食パン、あんぱん、ジャムパン、カレーパン…パンにはいろいろな種類があり、コンビニやスーパーなどで手軽に買える身近な食べ物です。
近年では、ホームベーカリー(家庭用手作りパン焼き器)を使って自宅でパンを焼いて食べるのが趣味という人もいます。日本人の主食は米ですが、実は一般家庭では米よりパンの購入費のほうが多くなっています。それほど日本人の食卓にパンが浸透してきたということでしょう。 市販のパンが作られているのは、パン工場です。では、どのような工程で作られるのでしょうか?
今回は、パン工場の仕事についてご紹介します。
パンにはどんな種類があり、いつから食べられているの?
「チュロス」や「エッグベネディクト」「プレッツェル」「ベーグル」など、新しいパンが海外から続々と日本に紹介されています。いまや日本にいながら世界中のパンが食べられるといっても過言ではありません。ドーナツもパンの仲間です。ほかにも、トウモロコシで作られる「トルティーヤ」や「アレパ」、芋粉がメインの「クニャペ」、日本で話題になった「米粉パン」など、小麦粉以外でも多くのパンが作られています。
パンの歴史は約6000年前、オリエント地方(中東のあたり)からはじまります。当時は小麦粉を水で練ったものを石の上で平焼きしただけの食べ物でした。発酵の技術を発見したのは古代エジプト人で、それが現在の柔らかなパンのもとになっています。日本に初めてパンが入ってきたのは16世紀半ば、鉄砲伝来の頃です。そこから日本発祥となるあんぱんやジャムパンなどを生み出しながら、独自の進化を遂げて日本のパン文化は現在に至ります。
総務省の家計調査によると、一般家庭(2人以上世帯)における2011年の米の年間支出額が2万7428円だったのに対し、パンは2万8318円となり、初めてパンが米を上回ったとしてニュースになりました。2015年には米が1万8249円、パンが2万5378円となっています。単身者世帯が省かれているため、「パンが米を上回った」と単純に言うことはできませんが、日本人の食生活にパンが深く根づいている証拠とは言えるでしょう。
パン工場では、どんなふうにパンが作られているの?
パン生地を作るには、いくつか方法があります。すべての材料を一度に入れる「ストレート法」や、粉・水・酵母などをこねて中種を作っておく「中種法」などが一例です。ポピュラーな方法は中種法です。中種法は時間がかかることや、発酵をさせるための場所を確保する必要がありますが、強い生地が作れるというメリットがあります。また、ほかの方法と比べて日持ちがして、調製しやすい生地ができるという点も優れています。中種を作ったら、発酵室と呼ばれる温湿度管理がされた部屋で4~5時間ほど寝かせます。発酵中は生地がどんどん膨らんでいきますが、これは酵母によって発生する炭酸ガスによる現象です。その働きで生地に網目構造が作られ、ふっくらとした食感を生むのです。同時に、エタノールや有機酸なども生成されています。これらはパンの風味に関わる大切なものです。
十分発酵させたら、生地の調子を確かめつつ、残りの小麦粉や食塩、砂糖、油脂などを加えて、再度こねていきます。このとき風味をつける材料を添加することもあります。決められた分量に小分けし、さらに発酵させると、生地の完成です。あとは形を整えて焼いていきます。
パン工場にはどんな仕事があるの?
パン工場での仕事は、24時間体制のライン作業で行われるところが一般的です。資格やスキルがなくても働ける上、先輩がていねいに指導してくれるので、未経験から応募できます。求人数が比較的豊富で、収入が安定しているところが多く、働きやすい環境です。お金を貯めたいと考えている人にはピッタリの仕事でしょう。パン工場の仕事内容をお伝えします。
成型
上で触れたような工程を経て生地ができ、それがベルトコンベアで流れてくるので、生地の形を整えます。余分な生地をカットしたり、トッピングをつけたり調味料をかけたりと、それぞれの工場、商品、担当するラインによって仕事内容は変わります。
焼成
成型された生地を焼いていく仕事です。200℃から300℃のオーブンに生地を入れます。大きさにもよりますが、30分から40分ほどをかけて焼きあげます。出来上がったパンは、熱を冷ましてから次の工程に送られます。
包装、仕分け
ひと口に包装といっても、ポイントはたくさんあります。形や焼き色の加減を確認したり、金属片などの混入物がないか検出機に通す仕事もあります。ほかにも包装の破れや、冷却時間の不足から起こる包装内部の結露のチェックも対象です。包装が終わったら、最後の工程、仕分けです。伝票に記載されたとおりに商品を仕分けたら、すぐ配送できるように準備をします。こうして用意された商品が全国のお店、そして私たちの食卓へと並ぶのです。
パンを作って食べて、お金を稼げる!
米に代わって日本人の食卓の主役になろうとしているパン。「朝食はバターやジャムを塗ったトーストに決めている」という人も多いのではないでしょうか。パン工場の仕事は、パンを作ってお金をもらえるわけですから、パン好きな人には魅力的な仕事でしょう。出来上がったパンや新作パンを食べられる工場もあります。パン工場の中には、工場見学を受け付けているところがあります。興味のある人は、一度出掛けてみませんか?
制作:工場タイムズ編集部