節分の豆まきのとき、なんと言いますか?「鬼は外、福は内」? もしかして無言…?
たぶんほとんどの人は「鬼は外!福は内! 」ですよね。
実は「鬼は内、福は外」と真逆の掛け声をしているところもあるらしいんです。
ということで、今回は「鬼は内、福は外」の掛け声をしているエリアやその理由を紹介します!
そもそも「鬼は外、福は内」の由来って何?
「節分」といえば、やっぱり豆まき!
子供の頃、学校で作った鬼のお面をつけて「鬼は外! 福は内! 」って言いながら豆まきしたことがある人も多いはず。
でも、そもそも豆まきをするときになんで「鬼は外、福は内」って言うのか知ってますか?
実は「鬼は外、福は内」の掛け声には、災いをもたらす鬼は家の外に追い出して、幸福をもたらしてくれる福の神様を家の内に呼び込むという意味が込められているんです。
なので「鬼は外」と言うときは玄関や窓を開けてから豆をまいて、「福は内」のときは鬼が戻らないように玄関も窓も閉めてから行うのが一般的なんだとか。
どの家庭でも鬼を追い出してるはずだから、その鬼が入ってきても困りますもんね。
豆(大豆)をまく理由は?
当たり前のように行っている豆まきだけど、そもそもなんで豆(大豆)をまくんでしょうね?
その理由には諸説あるようなんですが、有力な説を2つ紹介します。
1つ目は、鬼を追い出すためには、穀霊という精霊が宿るといわれている五穀「米・ひえ・麦・あわ・豆」のなかでも最も大きい「豆」が最適だから。
2つ目は、「魔を滅する」という意味から「魔滅→まめ→豆」となったとか。
他にも、中国の医書「神農本草」に「大豆は鬼毒を消して痛みを取る」と書かれていたことから、大豆をまくのが主流になったともいわれています。
要するに、雑にまとめると豆をまくのは「粒がデカいから」か「ダジャレ」が由来、他諸説ありということですね!
どうして逆パターンが生まれた?そもそもどっちが先?
「鬼は外、福は内」という掛け声が一般的ですが、「鬼は内、福は外」と言うエリアがあるのも事実。
では、なぜ逆パターンの掛け声が生まれたのでしょう? 気になりますよね。
こちらに関しては、「その地域や地域内の神社の”風習”が関係している」というのが回答になります。
たとえば、鬼を神の使い、祭神としている神社では、鬼=福の神となるので「鬼は内(鬼も内)」と言うようです。
ほかにも「鬼」がつく姓や地名では「鬼は内」と言うところが多いんだとか。
たしかに、なんか自分が出ていけ! って言われてるみたいですもんね(苦笑)
先に生まれたのは「鬼は外、福は内」が有力
先に生まれたと考えられているのは「鬼は外、福は内」が有力です。
豆まきの掛け声について書かれている史料のなかで、最も古いのが室町時代のものらしく、室町時代の瑞渓周鳳という僧侶の日記に記されています。
その日記に「散熬豆因唱鬼外福内」という記載があるんですって! 「鬼外福内=鬼は外、福は内」という意味なので、「鬼は外、福は内」やはり先に生まれたという結論になるわけですね。
ただ、「鬼は内、福は外」がいつ生まれたという情報がなく、地域や神社の風習によって逆パターンになっているので、もしかしたら、歴史に残っていないだけで生まれた時期は同じ! という可能性も0ではなさそうです。
「鬼は内、福は外」を使うのはどこ?
実際に、豆まきで「鬼は内、福は外」の掛け声を使うのはどこか? その一部をご紹介します!
・群馬県藤岡市鬼石(おにし)
“鬼”石という地名にちなんで、全国で追い出された鬼を招き入れる「鬼恋(おにこい)節分祭」を行っています。(や、やさしい…! )
・紀伊半島・伊勢志摩地域
この地域をおさめていた領主の名前が「九鬼(くき)」さんだったからですね。さすがに鬼(領主)を追い出すような掛け声はできません…!
・京都府福知山(ふくちやま)市の大原神社
鬼を迎え入れて、改心して福になったものを各家庭に出すから。(修行させる感じかしら? )
番外編:こんな掛け声もある!
全国には「鬼は外、福は内」「鬼は内、福は外」以外にも、えっ!? と思うような掛け声も…。
そのなかでも、特に面白い掛け声を2つ紹介します!
「あっちはあっち、こっちはこっち、鬼ヶ窪の年越しだ」(茨城県つくば市鬼ヶ窪)
節分は立春(新春)前日で、いまの大晦日のような日と捉えられていて、豆まきを行うのは厄払いのため。
このときに、あちこちで追い出されて逃げ込んできた鬼がかわいそうになって追い払えなかったそうです。
つまり「あっちでは追い出されただろうけど、こっちでは迎え入れるよ。それが鬼ヶ窪の年越しだよ! 」って感じでしょうか。なんて優しい…愛ですね!
ところで、この長さ…どのタイミングで豆をまくんでしょう?
「福は内、福は内、鬼は外、鬼は外、天打ち地打ち四方打ち、鬼の目ん玉ぶっつぶせ! 」(宮城県仙台市)
と思ったら、さらに長い掛け声が! 前半はいいけど、後半の強烈さよ。
この掛け声になった理由を簡単に説明すると「目には特別な力があるから、まずはそこからやっつけちゃえ! 」ってことらしいです。
鬼のウィークポイントを容赦なく狙う容赦ない掛け声、好きです。鬼からしたら、たまったもんじゃないですけどね(笑)
「Devils Out! Good Luck In! 」(英語 ver)
節分では「鬼=悪いもの」「福=良いもの」という抽象的な感じなので、英語での表現はほかにもいろんなパターンがありますよ。
英語圏で節分の豆まきを説明するときに使ってみてくださいね。
「鬼出去、福进来」(中国語 ver)
中国と日本で使う漢字はほとんど同じ(というか、もともとは中国から伝わった文字か…)なので、漢字を見ただけで意味はわかりますね。
まとめ
節分の豆まきの掛け声って「鬼は外、福は内」が当たり前だと思っていましたが、逆パターンもあれば、ちょっと恐いものなど、いろんな掛け声があるんですね。
ただどれも、由来を聞くと納得できるし、その地域の人たちのやさしさや地域性がよくわかります。
今回ご紹介した掛け声はほんの一部で、鬼も福も呼び込む「福は内、鬼も内」という掛け声の地域もあるんだとか。
次の節分のときは、いつもと違った掛け声で豆まきをやってみませんか?
制作:工場タイムズ編集部