ジーンズなどのデニム製品を好んでよく着用するという人は大勢います。
デニム製品の中でも希少価値が高いとされる「ヴィンテージジーンズ」というお宝コレクションになると、数十万円以上の価格が付けられることもあります。
そのデニム製品が、工場でどのように製造されているかご存じでしょうか?
今回は、デニム製品の加工方法やデニムの製造工程、ジーンズソムリエという資格制度などについてご紹介します。
デニム加工のいろいろ
同じシルエットであっても、ヴィンテージ風からキレイ目まで、加工次第でどんな雰囲気にも持っていけるのがデニムの魅力です。まずは加工のバリエーションからお伝えします。
デニムに風合いを加える「洗い加工」
製造工程の時点では、デニムの色はほとんど同じです。途中段階でわざと色落としを行う「洗い加工」を施すことによって、濃い藍色やヴィンテージ感が漂うケミカルウォッシュなどいろいろな風合いを表現しています。
ワンウォッシュ
藍色一色のシンプルなデニムに用いられる洗い加工です。硬いデニム生地を50~60度のお湯で洗うことで、色を落とすほか、身体に馴染みやすくさせる効果があります。
ブリーチ
古着風のデニムによく見られる、激しく色落ちしたデニムに用いられる加工です。漂白剤を使って洗濯すると色が抜ける原理を応用して、色目に変化をつけていきます。
ストーンウォッシュ
ブリーチと同様に、色落としやヴィンテージ感を出すために用いられる加工です。名前の通り軽石と水とデニムを一緒に洗うことで色を落としていきます。使用する石の種類や量を変えることで、独自の加工を施すことができます。
ケミカルウォッシュ
ストーンウォッシュの進化版ともいえる加工方法です。軽石に塩素をしみこませてデニムと一緒に洗うことで、ストーンウォッシュ加工よりも短時間で、はき古した風合いを表現することができます。
デニムに味を添える「染色加工」
もともとの色合いをいかに落とすかがポイントの洗い加工とは違い、元の色を活かしながら、独特の味や雰囲気を持つ一本を生み出すために行われるのが「染色加工」です。
トッピング
加工済みのデニムに対して、別の染料を加える加工方法です。たとえば、ブルーデニムに赤色の染料を加えることで、深みのある色合いを表現することができます。
藍染め
自然素材ならではの柔らかな色合いを出す際に行われる加工方法です。オーダー通りに染め上げるためには、使用する水素の量や作業時間を見極めることが大切です。
泥染め
タンニンと泥の中の鉄分を反応させることにより、独特の茶色から黒褐色に近い色合いに染め上げる加工方法です。泥の成分により仕上がりの色合いが微妙に変わります。
デニムの製造工程を見てみよう!
デニム製品の製造工程をお伝えします。大きく7つの工程を経て製造されています。
かせあげ
デニム生地の元になる糸をほぐす作業です。
染色
オーダー通りの色合いに仕上げるため、染料を組み合わせて糸を染め上げていきます。
糊付け
生地を織る際に糸が切れてしまわないよう、デンプンや合成ノリで糸をコーティングします。
織布
糸から布へ仕上げるため、織機を使ってタテ糸にヨコ糸を打ち込んでいく作業です。
整理加工
洗濯時にデニムが縮んだり、よじれが起きたりしないよう、完成した布にゴムを通したり、乾燥処理を行います。
縫製
布を20~30程度のパーツに切り分けて、縫い合わせていく作業です。ステッチや縫製方法などブランドによって違いがあります。
洗い加工
仕上がり色のイメージに応じて、洗い加工により色落としを行います。
ジーンズソムリエって何?
デニムへの知識や愛着を活かして、デニム製品を製造したり販売する仕事に就きたいという人に人気なのが「ジーンズソムリエ」という資格です。試験内容や受験資格についてご紹介します。
ジーンズソムリエとは?
ジーンズソムリエ(正式名称:ジーンズソムリエ資格認定制度)は、ジーンズに関する知識と魅力を発信できる人材を育てるため、2013年に創設されたばかりの民間資格です。主催団体は、デニム生産で有名な岡山に拠点を構える「ジーンズソムリエ プロジェクト事務局」。特に受験資格などが設けられていないため、ジーンズ愛好家をはじめ、アパレル業界関係者、ジーンズの製造に携わる製造工など、年間数百人以上の受験者を誇る隠れた人気資格です。
ジーンズソムリエ資格認定制度
認定試験は、「製造工程」「取り扱い方法」「販売方法」など、ジーンズに関するあらゆる知識を問う内容となっており、出題方法は択一形式のテスト+ジーンズに関する小論文の2部構成です。出題される問題は、事前に事務局が発行しているテキストで学べるため、自習形式でプロレベルのデニム知識を習得することができます。
合格すると?
事務局より認定書が発行されるほか、履歴書の資格欄にも記載することができます。特に、アパレル関係や製造関係の職種へ応募する際には、「接客時に製法や加工にまで踏み込んだ商品知識をご紹介できる」「企画・製造段階において、取引先やお客様へ説得力のあるプレゼンができる」といったアピール材料になります。
「デニム好き」と「デニム加工」の知識をアピールすれば、転職活動も有利に
好きなことを仕事にできる人は幸せだと言われます。もし根っからのデニム愛好家なら、ジーンズソムリエの資格を取って、デニムの製造工程などを学びながら、趣味を形あるものへとレベルアップさせてみてはいかがですか?デニム加工などデニムに関する仕事はいろいろありますので、面接や自己アピールの際に「武器」として使えます。面接官からも「単なるデニム愛好家ではない、やる気に満ちあふれた人」と評価されることでしょう。
制作:工場タイムズ編集部