2022年6月に開催された「日本ものづくりワールド」の工場設備・備品展。
出展企業のひとつ、トーヨーカネツ株式会社(東京都)の物流ソリューション事業は、1955年に創業し、物流システムの企画、設計、製作、施工、販売、およびメンテナンスを手掛けている。
社会が直面する課題に対し、革新的かつ先駆的な技術、ソリューションを以って解決することに取り組み、社会の発展に寄与することを目指している。
展示していた「超高密度に商品を保管し、歩行レスピッキングを実現したAutoStore」について、担当者の方に話を伺った。
「AutoStore」とは
AutoStoreとは、超高密度な高い収納効率と歩行レスピッキングを実現するシステムである。
ビンと呼ばれる専用コンテナを隙間なく積み上げて収納する構造のため、通路スペースを削減でき、倉庫の上部空間の有効活用が可能。
また、ピッキングすべき商品が順次供給されるため、従来多くの時間を費やしていたピッキング時の歩行時間を省き、生産性を劇的に向上することができる。
半導体の保管から生まれたアイディア
担当者の方に、開発の背景を伺ったところ、もともとは「いかに半導体を垂直方向に多く保管・ピッキングするために作られた仕組みだった」とのこと。
AutoStoreで半導体を保管する際にも専用コンテナである「ビン」を使用する。
ビンを使用することで箱を数段も重ね、高密度に保管することができるらしい。しかし、箱が何段も積みあがる時に高さ5m以上になることもあり、人がピッキングをするにはどうしても高さの制限が出てしまう。
そこで開発されたのが、ビンの上をロボット台車が走ってピッキングするシステムである。
従来の倉庫内でのピッキング作業は、4割〜6割の時間は歩行時間になるそうだ。
これまで歩行時間に掛けていた時間をトーヨーカネツのAutoStoreを採用することで全てピッキングに充てられるとしたら、作業効率が劇的に向上するのは言うまでもない。
日本のインフラ事業の発展を支える
トーヨーカネツ株式会社では、高密度保管&歩行レスピッキングの開発から販売展開を20年前から独自に進めてきた。
その間に培った経験と知識が、トーヨーカネツが目指す”止めない物流”に活かされている。
また、AutoStore以外にも高密度保管&歩行レスピッキングを実現するマルチシャトル(超高速)やModula(超重量)も扱っている。
物流ソリューションのみならず、次世代エネルギー開発事業やプラント事業など、幅広い分野で日本のインフラを整備、改善に取り組むトーヨーカネツ株式会社に今後も注目していきたい。
取材先:トーヨーカネツ株式会社
URL:https://www.toyokanetsu.co.jp/
制作:工場タイムズ編集部