みなさんは「ロボット」と聞いて、どんな形やシーンを思い浮かべますか?映画やテレビによく出てくる二足歩行の人間型ロボットを想像する人がほとんどではないでしょうか?
しかし、ロボットはそれだけではありません。工場などには、ものづくりをするためのロボットがあるのです。これを産業用ロボットと呼んだりします。
現在のものづくりにおいて、産業用ロボットは欠かせない存在です。ここでは、その産業用ロボットについて紹介します。
工場に必須!産業用ロボットとは?
実は、世の中で使われているロボットのほとんどが、産業用ロボットです。このロボットは、工場などの現場で活躍しています。今まで手作業でやっていたものなどを、ロボットによって自動化することが可能になりました。
日本では1年間で約10万台の産業用ロボットが出荷されています。そして、その7割以上が海外に輸出されているというデータもあります。海外の工場では、日本製のロボットがたくさん使われています。
どのようにして、世界中の工場に日本製のロボットが普及したのでしょうか。1970年代に、不景気になった日本では、企業の経営が苦しい状態にありました。その頃、製造業はとくに盛り上がっていた時期で、多くの人が働いていました。しかし、不景気によって、多くの人を雇うのが難しくなったのです。人は少なくして人件費は抑えても、つくるモノの数は変えたくない。そこで、人手に代わるロボットの開発が日本で加速しました。
どんなロボットの種類があるの?
ロボットの種類は「垂直関節型」「水平関節型」「パラレルリンク型」「直交型」の4つに分類されます。
ロボットメーカーから出荷されているロボットのうち、ほとんどが「垂直関節型」と呼ばれものです。垂直関節型は、人間の腕の動きにより近い動き方をすることができるロボットです。とくに部品の組立てや移動、塗装などで使われています。現在では、人間とほとんど同じように三次元で関節が動き、作業のスピードや精度が向上したロボットも開発されています。
次に多いのが、「水平関節型」。水平に動くアームがついています。なにかを掴んで、決められた場所に置く動きをします。部品の組付け作業などさまざまな場面で使われています。「パラレルリンク型」も同じような作業に向いています。UFOキャッチャーのような形をしていてアームがついているのが特徴です。
「直交型」は、直線上を動くシンプルなロボットです。動きは単純ですが、細かい部品を箱につめたり、部品のねじ締めをしたり、利用できるシーンが多いです。
このように、産業用ロボットにはいくつかの種類があります。しかし、このロボットの多くは人間ほど正確に動くことが難しいです。ロボットは金属でできているので、もとの形を保とうとする金属特有の性質が働きます。この性質によって、ロボットのスピードを上げようとすると、いくつかの問題が発生することがあります。ロボットをつかってなにかを移動させたい場合、意図する場所からズレてしまったり、塗装であれば、必要以上の量で塗装してしまったり。
先ほど、日本のロボットは、海外でも多く使われていることをご紹介しました。その理由の一つに、これらの誤作動が少ないことが挙げられます。このような問題を解決するための工夫や、キチッと制御する技術が優れているのです。
どうやってロボットを動作させるの?
実際に工場でロボットを動かすまでに、二段階の工程があります。まず、人が行っている作業を、どうすればロボットで自動化できるのかを分析します。そのあと、分析でわかったことを元に、必要な作業をロボットに教えていきます。
現在のほとんどの産業用ロボットは、基本的には、ティーチング・プレイバックという方式で動いています。ティーチとは、教える。プレイバックは再生を意味します。その言葉通り、まずは人間と同じ動きをロボットに教えます。そして、一度教えれば、あとは何度でもその動作をさせることができます。
ロボットには多くの部品が使われていますが、主要なものは、モーターとセンサーです。センサーはご存知のように、人間で言うと五感をロボットに応用したものです。そのセンサーを使い、製品や部品などの位置を察知します。そして、察知した情報をもとに、必要に応じた動きをロボットが考え、ロボット内のモーターを動かし作業をしてくれます。
まとめ
世の中ではたくさんのロボットが使われています。一般的に想像するような人間型のロボットではなく、工場などで使われるロボットがほとんどです。これを産業用ロボットと呼ばれることをご説明しました。この産業用ロボットをつかって、モノづくりに必要なたくさんの工程が自動化されています。しかし、できることが限られています。まだまだ、進化する可能性の秘めている産業用ロボット。今後はどのようなロボットが誕生するのでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部