今年7月、神奈川県海老名市にサントリー専用の焙煎工場が新設されました。その名は「サントリーコーヒーロースタリー 海老名工場」。日本初の高機能焙煎機導入、体験型セミナールーム「ボス クラフトマンズルーム」設置など、サントリーのコーヒー豆焙煎へのこだわりが詰まった新しい工場とのこと。
サントリーコーヒーのBOSSといえば、外国人俳優が宇宙人として工事現場の職人などにふんするCMでおなじみですよね。CMからもわかるように、製造業や建設現場の休憩時間にはなくてはならない存在といえます。
ものづくりの現場といえば、この工場タイムズとも切っては切れない関係。「日本初の高機能焙煎機も気になるし、これは取材に行かなければ!」ということで、サントリーコーヒーロースタリー 海老名工場」に行ってきました!
「ボス クラフトマンズルーム」で、BOSSの商品開発への熱い想いを伺う
当日はメディア向け見学会だったため、様々なメディアの人が。「ボス クラフトマンズルーム」では、産地から製品づくりまで、展示や社員による解説などを通じ、「BOSS」ブランドの品質へのこだわりを体感できる場所になっています。
はじめに、サントリー食品インターナショナル(株)の品質開発戦略部長である三橋守男さんから、BOSSのコーヒー開発についてのお話を伺いました。
「コーヒー豆の産地は、南米のブラジルやコロンビアから南アジアのインドネシア、アフリカのエチオピアやケニアなど赤道周辺に多くあり、その産地を結んだ線を『コーヒーベルト』と言います」
サントリーでは、コーヒーの原料である豆を開発者自らそのコーヒーベルトにある産地まで足を運び、新しい豆を探しているのだそう。
「たとえば、BOSSの缶コーヒーのネーミングにもある『レインボーマウンテン』は、サントリーが探し出した『グアテマラ全国コーヒー協会』が認めた高い品質の銘柄豆です」
実はレインボーマウンテンという銘柄豆を日本で取り扱うのはサントリーが初めてで、BOSSでしか飲めない希少性が高い品種なのです。
「サントリーでは、コーヒー豆の開発にも力を入れています。サントリーの持つ発酵技術をコーヒー豆へ応用し、果実にシャンパン酵母を使って発酵させることで、華やかで気品のある香りの豆を作り出すことにも成功しました」
独自原料を探すだけでなく開発も行うことで、コーヒー豆の本質的な差別化を図っているんですね。
「焙煎豆の味は、焙煎度や熱の与え方によって変わります。最も浅煎りの『ライトロースト』だと苦味は弱いですが酸味が強く、最も深煎りの『イタリアン』になると苦味は強いですが酸味は弱くなります。また、焙煎時間が短いと酸味が強く苦味が弱いスッキリした味わいになり、焙煎時間が長いとコクやボディが強く甘く香ばしい香りになります」
サントリーではこの海老名工場に日本初の高機能焙煎機を導入し自社焙煎することで、焙煎度や熱の与え方を自在に幅広く行えるようになり、なんと30万通りもの香味づくりができるのだとか。焙煎へのあくなきこだわりを感じさせる焙煎機の導入に、今後の新たなレシピづくりが楽しみですね。
小型ロースタリーでの焙煎やカッピングの実演も
奥に見える小型焙煎機で、実際にコーヒー豆の焙煎を実演していただきました。
「ではこちらの焙煎機で、実際にコーヒー豆を焙煎していきますね」
はじめは白っぽかったコーヒーの生豆が、焙煎度と焙煎時間をかけていくにしたがって香ばしい香りが漂いはじめ、だんだん見慣れたコーヒー豆になっていきました。
「焙煎したコーヒー豆は食べられるので、よろしければ食べてみてください」
食べてみると、意外と香ばしくて美味しい!
つづいて、別の焙煎技術開発者の方にコーヒーのカッピングを実演していただきました。カッピングとは、コーヒーの風味や味を判断するために行うもの。耐熱グラスに決まった量の豆とお湯を入れて一定時間抽出したもので行うため、淹れる人による味の差がなくなり比較評価が正確に行いやすいのだそう。
コーヒーをスプーンですくって、大きく音をたてて吸い込むように口にいれているのだとか。
「鼻から香りを抜くことで、コーヒーを舌だけでなく立体的な風味として捉えることができます」
いよいよ高機能焙煎機のある、ロースタリー新工場見学へ!
