「オシャレは足元から」と言われるように、ファッションの中でも特にこだわる人が多いのが靴です。
デザインや素材、色など、好みの靴を用途に合わせて選ぶことは、オシャレ好きな人にとっては楽しいことですよね。お気に入りの靴をそろえているうちに、いつの間にか玄関が靴でいっぱいになってしまったという人もいるでしょう。 そんな靴好きな人でも、靴がどのようにつくられているかまでは考えたことがないかもしれません。
今回は、靴づくりの方法や、靴を長持ちさせるためのお手入れの仕方についてご紹介します。
靴はどうやってつくられているの?
大人の男性ならば、スーツを着用するときや冠婚葬祭用に一足は持っているのが革靴です。その革靴は、どのような工程でつくられているのでしょうか?
1)まず、「ラスト」と呼ばれる、靴の原型になる木型をつくります。木型がきちんとつくられていないと、履き心地が悪くなったり形が変わってしまうため、木型づくりは大切な工程です。
2)次に、「パターン取り」と呼ばれる作業を行います。靴のデザインのことです。デザインを木型に描き入れ、型紙を作成して、靴に使用する革をどのように裁断するのかを決めていきます。
3)その後、出来上がったパターンに沿って革の裁断を行い、「エッジング」と呼ばれる、革を薄く漉(す)くための作業を行います。きちんとエッジングを行わないと、革同士を貼り合わせるときに段差が出てきてしまうため、慎重に行います。
4)エッジングの後、ミシンなどを使用してデザイン通りに革を縫い合わせていきます。縫い合わせたら、靴にソール(靴底)を取り付けます。ソールの取り付けは、手で縫ったり専用の接着剤を使用したりと、手作業で行うことが一般的です。
5)最後に靴全体を磨き上げたら革靴の完成です!
「靴をつくる」仕事とは?
靴をつくっているのは、靴づくりの専門技術を身につけた「靴製造工」という職人です。靴工場の中には、専用の機械を導入しているところもあれば、現在でも手作業で行っているところもたくさんあります。靴製造工の仕事内容は、工場によって部門ごとに分業されている場合と、複数の作業工程を1人の靴製造工が受け持っている場合の両方があります。工程を大きく分けると、「靴のデザイン・設計を行う部門」「裁断機を使用して裁断を行う部門」「パーツをミシンなどで縫い合わせる部門」「クリンピングと呼ばれる、革を引っ張りながら木型にはめ込んでいく部門」「靴底を貼りつける部門」「靴の余分な部分を削り、全体を磨いて仕上げる部門」などがあります。
資格を持っていなくても、靴製造工になることができます。なかには靴製造の技術を学べる専門学校に通う人や、ヨーロッパなどの学校に留学して本格的な技術を学ぶ人もいます。靴工場に就職し、靴製造工になったばかりの頃は簡単な作業からスタートしながら、少しずつ技術や知識を学んでいきます。そのため未経験の人でも就職できます。経験を積みながら徐々にステップアップしていき、1つの技術ではなく複数の技術を習得して、いろいろな工程を担当できる「多能工」となっていくことが、仕事の幅を広げることにつながります。
いつまでも大切に履き続けるためのお手入れ法
せっかく気に入って購入した靴でも、手入れをせずに履き続けていると傷んでしまいます。靴をいつまでも大切に履き続けるためには、正しい手順に沿って、きちんとお手入れをしましょう。
まず、革靴用のブラシで、毛先全体を使ってブラッシングし、靴についたホコリを落とします。外で靴を履いていると、気づかない間に汚れがついているものです。また、お手入れのときには革靴にクリームを塗ると思いますが、以前塗ったときの古いクリームが、靴に残っている可能性があります。専用のクリーナーを布などにつけ、小さな円を描くように靴全体を細かく磨き、古いクリームを含む汚れを落とすようにしましょう。
次に、靴全体に布につけた靴用クリームを塗り、潤いを与えます。靴にツヤを出すため、余分についたクリームはふき取りましょう。さらに靴に光沢を出したい場合には、「シューポリッシュ」と呼ばれる専用の薬剤を布につけ、クリーナーと同じように細かく円を描くように磨きます。このとき、1摘だけ水をたらすとより効果的です。
お手入れが終わった革靴は、靴専用のキーパーに入れて保管します。キーパーを入れることにより、靴の型崩れなどを防ぐことができます。また、革靴は湿気によってダメージを受けやすいので、湿気のない場所に保管することが大切です。
一足の靴は、靴製造工の丁寧な仕事によってつくられている
下ろしたてのピカピカの靴を履くのは気持ちが良いものです。また、「足元を見る」という言葉があるように、靴は案外よく見られています。汚れてボロボロの靴を履いていると、その人自身がダラシない人だと判断されることもあります。仕事の面接に行くときに「靴をきちんと磨いていけ」と言われるのは、そのためです。靴にはその人の生活や性格までが表れるという人もいるほどです。靴は、職人たちの丁寧な仕事によってつくられています。ネット上には、靴の製造工程を紹介した「Web工場見学」がいくつか紹介されています。興味ある人は、ぜひチェックしてみてください。
制作:工場タイムズ編集部