「節約しているのにお金が貯まらない!」その原因は、収入が少ないからではなく、正しい習慣や考え方が身についていないからかもしれません。無理せず自然とお金を貯められる”貯金体質”になるにはNGな習慣を見直して、正しい習慣を身につけることが大切です。
『年収200万円からの貯金生活宣言』の著者で、これまで数々の「貯められない人」を貯金体質に変身させてきた横山光昭さんに、貯金体質になる方法を教えてもらいました。
「貯められない人」がもつ5つの悪習慣とは?
こんにちは、横山光昭です。みなさんの周りに「収入はそれほど多くないのに、毎月着実に貯金をふやしていく人」はいませんか。反対に「十分な収入があるのに手元にはまったくお金が残らない人」もいるはずです。実は貯金ができるかできないかは、収入の額とはあまり関係がないのです。だとしたら、両者の違いはどこにあるのでしょうか。
わたしは家計再生コンサルタントとして、これまで数々の「貯められない人」を見てきました。その中で、彼らにはある共通の考え方や習慣があることに気づきました。それは、次の5つです。
【特徴1】「ちょっと待って」「後で」が口癖
なんでも後回しにして、結局実行しないという習慣です。たとえば、この記事を最初から最後まで読んで「なるほど」と納得したとしますよね。でも、それだけではまったく意味がありません。「貯められない人」は往々にして腰が重く、何事も後回しにする傾向があります。本当に大事なのは、学んだ内容を「実行する」ことなのです。
【特徴2】将来の事を考えるのは「面倒くさい!」
クレジットカードで収入に見合わない買い物をして、毎月の支払いに追われている人は、その最たる例。「とりあえず今月の生活に困らなければいい」と今現在のことだけしか考えておらず、将来のために節約をしようという気も起きません。どうしても浪費が多くなり、先々を見据えた投資をしないのです。
【特徴3】先月の収支がプラスかマイナスかわからない
現状を把握できていない、ということです。「手元にあるお金が尽きなければいいや」と思っていると、収支が黒字か赤字かもわらなくなります。はじめは十分な貯金があったとしても、お金を使うのは簡単です。どんどん貯金が減っていって、気づいたときにはすっからかんということも珍しくありません。
【特徴4】「なぜこれにお金を使ったか」説明できない
お金の使い道を吟味していないと「なぜこれにお金を使ったか」説明できなくなります。たとえば、お昼のランチ代をなぜ支払ったか、答えられますか? 「朝はパンだけだったから、栄養バランスを考えて惣菜を出す店にした。内容に対して割安だと感じたので、このメニューを選んだ」と、スラスラ言えればOK。「お店が近くにあったから何となく」という人は危険かもしれません。こういう人は周囲に流されやすく、本当の意味で自分を大切にできていません。
【特徴5】読書をしない
本を読もうとしない人は残念ながら学習する意欲がない傾向にあります。本は新しい学びの宝庫。将来への投資のために読書はもってこいです。投資への意識が高い「貯められる人」には読書家が多いものです。
「貯められない人」も3ステップで貯金体質になれる!
意識を変えなければ、これらの習慣からいつまでたっても脱することができません。貯金もふえないままですね。そこで私は、「貯められない習慣」を根本から変えて貯金体質になるための3つのステップを考案しました。
1. 「かんたん家計簿」でお金の流れをつかむ
貯金体質の第一歩は、「自分のお金の流れ」を正しく知ることです。これにはやはり、家計簿をつけたほうがいいでしょう。「家計簿なんて面倒くさい……」という人も、心配はいりません。書くのは「アルファベット1文字」と「金額」だけでOKです。
市販の家計簿には「交際費」だとか「娯楽費」だとか、いろんな費目の欄がありますよね。あれって面倒くさいし、考えているうちにどれに当てはまるのかわからなくなってきたりしませんか? それなら食費は「S」とか、交通費は「K」とかでいいと思うんです。アルファベットでなくて、記号やマークでも構いません。大事なのは、自分が何にいくら使っているのかを把握することです。
1カ月経ったら、各アルファベットごとそれぞれの合計金額と、すべてを合計した出費額を出してみましょう。「おっ、意外と交通費を使ってるな」とか「先月よりも飲み代が1万円も増えてる!」とか、いろいろな気づきがあるはずです。お給料よりも、使う額が少なければ、ひとまずは合格。お金が残って貯金ができているということです。
2. 自分の価値観を知る
使って出ていくお金が、お給料よりも多いか同じくらいなら、赤字、または限りなくギリギリだということ。急いで改善策を考えなければなりません。そのとき役に立つのが、「お金の自分軸の作り方」の記事でもお伝えした「消(消費)・浪(浪費)・投(投資)」の考え方です。黄(消)、赤(浪)、青(投)の3色のマーカーを用意して、ひとつひとつ塗りわけていきましょう。
特に注目してほしいのが、青(投資)のマーカーです。このマーカーで塗られているのは、あなたが大切だと考えている項目だからです。食費に「投」が多ければ、食べることが人生の豊かさにつながっているということ。無理に節約しようとすれば、人生の豊かさまで失われてしまいます。
こんな場合は、食費は少しくらい多くてもよしとして、そのぶんを他の項目でまかなえばいいのです。特に「浪」のマーカーがついている項目に注目しましょう。たとえば交際費に「浪」のマーカーが多ければ、なぜ自分がそれを浪費だと思ったのか、あらためて考えてみてください。「友人に誘われてしぶしぶ参加したけれど、実はあまり興味のない会合だった」など、自分の価値観が浮き彫りになってくるはずです。自然と、次からはムダな会合には参加しなくなっていくでしょう。
流されて出費することを避け、自分が大切だと感じることにお金を使う。これは、単に節約のためだけでなく、自分を大切にし、希望通りの人生を手に入れることにもつながります。
3. 「自分との小さな約束」をする
自分の価値観がわかってきたら、それをもとに次の月の目標を立ててみましょう。そんなに大きな目標ではなくて、「自分との小さな約束」程度のもので構いません。「浪費につながっているな」というということをやめたり、「こうしたら浪費をなくせるのではないか」「自分の価値観を見直すのに役立つな」と思うような習慣を新しく始めるのがコツです。できるだけわかりやすくて取り組みやすい目標を1つ、「かんたん家計簿」の次のページに書いてみましょう。
浪費をしてしまうのは、自分にとって本当に大切なものがわかっていないということ。それに気づくという意味では、限りあるモノや時間をどう使うか考えるのも有効です。また、本当に大切なもののために、ときにはグッとガマンする力も必要でしょう。
たとえば、次のような目標なんてどうでしょう? これらはお客様に試してもらい、実際に効果が出たというものばかりです。
・いらないものをきちんと捨てる
・1日の時間の使い方を変える
・「ほしいものリスト」をつくる
目標を決めたら、それを頭の片隅に置き、また1カ月間「かんたん家計簿」をつけます。今度の1カ月は前の1カ月より、きっとお金のやりくりが上手になっているはずです。最低でもこの3ステップを、3カ月は繰り返してみてください。長く続ければ続けるほど、貯金体質があなたに根付いていきます。
お金の使い方にはその人の人生があらわれる――。大げさではなく、これは真実だと思っています。このプログラムで「貯められない人」から「貯まる人」に変身し、人生をよりよいものに変えていきましょう。
取材・文/Tokyo Edit 撮影/河野英喜 イラスト/コダイラショウヘイ デザイン/小久江厚(ムシカゴグラフィクス)