静岡県、宮城県に工場がある「プライムアースEVエナジー株式会社」。
しかし長い社名だな・・・と、気になって調べて見ると”プライムアース”は”かけがえのない地球”という意味だった。
そのプライムアースEVエナジー株式会社(やっぱり長いな)では、次世代型自動車(エコカー)の車載用電池を製造しています。「電池の製造」と聞いて、どんな作業をするのか気になる方も少なくないのでは?
「電池はどうやって作られているの?」
「どんな会社なの?」
そんな疑問を解決するために、今回は「プライムアースEVエナジー株式会社」の実態を調査しました!
そもそも次世代自動車(エコカー)用の電池ってなに?
次世代自動車(エコカー)用の電池は、主にニッケル水素電池・リチウムイオン電池のことを指し、1997年に世界で初めてハイブリッド車として発売された「プリウス」に搭載されていました。
今では、様々な次世代型自動車(HEV・BEV・FCEVなど)に搭載されており、「地球環境問題への対応強化」「省エネルギー社会の実現」という社会意識の高まりとともに、年々需要が増えている分野でもあります!
リチウムイオン電池の種類は主に3種類!
・円筒型…市販の単1電池のような形
・角型…長方形の金属ケースに入れた薄型の電池
・ラミネート型…ラミネート材でパウチされたような形の電池
プライムアースEVエナジーでは角型のリチウムイオン電池を製造しているとのこと。
近年求められている環境問題への対応、持続可能なエネルギー社会の実現を目指し、エコカーの基幹部品であるリチウムイオン電池の製造を通じて「未来のクルマ作り」に挑戦しているそうだ。
どうやって作られてる??製造工程に迫る!
次世代自動車(エコカー)用のリチウムイオン電池はどうやって作られているのか?
その疑問にお答えするため、今回特別にプライムアースEVエナジーの製造過程を担当者の方に解説していただきました!
リチウムイオン電池製造工程は、大きく分けると以下の流れになります。
1. 源泉
2. 組立
3. スタック・活性化
4. パック
1.源泉工程
この工程では、電池の正極・負極になる極板を作ります!
<工程の流れ>
1. 金属の粉や水を混ぜ合わせてペーストをつくる
2. 1で作ったペーストを、正極・負極の心材(銅・アルミ箔)に吹き付ける
3. ペーストが塗工された極板を必要な大きさにカットする
主な作業内容は、機械への材料供給や出来上がった極板の外観検査になります。
この工程が電池製造の第1歩、しっかりと作業手順や分量を守ることが求められます。
2.組立工程
正極・負極・セパレーターを複数枚交互に重ねて金属ケースに挿入し、蓋の溶接、電解液の注入を行い、電池を作ります(下図が組立工程の完成品)。
具体的な作業内容は、極板を設備にセットしたり、設備で組付けられたセル(下図)の外観検査を行います。
3.スタック・活性化工程
セルまたはモジュールを決められた数ずつ拘束(スタック)し、充放電を繰り返すことで電池の性能を引き出したり、不良品を排出したりする工程です。
スタック・活性化工程になると製品の形が見えてきます。
具体的な作業内容は、モジュールを運搬・検査・拘束作業を行います。
4.パック工程
車載用電池として出荷するために、外装部品の取り付け、各種コネクターを接続する工程です。
パック工程になると、実際に車に搭載されている外観になります。
具体的な作業内容は、ねじの締め付けやコネクターの組み合わせを行います。
プライムアースEVエナジーってどんなところ?
プライムアースEVエナジーは、当時様々な分野で環境への配慮について注目度が高まるなか、未来の自動車電動化を見据え、車載用電池を開発・生産するためトヨタとパナソニックが手を組み1996年に誕生した合弁企業で、創業当初、パナソニックEVエナジーという社名でした。
創業当時は初代プリウスに搭載されていた円筒型ニッケル水素蓄電池パックを開発しており、現在製造している角型だけではなかったようです。
また、トヨタ自動車が主催する品質管理優良賞、経済産業省から健康経営優良法人ホワイト500など、数多くの賞を受賞!
社員の男女比は男性77%・女性23%。比較するとやはり男性が活躍している職場のようですが、プライムアースEVエナジーは工程がキレイで働きやすいということで女性も多数活躍されているようです。
社名のプライムアースは「第一」という意味の「Prime」と地球という意味の「Earth」を合わせた造語で、「環境世紀のカーライフを技術でサポート」できる企業を目指したいという思いが込められているそうです。
エコカー用電池業界では「会社設立以来26年連続で世界シェアNo.1(台数換算)」とのこと。
どうやら思っていた以上にすごい会社らしい・・・名前が長いなどと記載したことを後悔し始めた・・・
本社の大森工場を調査!
