こんにちは。このたびインターン活動で記事を書かせていただきますS根です!普段は大好きなダンスに没頭している大学生ですが、ファッションも大好きで、暇さえあれば買い物に出かけたりと学生生活を満喫しています!
そんな僕はアパレルショップでアルバイトをしているのですが、ずっと気になっていたものがあります。それは「作業服(ワークウェア)」です。学生からするとあまり馴染みのないワードですが、この企画を進めるにつれて、将来は僕たちが街中で着るようなとても身近なアイテムになると確信しました。
そんなワークウェアについて学生目線から感じたことをまとめました。前編はワークウェア業界の今について、後編はいま注目のワークウェアブランドについてご紹介します。この記事を通じてワークウェアへの理解が深まり、多くの方に興味を持っていただけたら幸いです。
作業服(ワークウェア)は『最強の普段着』?
皆さんは「作業服(ワークウェア)」と聞いてどんなものをイメージしますか?少し堅苦しいような、暑苦しいような、あまりきれいな印象は思い浮かばないかもしれません。
けれど今のワークウェアには「おしゃれでかっこいい」デザインのものがあることをご存じでしょうか。見た目もふだん僕たちが着る服とほとんど変わりません。とすれば、むしろワークウェアは機能や強度が備わった「最強の普段着」となり得るのではないでしょうか?
そんな「最強の普段着」を日常のコーデに取り入れていけるのでは?と調査を始めたところ、あるメーカーにたどり着きました。その名は「BURTLE(バートル)」。ホームページが近未来的でワクワクします。掲載されている服もおしゃれなものばかり!さっそく会社に問い合わせたところ、快くインタビューに応じていただけることになりました。
ワークウェア業界の特徴と現状
ーー株式会社BURTLE(バートル)の営業部長 森近浩史さんにお話を伺いました。インタビューにご協力いただきありがとうございます!さっそくですが、最近のワークウェア業界について教えてください。
「ワークウェアは機能性と耐久性に優れた高品質な洋服です。けれど汚れ仕事などで着ることが多い上、普段着に比べ洗濯をする頻度も高いので、必然的に買い替えが多くなります。さらに企業も社員への福利厚生としてワークウェアを支給しているため、低価格であることが重要になります。
そうすると『耐久性に優れながらも低価格』で販売せざるを得ないため、時には『しょせん作業服』と言われてしまうこともあり口惜しいのですが、とにかく『高品質で低価格』であること。これがワークウェアの大きな特徴です。
ですので弊社の商品のほとんどは、大手ファストファッションブランドの商品よりもさらに低い価格で販売されています。」
ーー高品質にも関わらず低価格で販売しなければならない…大変な企業努力をされているのですね。となると、ワークウェア業界はどのようにして利益を得ているのでしょうか?
「この業界で利益を上げる方法は2つあります。1つは大量生産です。ワークウェアは大量購入がほとんどなので、カジュアルウェアに比べて圧倒的に生産数が多く、一度に何万~何十万着生産することもあります。そうするとコストが抑えられますし、製造工場もラインが安定するので快く受け入れてくださいます。
もう1つはリピート購入です。多くの企業は一度ワークウェアを決めると5年くらいは替えることなくそのまま追加注文されます。そのため、継続して利益を上げやすいのです。」
ーー流行の流れが速いカジュアルウェア業界とは違い「大量生産・大量販売」で成り立っているのですね!そんな「高品質で低価格」という消費者にとってメリットのある洋服が、なぜ一般までは浸透していないのでしょうか?
「それはワークウェアが『いかにも作業着』というデザインのものが多いからだと思います。またワークウェア業界はまだまだブランド力が弱いので、一般の方に選んで着ていただくこともまだ難しいのです。
販売経路もインターネットかワークショップの売り場がほとんどですから、一般の方がそのような場所に足を運ぶことはあまりないでしょうし、そのあたりもこれからの課題ですね。」
カジュアルウェアとワークウェアの違い
ーーBURTLEさんなら完全にカジュアルウェアのようなデザインのワークウェアも作れると思うのですが、今後そういった話が進んでいくことはないのでしょうか?
「そう簡単にいかないのがこの業界の難しいところです。作業員は『作業着っぽい服』を着ていることで作業員と認識されます。たとえば、自分の家の建て替えを依頼した時、職人たちが私服のような格好で作業をしていたら、『本当にこの人たちに任せて大丈夫かな』と心配になりませんか?」
ーーたしかに…その通りですね。
「ワークウェアは『企業の顔』となるものですから、その企業の印象にも関わってきます。カジュアルウェアに寄りすぎてしまうと、作業員だけでなく企業の印象、信頼までも損ないかねません。」
ーー私服の人ばかりが働く建設現場は見たことがありませんし、もし見かけたとしたら「このビル大丈夫かな?」と直感的に不安になりそうです。ここは難しいポイントだったのですね。
ワークウェアにも個性が求められる時代
ーーワークウェアを単純にカジュアルウェアのようなデザインにできない理由はわかりました。それでも今、BURTLEさんがおしゃれで個性的なワークウェアを作るのはなぜなのでしょうか?
「町工場では今、ある動きがあります。多くの企業で経営者の世代交代が進み、特に50代のいわゆる『DCブランド世代』が増えてきました。先代までは『作業着なんてなんでもいい』と考える方が多かったのに対し、DCブランド世代はワークウェアをよりかっこよく、おしゃれに替えようとする傾向があります。ワークウェアにも企業による個性が現れ出したのです。
また取引先とお話していると、就職を希望する若者の中に『会社のワークウェアがおしゃれだから』ということが志望動機になっている人が増えているそうです。これは女子中学生が『あそこの高校の制服がかわいいから』という理由で学校を選ぶのと同じで、就活生も企業を選ぶ基準の一つに、ワークウェアのデザインを挙げてきているのです。
こういった理由で近年、企業はさらにワークウェアに関心を寄せています。カジュアルになりすぎず、でも若者に気に入ってもらえるような個性あるものを、という流れがあるのです。」
ーー「企業の顔」となるワークウェアで他社との差別化をはかる。けれど時代の流れにかけ離れてはダメだし、カジュアルに寄せすぎてもダメ。ワークウェアの製造ってすごく大変な仕事なんですね。
まとめ
ワークウェア業界については本当に知らないことばかりで、インタビュー中はずっと驚くばかりでした。特にカジュアルウェア業界との構造の違いについては今まで考えたこともなく、あらためてアパレル業界の難しさと深さ、そして可能性を感じました。
後編ではいよいよ「BURTLE」ブランドの取り組みと今後について引き続き伺います。そして僕がお店に足を運んでチェックした、ワークウェアの買い物レポートもお届けします!はたしてワークウェアは「最強の普段着」になるのでしょうか?どうぞお楽しみに!
取材・文:インターンS根、工場タイムズ編集部/写真:株式会社BURTLE、工場タイムズ編集部/取材協力:株式会社BURTLE