レンガ造りと聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか?
「赤茶色の家」「東京駅が頭に浮かぶ」「童話『三匹の子豚』を思い出した」など、どちらかというとレトロな印象を持つ人が多いのではないかと思います。
しかし、レンガには現代の建材にはない素晴らしい魅力があります。また、耐震性を向上させた工法で、現在でもレンガ造りの新築が建てられています。
今回は、レンガの魅力とレンガの作り方、レンガの積み方の種類についてご紹介します。
種類も豊富!レンガの魅力とは?
レンガの歴史は、5000年前のメソポタミアの時代にさかのぼると言われます。そんなに古くから人類に愛されているレンガ、その魅力と種類をお伝えします。
レンガの魅力
レンガの魅力は、自然の素材でできているということです。レンガの主な原料は、人工物ではなく粘土や長石類など、自然に採れる素材です。また、「耐熱性」「保温性」「断熱性」「圧縮」「曲げ強度」「耐水性」「耐摩耗性」「耐久性」「低吸水性」など多くの特性を持ち、他の建材に比べて品質の面からもコストの面からも、群を抜いて優れた理想的な建材なのです。また、ピザやパンを焼く窯に使用されていることからもわかるように、熱や紫外線に強いという特長も併せ持っています。
レンガの種類
私たちの日常で使用されるレンガには、大きく分けて3つの種類があります。1つ目は「耐火レンガ」です。このレンガは文字通り火に強く、窯などに使用されているものです。2つ目は「敷レンガ」です。主に一般の道路や公園の舗道などに使用されています。そして3つ目は「レンガタイル」です。レンガタイルは建造物の壁などに装飾用として使われています。
レンガ工場での製造方法とは?
レンガはどのように作られているのでしょうか?原材料の搬入から選別・検査まで順を追ってお伝えします。
素材加工
原材料である粘土類・長石類を採掘して工場に搬入したら、粉砕・混合します。その後、骨材(砂、粘土など)と水を入れて混ぜて練り合わせ、そのまま2日間ほど寝かせます。
成形
寝かせた後の土を真空状態にして、「押出成形機」という機械を使って形を作ります。
乾燥
温度と湿度が調整された乾燥室で、成形された土を数日かけて乾燥させます。その後、抜き取り時に形が崩れていないかチェックします。
積載
乾燥させた生地を取り出し、窯の中に一つひとつ並べて、高さなどを調整しながらきれいに積み上げます。
焼成
製品によって温度や時間は違いますが、通常のレンガの場合は丸1日以上かけて焼成します。最初は窯の温度を200℃、その後12時間かけて950℃まで上げ、さらに3時間かけて最高1200℃まで上げていきます。焼成が終わった後は、レンガに亀裂が入らないようにゆっくり冷まします。
選別、検査
焼成したレンガが常温になったところで、最後に選別機を使って反りの大きいものを取り除き、欠けや傷がないかを検査します。
レンガの積み方で印象も強度も変わる!
「レンガには4種類の積み方がある」と聞いて、驚く人がいるかもしれません。積み方による特徴や代表的な建築物をご紹介します。
4種類のレンガの積み方
代表的なレンガの積み方には「フランス積み」「イギリス積み」「小口積み」「長手積み」の4種類があります。ポイントは、いずれの方法でも「芋目地」(いもめじ)ができないように工夫されていることです。芋目地とは、縦方向(地面に向かって垂直方向)の目地(レンガとレンガの接触面)が一直線に並ぶことです。目地が縦に一直線に並んでしまうと、地震などの外からの力に対して弱くなり、崩れやすくなるからです。なお、一つのレンガで、長細く見える側面を「長手」、やや正方形に見える側面を「小口」と呼びます。
フランス積み
フランス積みとは、一段の中に長手と小口を交互に並べていく積み方です。すべての段に長手と小口を交互に置くことで、下から上の方向を見ても長手と小口を交互に置いたようになり、美しく見えます。フランス積みが採用されている代表的な建築物としては、世界遺産としても有名な「富岡製糸場」があり、明治時代後期以降の建物に多く採用されています。
イギリス積み
イギリス積みは「長手だけの段」と「小口だけの段」を交互に積んでいく積み方で、フランス積みよりも強度が高くて使用するレンガも少なくて済むため、経済的です。代表的な建築物としては世界遺産である広島の「原爆ドーム」があり、そのほか土木建造物や鉄道の橋梁などに採用されています。
小口積み
別名「ドイツ積み」とも呼ばれる小口だけを使った積み方で、正面から壁を見た際にジグザグに見えるようにレンガを置いています。代表的な建築物には、「近代建築の父」辰野金吾が設計した東京駅(一部)があります。小口だけを使っているので、壁を曲面施工することに適していて、レンガを円筒形に積むことも可能です。
長手積み
名前の通り長手だけを使って、壁を縦に見た際にジグザグに見えるように積む方法です。同じレンガを縦に積むか横に積むかの違いだけなので、小口積みとは構造的にほぼ同じ積み方です。ただし、壁の厚さが薄くなりますから、強度の面では小口積みよりも劣ります。代表的な建築物は、横浜開港50周年を記念して造られた横浜市開港記念会館です。
優れた特性を現代に伝えるレンガ造りの建築物
レンガは優れた特性を持っていて、日本の有名な建築物にも多く使われています。現在もレンガ造りの家が建てられていますし、レンガ造りの花壇をつくったり、庭にレンガを敷いて小道をつくっている家も見られます。今度街角でレンガ造りの建物を見かけたら、「これは何積みだろう?」と観察してみると、面白いかもしれませんね。レンガの作り方や積み方などを紹介した動画が動画サイトにアップされています。レンガをDIYして、花壇などを造りたいと考えている人はチェックしてみてください。
制作:工場タイムズ編集部