会社の歴史も深く、数々の信頼ある実績を積み上げてきたプライムアースEVエナジー。
今回は本社である大森工場を調査しました!
大森工場の周辺環境は?
2008年に本社に移転した大森工場は、静岡県湖西市(こさいし)に所在しています。
湖西市は、浜名湖、太平洋、湖西連峰に囲まれ「海・山・湖」すべてそろった自然豊かな環境が特徴的です!
また、名古屋まで電車で約1時間、浜松まで電車で約30分と都心部へのアクセスも良好なのも魅力!
休日は大自然に飛び込んで、屋外でのアクティビティを楽しむも良し、都会に出て買い物や飲食店巡りをするも良し、各々のライフスタイル、好みに合った過ごし方を選べそうですね。
社員寮を覗いてみた!
こちらはプライムアースEVエナジーの無料寮です。ビジネスホテルのような外観をしていますね!
部屋は完全個室となっていて、TV・エアコン・ベッド・寝具・テーブル・カーテンを各部屋に完備。入寮時に買い足す物を減らせるのは嬉しいですね!
共用の大浴場には足を伸ばせる広めの浴槽があり、個室のシャワー室も付いているので、各自の生活パターンに合わせて仕事の疲れもばっちり癒せそうです。
他にも共用のキッチン、トイレ、洗濯機もあるので、衣食住についての心配は一切無用!
では、肝心の職場はどうなっているのか?工場の中も覗いてみましょう!
工場の中も覗いてみた!
こちらは実際に社員の方が作業をしている様子。
リチウムイオン電池は、ほんの数μ(マイクロ)の異物が混入しただけでも製品の異常につながってしまうため異物が混入することは一切許されません。そのため、清潔な作業環境を維持することが徹底されているとのことで、工場内がとても綺麗だったことが印象的でした。
これからもどんどん需要が拡大していく車載用電池市場。
そんな拡大市場を黎明期から盛り上げてきた歴史を持ち、「仕事そのものが社会貢献」という意識で働く現場の皆さんはとても生き生きしていました!
働いている人に聞いてみた!職場の魅力とは?
通常、期間工(決められた期間で働く契約)の場合、所定の契約期間が過ぎると別の職場で働くという人は少なくありません。
しかし、プライムアースEVエナジーでは、退社後に再入社される方も多いのだとか。となると、気になるのはその理由ですよね。
そこで、今回は退職後に再びプライムアースEVエナジー(以下PEVE)へ戻り、今も実際に働いている方3名にインタビューさせていただきました!
ーーUNさん、本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます!再入社されたと伺ったのですが、以前はどこにお勤めされていたのでしょうか。
UNさん(32歳男性):以前も4年6か月の間、PEVEで期間社員として勤務してました。一度は契約満了で退社しましたが、また6か月後にPEVEに再入社しました。
ーーなるほど。何故またPEVEに戻ろうと思ったんですか?
UNさん:再入社した理由は職場のメンバーとも仲が良く、上下関係なく意見を言い合える風通しの良い職場だったので、戻って働きたいと思いました。
ーー社員同士、上下の隔てなく仲良く働ける環境、うらやましいです!UNさんありがとうございます!では女性の方にも聞いてみましょう。KMさん、よろしくお願いします!早速ですが、KMさんは期間社員のお友達から評判を聞いて入社を決められたそうですね。
KMさん(22歳女性):はい、PEVEで勤務する友人に紹介してもらいました。友人は複数社の工場で勤務しており、PEVEは職場環境と人間関係がとても良いと聞いたので、入社を決めました。
ーーお友達の言葉は何より信用できますもんね!
KMさん:はい!あと、自分自身もハイブリッド車に乗っているので、「働きつつも社会貢献できる」という点においてとても魅力を感じていました。
ーー環境を大切にし、行動に移しているなんて素敵です!本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。では続いて、TKさんにも伺ってみましょう。TKさんはPEVEで期間社員として勤務した後、大手自動車メーカーでもお勤めになられていたようですね?なぜ、またPEVEに?
TKさん(42歳女性):はい。私は近隣の大手自動車メーカーに期間社員として勤務してましたが、期間満了を機に再びPEVEに戻ってきました。戻ってきた理由は作業の教育にありまして、PEVEはその人のレベルに合わせて丁寧に教育してくれるという実感があったからです。
また、勤務形態も前の会社と似ており、その働き方に体が慣れているのも大きな理由ですね。
ーーたしかに、丁寧な教育があると安心感につながりますよね。勤務形態が変わらなければ、慣れるのにも時間がかからなそうです!みなさま、本日は貴重なお時間をありがとうございました!
制作:工場タイムズ編集部