工場や倉庫といった多くの職場で、重い荷物を運ぶときに活躍してくれるのが「フォークリフト」。この記事ではフォークリフトを運転するための免許と、免許取得のために必要な期間や教習所での講習内容について詳しくご紹介します。人手不足が叫ばれる中、フォークリフト運転技能講習の免許があれば流通業界や工場での就職にとても有利になること間違いなし!
フォークリフトの免許とは
フォークリフトは普通自動車の運転免許があれば運転することができると思う方もいるかもしれませんが、フォークリフトの免許がなければ運転をすることができません。そして運転するフォークリフトの種類によっては、教習所で資格を取るための講習を受ける必要があります。また、公道を走行することのできるフォークリフトの免許などもありますので、ここでは合わせてフォークリフトの免許としてご紹介します。
フォークリフトの免許の種類
フォークリフトの免許は、「フォークリフト技能講習修了証」というのが正式な名称になります。ただしこれは公道で運転できる免許ではなく「資格」だという点に注意しましょう。この資格は最大荷重によって異なり、「最大積載荷重1トン未満」と「最大積載荷重1トン以上」の2つに分類されています。
「フォークリフトの免許は資格であるため公道を運転できる免許ではない」と書きましたが、公道を走ることが不可能なわけではありません。
フォークリフトの大きさにより「大型特殊自動車免許」あるいは「小型特殊自動車免許」を保持している必要があります。また1,500cc以下の総排気量であれば、「大型特殊」「小型特殊」「大型自動車免許」「普通自動車免許」「二輪免許」のいずれか1種類があれば公道を走行できます。排気量が1,500ccを超えるフォークリフトの場合は、大型特殊を持っている必要があります。
いずれの場合でも満年齢で18歳以上であること、公道走行時には荷物を積載しての走行は認められていません。
フォークリフトの免許を取得するメリット
フォークリフトの資格はもちろん大型特殊、小型特殊の自動車免許を持っていると工場や倉庫での仕事の幅が広がります。特に最大積載荷重が1トン以上の資格を持っていると、それだけ思い荷物を運ぶことができるので、職場によってはフォークリフト手当などの資格手当をつけてくれるところもあります。
フォークリフト資格者は常にどのように運べば効率的になるのか、他の人が作業しやすくなるのかを考えなくてはならず、全体的な視野を高める力を養うことが可能です。企業からの需要がとても高く、将来にわたって安定した求人があるのも魅力です。
フォークリフトの免許を取得するには
フォークリフトを工場や倉庫内で運転する際に必要な資格取得に関する条件や費用、さらには日数について詳しくご紹介します。
講習を受講する条件
フォークリフトの大型特殊免許などがあれば講習を受ける必要はないと思いがちですが、免許取得のうえ、特別教育さらには技能講習を受講して修了証を取得する必要があります。
講習を受講する条件としては年齢だけであり、満年齢が18歳以上でれば誰でも受講することが可能です。技能講習についてはすでに取得している免許によって、あるいは運転するフォークリフトの種類によって受講する時間が変わってきます。
費用は、取得する資格や講習が行われる施設によって異なる
受講費用については、既に所持している資格などによって変わってきます。また講習が行われる施設などによっても異なります。概ね4万円前後と見ておくと間違いないでしょう。
日数:2日~5日で取得可能
一般的に自動車普通免許所持者であれば、7時間の学科時間、24時間の実技時間で、合計31時間の講習時間でフォークリフトの技能講習を終えることができます。特に免許を何も持っていないのであれば、講習時間は合計で35時間になり、大特免許所持者なら11時間の講習時間で技能講習は修了します。
このことから、少なくて2日から多くて5日の受講で技能講習を終えることが可能です。また特別教育修了者であり、フォークリフト運転経験が6ヵ月以上ある人の場合、普通免許の取得有無とは関係なく、技能講習は15時間の受講で終了します。この場合、会社代表者の証明が必要となります。
フォークリフトの免許の講習内容
フォークリフトの免許の講習内容について、特別教育の場合と、技能講習の2つに分けて説明します。
フォークリフトの運転の業務に係る特別教育の場合
特別教育はフォークリフトの積載最大荷重が1トン未満のものです。受講条件は、満年齢で18歳以上であることのみです。普通免許の有無や、その他の資格の保有などは一切関係ありません。年齢条件を満たしていれば誰でも受講可能なのがフォークリフトの特別教育です。
学科、実技の内容
特別教育の場合、学科が6時間、実技が4時間の合計10時間の講習となります。日にちにして2日間での取得が可能です。
学科6時間の内訳ですが、「走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」に2時間、「荷役に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識」に2時間、「運転に必要な力学に関する知識」に1時間、「関係法令」に1時間となります。
フォークリフト運転技能講習の場合
運転技能講習は、フォークリフトの積載最大荷重が1トン以上のものです。受講条件は特別教育と同じで、こちらも満年齢が18歳以上であることのみです。ただし、取得している免許や資格によって受ける学科時間や実技時間が大きく変わってくるのが特徴です。そのため、講習を受ける時間によって費用が大きく異なります。所持免許や資格による講習時間の違いは以下の通りです。
・35時間…所持免許は何もなし
・31時間…自動車免許あるいは大特免許所持者
・15時間…特別教育受講者かつ6ヵ月以上の運転経験者
・11時間…大特免許所持者かつ特別教育受講者で3ヵ月以上の運転経験者
学科、実技の内容
35時間の講習時間についての内訳として、学科は11時間の受講となっています。「走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」に4時間、「荷役に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識」に4時間、「運転に必要な力学に関する知識」に2時間、「関係法令」に1時間です。
実技は24時間で、「走行の操作」に20時間、「荷役の操作」に4時間の講習内容となっています。
実技については特別教育も技能講習も実際のパレットを使って、実際の業務に近い内容を学ぶことになります。特別教育については試験を受ける必要はありませんが、技能講習については学科試験と実技試験を受ける必要があります。
学科試験の採点基準は以下の通りです。
・走行…30点満点で12点以上
・荷役…30点満点で18点以上
・力学…30点満点で18点以上
・法令…20点満点で8点以上
実技試験については、「乗車前の点検」「乗車」「発進」「走行」を行います。持ち点は100点で、そこから減点方式で実技試験終了時に70点以上の持ち点で合格となります。
作業工程の全体を見られる人材はニーズが高い
フォークリフトを運転するには資格が必要ですが、これは事業所内や私有地内での運転についても同様です。フォークリフトを無資格の状態で運転した場合は、6ヵ月以下の懲役、あるいは50万円以下の罰金となります。これはフォークリフトの運転を行った本人だけではなく、無資格運転を行わせた事業者にも同様の罰則罰金が科されます。
フォークリフトの運転従事者は、単に荷物を運ぶというだけではなく、そこに作業の効率性が求められます。荷物の運び方ひとつで工場内の工程に影響が出るくらい重要な仕事であることは間違いありません。そのため、全体の作業工程を考え、効率のよい運搬が求められる大切な仕事です。そういった能力を磨いた有能なフォークリフト運転従事者はどこの職場でもニーズが高く、就職に困ることのない運転技術者だと言えるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部