日ごろから私たちが「生活の足」として利用している自動車。自動車が安全に走行するためには、調子が悪い部分や壊れているところを定期的に修理することが大切です。
そんな自動車の安全を守るために整備点検を行うのが、「自動車のお医者さん」といわれる自動車整備士です。クルマ好きな人の中には、なりたいと思ったことがある人もいるでしょう。
では、実際に自動車整備士はどんな仕事をしているのでしょうか?また、自動車整備士になるためには、どのような資格が必要なのでしょうか?
今回は、自動車整備士についてご紹介します。
車の整備をするプロ! 「自動車整備士」
「自動車整備士」の国家資格を取得すると、自動車整備に関する知識と技術を併せ持つことができ、実際に工場で仕事ができるようになります。
自動車はたくさんの部品が複雑に組み合わさってできているので、自動車全体だけでなく部品ごとに幅広い知識が身につくでしょう。
その知識は常にアップデートしておくことが大切です。最近ではハイブリッド車が登場したり、コンピューターを使った自動制御のクルマの研究開発も行われています。ただ、もともとクルマ好きの人たちですから、そういう作業も苦になることはないでしょう。
また、自動車の部品の中には、大きなものや重いものもありますから、体力や腕力があると役立ちます。主な活躍場所は、修理工場やガソリンスタンド、車検専門の工場です。
自動車整備士のお仕事って?
自動車整備士が具体的にどのような仕事をしているのかについて、お伝えします。
まずは、「点検整備」です。故障もなく走っている自動車も、内部の部品が消耗していることがあります。ベルト類やブレーキなどが正しく動いているかをチェックしたり、部品が消耗している場合は交換します。定期的に行う車検も、自動車整備士の大切な仕事のひとつです。
定期的な点検整備とは別に、「緊急整備」という仕事があります。時には「事故にあって壊れてしまった」「突然エンジンがかからなくなった」など、急なトラブルが起こることがあります。その際、どこが壊れているのか原因を突き止め、部品の交換や修理を行うのが、緊急整備の役割です。個人経営の整備工場でも行いますが、大きな故障の場合は自動車メーカーの販売店に修理を回します。
また、「分解整備」と呼ばれる仕事もあります。たくさんの部品を使うエンジンなどを分解し、故障した部分を整備するのが仕事です。自動車の中でも、エンジンやギアはとても重要な心臓部ともいえる部分です。この作業はオーバーホールといわれ、特に専門的な知識や技術を使うため、国から認可を受けた「認証工場」や「指定工場」だけが分解整備をすることができます。
どんな整備士がいるの?
次に、自動車整備士の資格の種類について紹介します。
自動車整備士の資格は一級、二級、三級に分かれます。級が上がるにつれて複雑な技術を検定するものとなっていますので、初心者の人はまず三級から目指しましょう。
三級は、エンジンの種類によって分かれています。燃料によってエンジンの種類は変わりますので、「三級自動車ガソリン・エンジン整備士」「三級自動車ジーゼル・エンジン整備士」などに分けられます。試験は学科・実技ともにクルマに関する基本知識や簡単な基本工作、一般的な修理が出題されます。
また、三級の内容加えて、図面に関する知識が問われるのが二級の資格です。こちらもエンジンの種類によって資格が分かれていて、「二級ガソリン自動車整備士」「二級ジーゼル自動車整備士」などがあります。実技では基本工作、一般的な修理、点検・分解・組み立て・完成検査などが出題されます。
「一級自動車整備士」は二級をより難しくした内容で、自動車の整備について複雑な技術を使うことができます。また車種によって資格が分かれており、大型自動車を整備する「一級大型自動車整備士」、私たちが日常生活で利用するような小型自動車を整備する「一級小型自動車整備士」、バイクなどの二輪車を整備する「一級二輪自動車整備士」などがあります。バイクの整備を行う二輪自動車整備士に関しては、二級や三級の等級もあるので、興味がある人は挑戦すると良いでしょう。
点検や整備を通して、安全な自動車社会を守る
自動車のトラブルは、突発的な巻き込まれ事故以外、ほとんどが未然に防げると言われています。
トラブルの多くは、自動車の部品が劣化していたり、壊れたりしていることが原因です。私たちが安全に自動車に乗ることができるのは、自動車整備士が細かく自動車を点検し、壊れている部分を修理しているからです。つまり、自動車整備士は自動車の整備を通じて、私たちに安全で快適な生活を提供しているともいえます。クルマ好きな人だけでなく、機械いじりが好きな人もやりがいを感じられる仕事です。
制作:工場タイムズ編集部