普段、スマートフォンで調べものをしたり、パソコンで動画をみたりしている人は多いでしょう。
インターネットをはじめとするITの技術が世の中に広く普及しています。これは私たちの生活だけではなく、ビジネス分野にも大きく影響しています。それは工場も同様です。
今回は工場における「生産管理」「在庫管理」「お金の管理」について、ITがどのように活用されているのかをご紹介します。
生産管理を効率化!
工場ではたくさんのものがつくられていますが、そのための計画が必ずあります。どのようにつくるのか、いくつつくるのか、そのために必要な材料はどのくらい必要なのかなどの計画です。このような計画を生産管理と呼びます。ITの技術を導入することで、より精度の高い生産管理をすることができるようになりました。生産管理が正しくできていれば「あの材料が足りなくてものがつくれない」「工場に暇なときと忙しいときがあって効率が悪い」といった事態を防ぐことができます。大きなメーカーでは生産管理にIT技術を導入し、年間で約1億円のコスト削減を実現した事例があります。
ITが普及する前は、生産管理を紙で管理することがほとんどでした。計画に必要な情報を用紙に手書きで情報を記入していたのです。しかし、紙ベースの情報はその収集、分析が難しく、生産効率の改善などに課題がありました。また、ファイリングされた情報保管のための場所が必要です。棚にたくさんの書類があれば、過去の情報を持ってくるのが難しいのはなんとなく想像がつくでしょう。
しかし製品の製造・販売について情報管理を行う生産管理システムが開発されたことで、これらの課題は大きく改善されています。システム上に蓄積された生産に必要な部品や原材料、いつ生産を開始していつ終了したのかなどの情報 は、検索することでいつでも簡単に取り出すことができます。また蓄えられた情報を基に、過去から現在、あるいは未来の予測を自動で行っています。
それらの情報はインターネット経由すれば社内の関係者に 共有をすることができます。工場と離れた本社であってもリアルタイムで連絡がとれます。また、本社から工場内の状況を把握することにも役立っています。このように工場と本社の連携強化にも繫がっています。
在庫管理の改善!
工場でつくられたものは倉庫などに保管をして、必要に応じて企業やみなさんの手元へ配達を行います。また、これらの在庫業況によって生産数を増やしたり減らしたり調節をします。このように適切な生産や販売を行うためには在庫管理は大切なことです。
これまでの在庫管理は目でみて数えて管理するという方法でした。定期的に在庫をチェックし「なにがいくつストックされているか」を記録していました。これに応じて、追加で生産をしたり、不要な在庫の処分をしたりしていたのです。また、出荷するためのリスト作成や伝票の作成も人の手で行われていました。
このように、たくさんのものを人力で管理していれば間違いが発生することもあります。例えば、在庫数をチェックする際に誤った在庫数を記入してしまったらどうなるでしょうか。本来であれば必要のなかった追加生産によって、余分な在庫を抱えることになるかもしれません。また、人が紙だけで管理をしていれば、誤った商品を出荷してしまうなんてこと起きかねません。
在庫管理をITによってシステム化することで、こうしたミスを減らし、効率のよい作業をすることができるようになりました。「何がいくつストックされているか」は、パソコンをみれば一目瞭然なので製品の追加発注もスムーズです。「この商品はどこどこに送る」といった発送作業もこのシステムによって管理が簡単になりました。在庫管理のIT化は、現場作業を効率化と予期せぬミスを減らし正確性を向上させることに繋がるのです。システム化によって、発送業務にかかる時間半分に減り、一日の発送数が1.5倍以上になった事例もあります。
会社のお金の管理が簡単に!
会社に出入りするお金の管理は、経営をする上で非常に大切です。みなさんの生活でも、同じことがいえますよね。今月はいくらの収入があって、いくらの支出があったのかを正確に管理することで経営のバランスをとっています。
生産管理や在庫管理と同じく、資金管理も帳簿と呼ばれる紙で管理をしていました。各製品はどのくらい売れて、どのくらいの売り上げがあったのかなどを人が計算をすると、どうしても間違いが発生してしまいます。また、大きな工場であればその作業数も当然多くなるため、ミスが発生しやすくなり作業時間も増えるでしょう。
IT技術をつかったシステムによる資金管理では、入力された資産に関する情報が自動で計算されます。また、銀行情報と連携することで、他社からの入金などの管理も自動で行うことができるため入力や計算のミスを大幅に減らすことができます。時系列や各項目ごとに整頓されたお金の出入りに関する情報をみることができるので、必要な情報を収集して経営に活かしやすくなりました。過去から現在までの資金状況を分析すれば、今後の経営方針を考える際にも役立てることができるでしょう。資金管理システムを利用して将来の詳細な分析を行うことで、数億円規模の新しい工場建設を決めた企業もあります。
まとめ
工場では各業務をIT化することで、生産性を高めたり必要な作業のコストを減らしたりしています。IT化はたくさんの改題を解決してくれることが期待できますが、各企業で抱えている課題は違うので、解決したい課題に対して適切にIT化を進めることが大切です。また、IT化はこのような仕事の上での課題だけでなく、家事や普段の生活の課題の解決にも役立ちます。例えば、家計簿やスケジュール帳のスマートフォンアプリなど。ITを上手に使って仕事も私生活も効率化させてみましょう。
制作:工場タイムズ編集部