ある日突然仕事がなくなったら…考えただけでも不安になりますよね。そんな緊急事態に私たちの生活を支えてくれるのが「失業保険」という制度。安心の制度である一方、受給期間中に再就職が決まるともらえるはずのお金がもらえなくなる…そんな不安はありませんか？ 今回は、失業保険の受給期間中に再就職すると受け取ることができる「就職促進給付」についてご紹介します。失業時の再就職に対して前向きになれるこの制度、内容を正しく理解して、できるだけ早い仕事復帰を目指すきっかけになれば幸いです。
就職促進給付とは
私たちがなんらかの理由で職を失い、失業保険の申請を行ったとしたら、失業保険の受給日数が経過するまでは転職活動に対して消極的になることが予想されます。そのため、一定期間を残して早期に就職した場合に手当が支給されるという制度が「就職促進給付」です。
就職促進給付には「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」の3種類があり、それぞれについて解説していきます。
なお工場タイムズでは失業保険についても詳しく解説した記事がありますので、そちらも合わせてご覧ください。
再就職手当について
再就職手当とは、失業保険基本手当の受給資格者が安定した職についた場合、基本手当の受給日数がまだ3分の1以上残っていて、支給の要件に該当する場合に支給されます。
再就職手当の申請手順
受給資格者は、就職日または事業開始日の翌日から起算して1ヶ月以内に、再就職手当支給申請書に以下の書類を添えて管轄安定所長に提出する必要があります（雇用保険法施行規則82条の7 第1項）。
受給資格者が就業開始した場合
- 受給資格者証（正当な理由がある場合および電子申請による申請の場合は添付省略が可能）
- 雇用契約書、雇入通知書、採用証明書、派遣就業にかかる証明書など（受給資格者が1年を超えて雇用されることが確実であることの確認を行う場合に必要）
- 離職前事業主と再就職先事業主との資本金・資金・人事・取引先などの状況を記載させた事業主の証明書（受給資格者が1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められる職業に就き支給申請を行う場合に必要）
受給資格者が就業開始した場合
- 雇用保険適用事業所設置届事業主控え（被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険の適用事業主となる場合。電子申請による申請の場合は添付不要）
- 登記事項証明書（上記以外の場合。電子申請による申請の場合に、インターネット登記情報提供サービスの照会番号が付されているときは添付不要。個人事業の場合は開業届の写し、事業許可証その他の事業の開始、事業内容および事業所の実在が確認できる書類）
支給金額の計算と上限額
- 支給日数の残り3分の2以上残して再就職した場合は基本手当の残日数分の70％の金額が支給されます。
- 支給日数の残り3分の1以上残して再就職した場合は基本手当の残日数分の60％の金額が支給されます。
再就職手当は再就職するタイミングが早いほど受給できる額が多くなるため、失業保険の受給中に転職の意欲が低下することを防止する役割を果たします。
※基本手当日額には上限額が設定されております（令和４年7月31日まで）
60歳未満：6,120円
60歳以上65歳未満：4,950円
就業促進定着手当について
就業促進定着手当とは、前項の再就職手当を受け取っている方で、再就職先の6ヶ月間の賃金が前職の賃金より低かった場合に受け取ることができる手当です。再就職した際には前職の賃金と現職の賃金をしっかりと確認し、低いようであれば忘れずに申請しましょう。
就業促進定着手当の申請手順
申請期間
再就職した日から６ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月間
申請書類
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 出勤簿の写し（就職日から6ヶ月間のもの）
- 給与明細または賃金台帳の写し（就職日から6ヶ月間のものを事業主から原本証明を受けてください）
支給金額の計算と上限額
（前職の賃金日額 ー 再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額）
✕ 再就職後6ヶ月間の賃金の支払い基礎となった日数
支給上限額（2022年6月現在）
- 60歳未満：5,840円
- 60歳以上 65歳未満：4,729円
就業手当について
3つ目の就業手当は再就職手当の支給対象とならない常用雇用など以外の形態で就業した場合に受給できる手当です。
申請の手順
4週間に1回、就業手当支給申請書に後述の書類を添えて管轄安定所長に提出する必要があります。
- 受給資格者証
- 給与明細書など就業の事実を証明することができる書類の写し
- 雇用契約書、雇入通知書等労働契約の期間及び労働時間を証明することができる書類の写し（支給申請に係る就業について一の雇用契約の期間が７日以上の場合に限る。）
支給金額の計算と上限額
就業日×30％×基本手当日額となります
支給上限
60歳未満は1836円
60歳以上65歳未満：1,485円
3つの手当を活用して、タイミングを気にせず就職活動を！
これまでせっかく自分のお給料から雇用保険料を支払ってきたのに、いざ失業保険を受け取るタイミングになったら早期の再就職で、もらえるはずだったものがもらえない…そんなネガティブな印象も持ちかねない失業保険という制度。
それを今回ご紹介した「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」の3つの手当があることで、受給できなくなるかもしれなかった金額の大部分を受け取れることがわかりました。この制度を活用して、早期の再就職にもぜひ前向きにチャレンジしてみてくださいね！
未経験からでも働ける職場があります！！
これまでご紹介してきました通り、雇用保険の基本手当をもらうには、就職活動を行い仕事を積極的に探す必要があります。そこで次の就職先を選ぶ際、未経験から働くことができて、さらに高収入の職場を希望する方も多いのではないでしょうか？
そんな方は、就業先の選択肢の一つとして製造業を検討されてみてはいかがでしょうか。製造業は未経験からでも比較的、高収入を期待できる職場が多いのが特徴です。
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