白衣や帽子に着替え、ここからは焙煎オペレーターの大西さんに導かれて、隣にある焙煎工場の見学に向かいます。
まずは麻袋に入れられたコーヒーの生豆が積まれている場所へ。袋がぎっしり積まれています。
「この袋からコーヒー生豆を選別する機械に入れて、木の棒や石など異物を取り出すんです」
いよいよ、イタリア・ペトロンチーニ社からはるばる取り寄せられた高機能焙煎機が見られる、焙煎ゾーンへ。こちらで先程異物を取り除いた、コーヒーの生豆を焙煎し冷やす作業までが行われます。
「生産用焙煎機が1回で作り出す豆の量は300~400kg。この大規模な生産用焙煎機を2台導入することで、サントリーコーヒーロースタリーが生産する焙煎豆の量は年間で17,000tとこれまでの1.7倍になります」
その量は缶コーヒー約17億本に匹敵するらしいので、高機能焙煎機の威力が伝わります!
焙煎された豆をクーリング槽に移し、攪拌(かくはん)しながら空気を送り込み冷やしていきます。
高機能焙煎機で焙煎された焙煎豆はサイロに運ばれ、種類ごとに分類して袋詰めしていきます。周囲には、焙煎された豆の香ばしい香りがふんわり。
BOSSの豆を抽出したままのフレッシュな「生BOSS」をゴクリ!
工場見学を終えてボス クラフトマンズルームに戻ってくると、淹れ立てのBOSSのコーヒー“生BOSS”がテーブルの上に。いただいてみると、淹れ立て熱々のコーヒーで、とても香り豊かでコクのある一杯でした。
コーヒーのふたの巻き締め“シーマー体験”にチャレンジ!
コーヒーのふたの巻き締めとは、ふたをする前の空洞になった缶の筒の上にふたを載せて機械で締めること。シーマーと言うそう。
こちらにふたを載せて…
機械に置きレバーを倒すと「ガチャン!」という音が。
無事にふたの巻き締めができました!
海老名SAで、「生BOSS」が体感できるサンプリングイベントも実施
最後に工場から移動し、海老名SAで8/7(火)~10(金)まで期間限定で実施されていた、サンプリングイベントに参加しました。
海老名新工場で焙煎した新焙煎豆を使った、こちらの挽きたてコーヒー“生BOSS”を無料配布。新焙煎豆のおいしさを体感しました。
8月7日(火)から新しい缶コーヒーを関東・甲信越エリア限定発売!
「ボス サントリーコーヒーロースタリーズ ブラック」「ボス サントリーコーヒーロースタリーズ 微糖」を、2018年8月7日(火)から関東・甲信越エリア限定で発売。海老名新工場の竣工を記念し、新たに導入した新焙煎豆を100%使っているとのこと。
どちらも高機能焙煎機で焼き上げた焙煎豆で、深煎りでありながら苦味や雑味を抑え、香り高く甘い余韻が続くよう仕上げているそう。実際に2本いただいて飲んでみると、確かに深いコクはありつつも、特にブラックは缶コーヒーにありがちなエグみが全く無くて飲みやすいのが印象的でした!
今回、サントリーコーヒーロースタリー海老名工場を見学してみて、よく自販機で見かけるBOSSの缶コーヒーがとっても熱いものづくりへの想いを込めて作られていたことがわかりました!職人による豆や焙煎へのあくなきこだわりにより、昔飲んだ缶コーヒーよりどんどん進化していて、本当に淹れたてのコーヒーの再現度合いに近づいていると感じさせられます。
実際にBOSSをつくる工場を見学できる!?
ここで耳寄り情報!海老名工場竣工を記念し、そんなBOSSのコーヒーへの熱い想いが詰まった海老名工場見学ツアーが、なんと一般のお客様にも当たるキャンペーンを開催中なんです!コーヒーや工場見学が好きな方はぜひ応募してみてくださいね。
【夢の工場ツアーが当たる!キャンペーン】海老名工場にお客様を10組20名様ご招待!
【実施期間】2018年8月7日(火)~ 9月30日(日)
【賞品】サントリーコーヒーロースタリー海老名工場見学ツアーご招待 10組20名様
・見学ツアー開催日時:2018年12月14日(金)13:00~15:00(予定)
・見学ツアー開催場所:サントリーコーヒーロースタリー海老名工場(神奈川県海老名市中新田5-24-3)
【応募方法】パソコン・スマートフォンからキャンペーンサイトにアクセスし、必要事項を入力のうえご応募ください。
【キャンペーンサイト】
http://suntory.jp/22377/
取材・文:西尾悠希/写真:工場タイムズ編集部
写真提供(一部):サントリーコーヒーロースタリー株式会社