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ポンプ 仕組み

ポンプの仕組みはどうなってるの? ポンプの種類と意外な使い方

2016/12/12公開 / 2023/09/22更新

ポンプといわれて、何を想像しますか?

自宅に石油ストーブがある人は、灯油を入れるときに使うポンプが身近かもしれません。そもそも液体は高いところから低いところに流れます。しかし、灯油缶から灯油を石油ストーブに移し替えるところを思い出すとわかるように、ポンプを使うと、液体を低いところから高いところへくみ上げることができます。このポンプが持つ素晴らしい原理は現在、上下水道や医療現場などいろいろなところで活用されています。

今回は、ポンプの基礎知識と活用例についてご紹介します。

ポンプの種類とは?

まず、ポンプの種類について紹介します。ポンプは主に液体をくみ上げたり運んだりするときに使います。たとえば、ビルやマンションの屋上にある貯水タンク。上水道から屋上まで水道水をくみ上げるのに、ポンプが活用されています。ほかにも、排水や下水、農業用水など、身近な存在として日々の生活に役立っています。

ポンプは、構造や原理で3つのタイプに分けられ、それぞれに特徴があります。

容積型ポンプ

ポンプの中に一定量の液体を吸い込んだ後、押し出すタイプです。井戸水をくみ上げるポンプが代表例で、長い歴史を持ちます。薬品や食品業界で粘度の高い液体の輸送によく使われます。

ターボ型ポンプ

非常によく使われているポンプです。容器の中で羽根車を回転させて液体を動かすタイプです。高速回転や連続的な使用ができることから、水道をはじめ、下水道の汚水ポンプ、河川・雨水の排水、化学プラントなどで活用されています。

特殊型ポンプ

水や蒸気のジェット噴射の力を使ったポンプです。たとえば、薬剤や点滴などを持続的に投与するときに使われます。

ポンプの仕組みはどうなっているの?

ポンプを使って液体を運ぶためには、「液体を吸い込む力」と「ポンプ内に侵入した液体を目的の場所へ運ぶ力」を使います。これらは、それぞれ「吸込能力」と「吐出能力」と呼ばれます。

吸込能力

ジュースをストローで飲むときのことを思い出してください。同じ原理です。吸込能力とは、液体を吸い上げる力のことです。水を吸い上げる際にポンプの管の中を真空にすると、大気の圧力の関係で液体が持ち上がる原理を利用しています。ただし、ポンプを使えばどこまででも水を吸い上げられるというわけではなく、普通の水なら1つのポンプにつき6~8mが限界です。これは、それ以上の高さの真空状態をつくり出すことが難しいというのが理由です。

吐出能力

ポンプの力で吸い上げた液体を別の場所へ運ぶ能力です。液体に対していろいろな形で圧力を加えて押し出します。吐出能力は吸込能力と違って、ポンプ自体のパワーを強くすれば、遠くまで運ぶことができます。

こんなところにも! 意外なポンプの活用事例

上下水道や工場・農場用水などいろいろな場所で使用されているポンプ。実はほかにも意外なところで活用されています。人によっては、ポンプをより身近に感じられるかもしれません。

糖尿病の治療

「インスリンポンプ療法」という治療法が近年登場しています。これは、持続的なインスリン投与が必要な糖尿病患者に対して、小型ポンプを利用して24時間連続的に投与するという治療法です。これまで一般的だったインスリン注射と比べると、予定外の運動や食事にも対応でき、すい臓が正常な働きをしているのに近い状態を保てるというメリットがあります。インスリンポンプを導入すると、ボタン操作でインスリンの量が調節できるため、自身のライフスタイルに合わせて使用できます。インスリン注射に取られていた時間も削減できるでしょう。まだそれほど一般的ではありませんが、今後さらに活用事例が増えることが期待されています。

映画館で使用されるポンプ

プロジェクターは、発熱量が多い装置です。この発熱を抑えるため、通常のプロジェクターには空冷装置が付いています。しかし、映画館用の大型プロジェクターになると、空冷装置ではとても冷却が追いつきません。そこで、冷却水をポンプで循環させる機能を付けてプロジェクターを冷ましているのです。

ATMの裏側にもポンプが!

ATMの紙幣を数える装置には「真空ポンプ」が用いられています。ポンプ内の空気をピストンの動きでコントロールすることで、紙幣を1枚ずつ吸い寄せ、瞬時に枚数を数えて取り出し口に運ぶことができます。真空ポンプというと、以前は動かすのに潤滑油を使用していました。しかし、それでは油を継ぎ足さなければならず、油のにおいが周囲に漏れてしまうことがあります。潤滑油を使わなくても高性能な真空ポンプが開発された結果、ATMへの利用が可能になったのです。

身の回りで幅広く活用されるポンプ

普段気にしていないとなかなか気づくことのないポンプという装置。しかし、上下水道をはじめ、点滴などの医療分野、さらには銀行のATMまで、私たちの身の回りで幅広く活用されています。ポンプの歴史はとても古く、今から2200年以上前の紀元前の時代に、古代ギリシャの哲学者アルキメデスが発明したと言われています。それが現在も形を変えて使われているのですから、すごい技術です。ポンプの技術開発は現在も続いています。これからも、さらに精密で強力なポンプが登場し、私たちの生活をより便利にしてくれることでしょう。

制作:工場タイムズ編集部

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