筆記試験の対策は?

基本的には問題集や過去問を中心に勉強するのがオススメです。等級ごとに問題集が用意されているので、レベルに合ったものを選びましょう。3級の試験時間は1時間で30問、1級と2級の試験時間は1時間40分で50問が出題されます。当日は問題用紙を持ち帰ることができるので、答えを写しておけば、翌日の解答速報で自己採点ができます。

実務試験は何をするの?

3級は、試験時間1時間15分です。電池の選択と交換、バンドの取り付けと取り外し、コマ詰め、裏ぶたの開閉、時刻合わせなどを実際に行います。

2級は、試験時間4時間。現在一般的な時計として使われているアナログ水晶時計の分解、部品交換、洗浄、組み立て、潤滑油の注入など一連のメンテナンス作業を行います。指定された時間内で作業を終えることが求められます。

1級は、試験時間4時間30分。出題範囲は2級とほとんど同じですが、1級のほうがより複雑な技術を使った修理を行います。合格基準は、100点を満点として、学科試験は65点以上、実技試験は60点以上です。

資格を取得するとどうなる?

時計修理技能士としてスキルアップにつながるだけでなく、時計メーカーへの就職を希望した場合、アピール材料にもなるでしょう。また、就職後も給与や役職などの面で、資格があると優遇されます。

時を操るスペシャリストを目指して

時計修理はコツコツと行う作業ですが、時計が大好きで、かつ細かい作業が好きな人にはピッタリな仕事です。スキルがあれば、部分的な作業ではなく修理のすべての工程を一人で行うことができます。将来的には時計修理士として独立も可能でしょう。「時計が好き」という気持ちを仕事に生かすことができます。

制作:工場タイムズ編集部

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