インターンで「作業服(ワークウェア)の可能性」を探っている、アパレル大好き大学生のS根です。前編ではワークウェア業界の今について、株式会社BURTLE(バートル)の森近さんにお話を伺いました。
後編はいよいよおしゃれワークウェアブランド「BURTLE」の取り組みや、今後の展開などについてお聞かせいただきます。そしてワークウェアはどこで手に入るのか?実際お店に行って調べてきましたので、そちらのレポートもご覧ください!
おしゃれなワークウェア = BURTLE(バートル)
ーー数あるワークウェアの中で、BURTLEさんの商品はおしゃれでかっこいいものが多いですね!
「ありがとうございます。弊社はもともと『クロカメ被服』という社名でした。十数年前から時代に合った先鋭的なデザインを意識し、たくさんの企業にご利用いただいていたのですが、だんだんと顧客との間に距離が生まれてしまいました。最先端のデザインのわりに、会社名がださい、今っぽくないと…(笑)。
そこで2011年、クロカメの英語名である『Black Turtle (黒い亀)』から変形させ、『BURTLE』という社名に変更しました。
すると徐々にお客様にブランドを受け入れていただけたのか、年間売上げは25億円から70億円まで増え、今は業界7位に位置しています。
またファッション性のイメージ戦略でも業界内で優位に立ちました。メーカーの中では『おしゃれでかっこいいワークウェアならBURTLE』という印象が浸透し始めています。
企業のワークウェア選定時も、今までは代理店から薦められたものを企業がそのまま仕入れていたのですが、最近では企業側から代理店に『BURTLEのこのモデルが欲しい』とご指名いただけるようになりました。」
ーーつまりBURTLEさんが「おしゃれ作業着」のパイオニアなんですね!ワークウェア業界のイノベーター的存在、かっこいいです。
ワークウェアは実用的な機能満載!
ーー今まではデザインの話がメインでしたが、ここからは機能面について伺います。ワークウェアって、カジュアルウェアにはない機能がたくさん備わっているんですよね?
「ワーウウェアは作業員の使いやすさを求め日々進化しています。例えばジャケットは、胸ポケットに野帳(やちょう。表紙に防水加工が施されたものなど、主に屋外での使用を想定した記録用手帳のこと)を収納できるよう、通常よりも深い構造にしていたり、袖のペン差しも、動きの邪魔にならないよう小さくシャープな設計にしています。
デザインにあまり差が出にくいといわれるポロシャツも、襟を立てやすくしたり、ペン差しを目立たないようにしたりと、かっこよく着ていただけるものになっています。」
ーーたしかに!ポロシャツの胸ポケットにきちんとデザインされたボタンがついているあたり、細かいこだわりを感じます。
「ボトムスも、例えばストレッチパンツには『スーパーストレッチ素材』という伸長率が15%以上あるものを使用しています。
15%以上というのは感覚で言うと、ほとんどの方が履いた時に『これは伸びる』と感じる伸長率です。一般的なものは伸長率5〜8%で、これでも『ストレッチパンツ』と謳っているものがあります。他にもウレタン素材を使用しているパンツは
2~3週間ほどで膝が抜け(弱って穴があいたり、前方に突き出たり)てしまいますが、スーパーストレッチであれば履き心地も良いですし、型崩れもおきにくく長く使っていただけます。」
ーーふだん履いているパンツで伸長率5%ほどなら、15%ではどれくらい伸びるんでしょう?BURTLEさんのHPを拝見したところ伸長率20%の製品もありました。
「カーゴパンツは、サイドポケットが比較的高い位置にあります。これは位置が低すぎるとポケットの中の物が取り出しづらかったり、歩く時に当たって邪魔になるからです。」
ーー作業員の方が作業しやすいように日々改良を行っていると同時に、見た目も重視しているんですね!なんだかワークウェアのイメージがすごく変わってきました!
電動ファンで体を冷やす!作業現場で大人気の『エアークラフト』
「最近、建築現場などで大人気の、近未来的な服があります。それがこの『エアークラフト』です。『電動ファンつきウェア』とも呼ばれるこの服は、分かりやすく言うと扇風機が取り付けられているんです。」
ーー服に扇風機が付いているんですか?
「はい。後ろの腰のあたりに2つ扇風機が付けられます。
これはRYOBI(リョービ)さん(のちに『京セラインダストリアルツールズ』に変更)の小型扇風機とバッテリーを使用していて、通常の電動ファンつきウェアの最大電圧が7ボルトなのに対し、RYOBIさんのものは9ボルトまで上げられるので、より強力な風で冷却することが出来ます。
この『エアークラフト』は建築現場以外にも、製造業や農業をされる方々などにもご利用いただいています。ただし火の気がある場所などでは使用に注意が必要なこともありますので、状況に合わせて上手に活用いただきたいですね。」
ーー夏の屋外で大活躍の予感! 森近さん曰く、「エアークラフト」は作業現場に限らず日常生活の様々な場面で使えるとのこと。例えば甲子園。全力プレーの球児たちを炎天下のもとで応援する保護者の方々などにはまさにピッタリ!
