新しい家具を購入するときに、みなさんは「完成品」を購入しますか?それとも「自分で組み立てるタイプ」を選びますか?完成品は家具工と呼ばれる人たちが製作したものです。
今回は、家具工が一体どのようにして魅力的な家具を作り上げているのか、家具完成までの道のりなどを詳しく説明していきます。
家具工場で作られた家具 vs 自分で作る家具
家具工場で作られて販売されているものは、当然のことですが、完成度が高く魅力的です。一方、最近では、部品だけが梱包(こんぽう)されていて、自宅などで自分で組み立てるタイプの製品も多く販売されています。ここでは、双方のメリット・デメリットについて紹介します。
家具工場で作られた家具のメリット・デメリット
家具工場で作られたものを購入するときのメリットは、精度・品質が安定していて、仕上がりにムラがないことです。工場で検品を行ってから出荷されるため、歪(ゆが)みや傾きなどももちろんありません。また、素人にはマネのしにくいデザインが多いのも、大きなメリットでしょう。デメリットと言えるのは、少し値段が張るものがあるということです。
組み立て家具のメリット・デメリット
近年、工場で作られた家具ではなく、パーツだけを購入し、家で自分の手で組み立てるという製品が増えています。組み立て式の家具のメリットは、安価で購入しやすいことです。本棚やテレビ台、テーブルなど同じ材質でシリーズ展開して販売されていますので、部屋の中でコーディネートがしやすい点もメリットです。
デメリットは、自分で組み立てるのに時間や手間がかかることです。人によってはうまく組み立てられずに、結局組み立て専門の業者に頼むということもあります。
家具の完成までの道のり
品質の良い家具を製作するまでには長い道のりがあります。その工程を説明します。
家具のデザインからパーツの作成まで
家具を製作するにあたって必要なのは設計用の図面です。デザイナーが家具のデザインを作成したら、それをもとに設計し、図面を描きます。その上で、図面を見ながら材料をカットします。カットする作業は簡単そうに見えますが、少しでも失敗すると、ズレが生じてガタついたりするので、実はとても重要な工程です。
フラッシュ貼り&カット
フラッシュ貼りと呼ばれる工程があります。「フラッシュ構造」の家具を作るときに行う作業です。フラッシュ構造とは、木で枠を組んで両側にベニヤ板などを貼ったもので、内部が空洞になっています。つまり、見た目は分厚い一枚の板ですが、実は中が空洞の箱のようになっているのです。このフラッシュ板をいくつも組み合わせることによって家具の軽量化を可能にします。
フラッシュ板をそれぞれの家具に必要なパーツごとの大きさに合わせてカットしていきます。これを「サイザー」と呼びます。サイザーの工程を終えたフラッシュ板は、側面に芯材が見えている状態になります。これを見えないようにするために木の柄をしたテープを貼り付けることを「バインダー」と呼びます。
加工
次にNCボーリング加工を行います。NCとはコンピューター上で機械を操作する機能のことです。設計図をコンピューターに入力、設定することで、図面通りに板に穴を開けたり削ったりして、家具のパーツを作ります。
部品加工
出来上がったパーツに金具などを取り付けます。機械で行うとズレが生じやすいため、すべて人の手によって取り付けます。ここまでの工程を経て初めて家具のパーツがすべて揃います。
組み立て
最後にすべてのパーツを組み立てて完成です。組み立てが終わったら、ブレス機でしっかりと固定されます。その後、仕上がりを左右する研磨や塗装を行い、出荷されます。
家具づくりのプロがいる?
家具工と呼ばれる家具製作のプロ。この職業に就くにはどうしたらいいのでしょうか?
家具工になるには?
これといった条件や制限などはありません、就職活動や人材紹介などいろいろなルートで家具工になることが可能です。また、専門的な技術を学ぶ職業訓練校や専門学校で建築やデザインの勉強をしてから家具工の道に進む人もいます。
仕事内容や職場
上記のような家具のパーツ作りや、家具の製作を行います。機械を使うので、業務を行う場所は工場や家具製作会社が中心です。
家具製作技能士
家具製作技能士という国家資格が家具を作る資格として存在します。美容師や弁護士が取る国家資格は、「これを取得しなければ実務に就けない」というものです。一方、家具製作技能士は「家具の製作に関する知識を持っている人しか受けられない」という資格です。そのため、「家具工になりたい」というだけなら取得が必須の資格ではなく、実務を経験したあとに必要に応じて取得すればいい資格です。
家具工が作る高品質な家具の魅力
家具工の作る製品は品質の良いものとして魅力的です。その理由はさまざまな製作過程で人の手によって加工されていることにあります。大量生産された自分で組み立てるタイプの家具が人気ですが、一つ一つ丁寧に作られた家具の良さも、あらためて見直されています。昔ながらの伝統的な和タンス、桐タンス、洋タンスなど家具の種類はたくさんあります。気になる人は、手作り家具が売られている販売店で本物の手触りを感じてみてはいかがでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部