塗装の仕事とは、誰でも一度は経験のある「ペンキ塗り」のような作業です。
最近では、DIYや日曜大工などで家具工作が人気となっています。家具などを自作する中でペンキを塗ったり、壁を塗り替えた経験がある人も増えているのではないでしょうか。
今回は、そんな塗装の仕事について紹介していきます。
「塗装」ってなに?
塗装とはペンキなどの塗料でモノの表面をコーティングする技術です。色を塗って飾りつけるだけでなく、モノの表面を雨や風から保護し、サビを防止することもできます。または、建物内の通路と部屋の部分を区別するために、塗り分けるといった場合にも塗装が行われます。
塗装の技術では、ハケで塗り、スプレーで吹き付けたりする以外にもたくさんの手法があります。
建築物に使う手法
・ハケ塗り塗料を厚く均一に塗ることができます。・ローラー塗り簡単に広範囲を塗ることができます。
自動車の車体に使う手法
・吹き付け塗装(スプレー)ハケではできない細かい部分も、簡単に早く塗ることができます。
電気を利用して塗装を行う手法
・電着塗装塗料に電流を流して、膜を張るように塗装する方法。部品などの複雑な形状への塗装がしやすいです。・静電塗装電気の+極、-極の性質を利用した塗装。塗装するモノをプラスの静電気で覆い、マイナスの電気を帯びている塗料を吸着させる方法です。・粉体塗装静電気で塗装する方法です。静電気によって粉末の塗料をモノに付着させ、加熱して塗ります。
塗装の仕事とは?
たくさんの塗装方法をモノによって使い分けるのが、塗装の仕事です。ただ単純に色を塗るのではなく、事前に依頼主と打ち合わせて最適な方法を考えます。塗装するモノや材質、状態に合わせて、方法や色などを選びます。実際の塗り作業と同じくらい、この段取りがとても重要です。
塗装するモノは、主に次の三つに分けることができます。
建築塗装
一般住宅から高層ビルまで、あらゆる建築物の外壁・内壁、屋根や床を美しく塗装します。塗装には建物が傷むのを防ぐ重要な役割があります。最近では、模様を描き、建物の最終仕上げをすることも。そのように塗装は、表面の保護だけでなくデザインとしての重要性も増しています。
金属・木材の塗装
金属製品への塗装は、サビを防ぐ効果があります。照明器具や機械部品などの金属製品に施します。木材への塗装は、木の腐りや劣化を防ぐ効果があります。また、家具や机などは、塗装によって木の素材そのものの強さや美しさを引き出すことができます。
自動車やバイクの塗装
自動車やバイクに行う塗装です。新品の生産時に行う塗装があれば、事故などで破損した車体が修理されたあとの塗装もあります。ほかの箇所との色合いを合わせ、傷の見分けがつかないように仕上げます。
また、塗装の作業は大きく三つの工程に分けられます。
下地工程
塗装をする面の凸凹を取ったり、表面にパテと呼ばれる下塗り用の塗装をしたり、サビ止めや耐水の加工をします。マスキングという、塗りたくない部分を隠す作業はこのときに行います。
塗装工程
実際に色を塗ります。色を調合して、周囲と馴染むように色をつくることがポイントです。経験を積むと、わずかな色の違いを目で識別できるようになります。
磨き工程
塗装後に表面をヤスリなどできれいに磨き、仕上げていきます。この作業によってツヤの出し方や品質が変わってきます。
塗装の仕事をはじめるには、熟練の職人のもとに弟子入りし修業する方法や塗装業の会社に就職する方法があります。仕事環境は会社ごとに違います。なにをメインに塗装しているのか、自分の興味があるモノかなどをポイントに、できるだけ自分に合った環境を選ぶと良いでしょう。
塗装に向いている人とは?
塗装の仕事にはどのような人が向いているのでしょうか。
自動車やバイクが好きな人
自動車やバイクの塗装を行う場合、常に好きなモノに関わっているので、仕事がより楽しくできます。自動車やバイクの車種に詳しければ、自分の趣味の知識を仕事に活かすことができるでしょう。
ていねいに進めることが好きな人
塗装の仕事は、細かい仕事が多いです。仕上げなどでも塗り方にムラがないように、ていねいに仕上げます。プラモデルの色付けや細かい塗り絵などが好きな人はこの仕事に向いています。
作業に没頭できる集中力のある人
塗装の作業は集中できる人に向いていると言えます。例えば、色の調合一つにしても、微妙な色合いを出すために、何度も調合を繰り返していきます。集中力を保つことで、納得のいく色を完成させることができます。
まとめ
塗装のやりがいの一つは、自分の仕事がはっきり形となって目に見えることです。建物の外壁は多くの人にも見てもらえます。形として長く残るので、誇りを持って取り組めるのがメリットです。塗装と言ってもいろいろな方法や工程があるので、一つ一つ技術を取得することで活躍の場を広げることができるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部