普段の生活の中で、雑菌やウイルスを気にしている方はどれほどいるでしょうか?
手を洗うことを習慣にしている人でも、身の回りの衣服やスマートフォンに付着する雑菌まで気にする方は多くないはずです。
スマートフォンを例にとってみると、電車のつり革をつかんだ手で操作したり、トイレにそのまま持ち込んだりすれば手と同様に雑菌が付着します。
今回は、そんな身の回りの機械に関する洗浄や消毒についてご紹介します。
機械は定期的にお手入れしよう
家庭やオフィスと同様に、工場でも機械の洗浄は行われています。工場での洗浄は「汚れを落とすための洗浄」と「除菌するための洗浄」に分けることができます。
例えば、菌や虫、汚れなどの異物混入に細心の注意を払う工場では、徹底した衛生管理が行われます。人からの異物混入に注意するだけではなく、製造機械からの異物混入を防ぐため、整理整頓を規則つけた5S活動が実施されています。この活動では、土や泥などの洗浄と、殺菌するための洗浄を区別して行います。そのため、従業員の清掃手順や方法、機材の扱い方・保管方法は、細かく決められています。
また、工場内では機械や汚れによって洗浄剤を使い分けます。食品工場の下ごしらえする部屋では、「手を洗うための洗浄剤」「調理器具を洗うための中性洗浄剤」「除菌するための殺菌洗浄剤」。食品を加熱し、調理する部屋では、加熱調理に使う鍋などを洗うために「油汚れ用のアルカリ洗浄剤」「泡洗浄剤」など、用途によって洗浄剤を使い分けています。
エタノールが大活躍
工場のような洗浄を一般家庭で行いたい場合、多くの種類の洗浄剤や機材を用意するのは大変です。そこで活躍するのがエタノールです。
エタノールとは、消毒作用のあるツンとした臭いのする液体です。注射を打つときなど、皮膚を消毒するためにエタノールが使われています。エタノールはこのような消毒だけでなく、汚れを落とす洗浄剤としても活躍してくれます。
エタノールの種類
エタノールは精製水という不純物の混じっていないきれいな水で、どれくらいアルコールを薄めたかによって三種類に分かれます。
・無水エタノール(別名:無水アルコール)
99.5%以上の濃度のエタノールです。菌を殺すまでもなく蒸発してしまうので消毒効果はほとんどありません。しかし、油汚れに強いという特性を持ちます。
・エタノール(別名:アルコール)
95%前後の濃度のエタノールです。無水エタノールと同様一般的に消毒用として使われることはほとんどなく、医療現場や自動車などの油汚れに使われることがあります。
・消毒用エタノール(別名:消毒用アルコール)
80%前後の濃度のエタノールです。三つの中では消毒効果が最も高く、消毒用にはこの消毒用エタノールが使用されます。
エタノールの特徴
エタノールには、蒸発しやすい、水にも油にも溶けやすい、カビなどを殺す、ウイルスを殺菌できるといった特徴があります。
使用にあたっては、
(1)引火しやすいので、火の近くでは使わない
(2)蒸発しやすい揮発性という特徴を持つので、よく換気しながら使う
(3)手の皮脂までとってしまうので、肌が弱い人は手袋を使う
といった点に注意する必要があります。
消毒用エタノールは一般の薬局やドラッグストアで買うことができます。無水エタノールを用意しておけば、汚れの度合いによって濃度を調節することができ便利に扱えます。例えば、ガスコンロを掃除したい場合は、水でほとんど薄めずに無水エタノールをかけて磨きます。このように濃い濃度のエタノールで磨くことによって、頑固な油汚れなどを落とすことができます。
機械洗浄のコツ
では、日常生活の中での、消毒エタノールを使った洗浄方法をご紹介します。
スマートフォンの洗浄
指で操作したり、頬にあてて通話すると 皮脂や、充電中の発熱によって雑菌は繁殖します。そのため、定期的にスマートフォンを洗浄することが好ましいです。
ディスプレイ表面や本体についた皮脂などは、液晶用のクリーニングクロスに消毒用アルコールを浸して、力を入れずに優しく拭き取りましょう、また、細かい端子部分は手あかなどの汚れがたまっている場合があります。綿棒にアルコールを浸して軽く拭き取れば、清潔に保つことができます。
ただし、ディスプレイ以外のスマホ本体を清掃する場合には、塗装が剥げやすくなる場合があるので注意をしましょう。充電端子やイヤホン端子にゴムキャップの部分がある機種の場合は、劣化させる可能性があるので、ゴム部分にエタノールはつかないようにしてください。
家電の洗浄
電子レンジや電気ポットといったキッチンの家電製品は、使用のたびに洗浄を行うことが理想です。スプレー容器に消毒用エタノールを入れ、掃除したい場所に直接吹きかけて拭き取ったり、タオルに吹き付けて汚れを拭き取ります。消毒用エタノール以外の洗浄剤を使わなくても、ほとんどの汚れが消毒用エタノールだけで対処できるでしょう。
例えば、冷蔵庫は食べ物を入れるので、1か月に1度の掃除が目安となります。冷蔵庫内の掃除には、消毒用エタノールが効果的です。スプレーして拭き取れば、油汚れを落とし雑菌やカビを除去する効果があります。
電子機器
そのほかにも、オーディオ機器やテレビなどの電化製品の掃除に使えます。消毒用エタノールに含まれる水分は精製水なので蒸発しやすいため、電子機器に使用しても問題ありません。心配な方はより蒸発しやすい無水エタノールを使用しましょう。赤ちゃん用のベビー用綿棒にエタノールをしみこませて掃除すると、細かいところまできれいになります。
エタノールで清潔に
エタノールを一つ用意すれば、いろいろな機器の洗浄に使うことができます。子供が家庭にいる場合には、「床や家具などの掃除に洗剤を使うのは不安」という方もいるでしょう。人の手が届き肌に触れやすい部分や、キッチンなどの食物を扱う場所では、より安全な消毒用エタノールを使ってみてはいかがでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部