他にもキャンプや釣り、ゴルフなどでも役立ちそう! 酷暑時の熱中症対策グッズとして、たのもしい味方になってくれそうですね!
いま注目の『女性専用サイズスペック』
ーーこうしておしゃれでかっこいいワークウェアに注力されているBURTLEさんですが、他に力を入れていることはありますか?
「今新たに注目しているのが『女性専用』のサイズスペックです。
ひと昔前の工場では、女性作業員はスモック(主に軽作業用の上衣で、丸首で長い丈、長袖のものが多い)を着ていることが多かったのですが、
最近は男性作業員と同じワークウェアを着る方が増えています。そのため、男性用の小さいサイズを着ざるを得ません。男性と女性では体型の寸法が異なるので、女性には女性専用のものを着ていただくのがベストなのです。」
ーー女性が作業しやすい女性用のワークウェアですか。現場には男性が多いイメージがありますが、あえて女性専用の服を作るというのは、何か理由があるのでしょうか?
「弊社の取引先でみると、たしかに女性作業員は全体の7%しかいません。けれど女性が男性と同じ環境で働くことが当たり前になっている今、女性作業員の割合は年々増加傾向にあります。
また企業において女性の発言力が強いという事実もあります。最近は、まず女性作業員のユニフォームを選び、それに合わせて男性のウェアを決めるという流れが増えています。洋服に対してのこだわりが強いのも女性の特徴ですので、とにかく女性にウケるものを販売していく必要があると感じています。
今後は『かっこいいワークウェアならBURTLE』だけでなく、『女性作業員がいるならBURTLE』といったイメージもついていって欲しいですね。」
ーー女性作業員が増えてきているからこそ、女性の目線に立った商品開発を大切にする。これは女性からしても嬉しいことですね!
こんなに高機能でおしゃれ、かつ低価格な「最強の普段着」を実際に購入するとしたら、どうすればいいのでしょうか?
「BURTLEのワークウェアは、ホームセンターなどでも取扱いいただいております。例えば『ロイヤルホームセンター』様などであれば一般の方にもわかりやすいのではないでしょうか。またお店に商品がない場合は取寄せもできますし、もちろんインターネットでも購入いただけます。」
ーーまずネットで調べて、目当てのものが見つかったら近所のホームセンターやワークショップに在庫を確認し、足を運んで試着する、というのが良さそうですね!
森近さん、いろいろとお教えいただき本当にありがとうございました!
ワークウェアを試着!ホームセンターへGo!
後日、都内にある某ホームセンターに行ってきました!
ありましたワークウェアコーナー!一見カジュアルウェアのコーナーかと思いきや、ワークウェアのみを扱っているとのこと。いろいろなブランドがずらりと並んでいて、ワクワクします!
BURTLEさんの商品を発見!特設コーナーもありブランド人気の高さを感じます。カラーバリエーションが豊富!そしてやっぱり価格が安い!
いろいろなベルトが並んでいますが、価格はなんと299円から!見た目はカジュアルウェアとの違いが全然分かりません!やはりワークウェアこそが「最強の普段着」であると確信しました!
まとめ
今回、森近さんとお話をさせていただいている中で印象的だったのは、とにかく「プロに向けた服へのこだわり」を強く持たれていることでした。そして、
「プロ向けの服が、自然と一般の方々に浸透していく」
これが夢であるとおっしゃっていました。
現にプロ向けの服が普段着化されている例はたくさんあります。例えば、誰でも1着は持っているであろうデニムのメーカーといえば「Levi’s(リーバイス)」ですが、最初は港湾労働者向けワークパンツの会社からスタートしました。
「Timberland(ティンバーランド)」や「THE NORTH FACE(ザ・ノースフェイス)」などのアウトドアブランドもまた、元は登山などのプロスポーツに特化したシューズやウェアを製造していましたが、今では街中で着ている人を見かけます。
どのメーカーも最初から一般向けの製品を作っていたわけではなく、あくまで性能の備わったプロ向けアイテムが一般に受け入れられていったのですね。
機能・デザインともに進化し続けるワークウェア。機能的で着やすい上に長持ちで、価格は安く見た目も良い。様々なアイテムと組合わせて着回せるのは間違いありません。
また製造量が多い特徴を活かし、例えばダンスチームなどでユニフォームや衣装を選ぶ時も、サイズ豊富で大量購入しやすいのは大きなメリットではないでしょうか。
ファストファッションや古着が流行している今だからこそ、「最強の普段着」であるワークウェアが街中で大流行しそうな予感がする、今回の企画でした。
取材・文:インターンS根、工場タイムズ編集部/写真:株式会社BURTLE、工場タイムズ編集部/取材協力:株式会社BURTLE