「インスタント食品」は好きですか?
なかにはカップラーメンやレトルトカレーを毎日のように食べているという人もいるかもしれませんね。
インスタント食品は、私たちの食生活の中に広く浸透しています。しかし、インスタント食品が工場でどのように作られているかについては、あまり知られていないのではないでしょうか?
今回は、インスタント食品の製造方法や、インスタント食品を製造するお仕事についてご紹介します。
インスタント食品の種類と特徴は?
インスタント食品は、何かと誤解されやすい商品です。そこでまずは、インスタント食品の基本情報についてお伝えします。
そもそもインスタント食品とは?
インスタント食品とは、短い調理時間ですぐに食べられる即席食品全般のことを指す名称です。代表的なものには、カップラーメンやレトルト食品、即席みそ汁などがあります。一般的には「お湯を入れるだけで食べられるもの」というイメージが強いようですが、広い意味では缶詰や冷凍食品、宇宙食もインスタント食品のカテゴリーに入ります。
インスタント食品は体に悪いってホント?
「体に悪そう」という理由でインスタント食品を避ける人がいますが、必ずしもそうとは言えません。たとえばインスタントラーメンを例に取ると、販売されている商品の8割以上は、添加物に「JAS規格」という厳しい基準をクリアしたものだけを使用しています。そのため添加物による体への悪影響はほとんどないと言えるでしょう。またカップラーメンには「食べると太りやすい」というイメージがありますが、平均的なサイズのものであればスープを全部飲んだとしても摂取カロリーは1食につき300~500kcal程度。これは成人男性が1日に必要とするカロリー量の11~20%程度で、チャーハンやカツ丼に比べると、低い数字です。
インスタント食品はどうやってつくられているの?
インスタント食品は工場でどのように製造されているのでしょうか?インスタントラーメンの製造工程を例に、ご紹介します。
練り込み
麺の材料となる小麦粉に食塩や調味液を加えて、機械で練り込んでいきます。温度や時間は製造する麺の種類によって変わりますが、大体20~30℃くらいの温度で、時間は15~20分程度が一般的です。
圧延(あつえん)
小麦粉の生地を延ばすために複数の「圧延ロール」にかけ、1mmほどの薄さの麺の帯にします。
切り出し
薄く伸ばした生地を縦に細く切って麺状にします。同時にスープが絡みやすいよう、麺にウェーブをつくります。
蒸し煮
麺をベルトコンベアーに乗せたまま「連続蒸し機」に通して蒸していきます。こちらも麺の種類によって温度や時間が変わってきますが、100℃の蒸気で1~5分ほど蒸すところが多く見られます。
型詰め
蒸し終わった麺を商品に合わせた長さ(40cm~65cm)に切断し、1食分ずつ型の中に詰めていきます。
油揚げ
麺を型ごと油の中に入れ、130~150℃の油で1~2分間揚げていきます。ノンフライ麺の場合は熱風乾燥をします。
カップ詰め、検査
出来上がった麺をかやくや調味料と一緒に容器の中に入れ、フタで密封したらシュリンクフィルムで包装をします。同時にカップの中に異物が入っていないか、機械や人の目でチェックします。
箱詰め
検査に合格した製品だけが箱の中に詰められ、全国の問屋へと運ばれていきます。
インスタント食品に関わるお仕事とは?
インスタント食品が製造されるまでには、たくさんの人が関わっています。最後に、インスタント食品製造に関わる仕事内容についてお伝えします。
容器技術者
インスタント食品用容器の成型や包装用資材の製造、印刷ラインの立ち上げ支援業務などを行います。インスタント食品の売り上げは容器の見た目にも左右されるため、容器技術者は大事な役割を担っています。
生産管理
インスタント食品の品質向上やコスト削減を実現するために改善策を立案・実行したり、生産や物流における原価の計算を行います。いわばインスタント食品のプロデューサーとも言える仕事です。
基礎研究職
大手食品会社の中には独自に研究部門を持っているところがあります。専門的な職種であるため、基礎研究職に就くには理系の大学を卒業している人が有利です。
製造工場スタッフ
機械による製造を円滑に進めるために欠かせない、製造補助をメインとした仕事です。未経験者でも採用されやすいため、このライン作業で経験を積んでから、容器技術者や生産管理の仕事へのステップアップを目指す方法もあります。
インスタント食品は、災害発生時の避難所でも大活躍!
インスタント食品は、すぐ調理できて、おなかが満足する便利な商品です。また、地震など自然災害で避難所生活を余儀なくされたときには、とても役に立ちます。寒い冬の避難所生活の場合は、なおさらありがたく感じることでしょう。防災グッズの中にインスタント食品を常備している人もいると思います。インスタントラーメンの工場見学が人気です。インスタント食品の製造に興味がある人は、一度出掛けてみてください。インスタント食品の歴史も聞けて、面白い体験ができますよ。
制作:工場タイムズ編集部