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無理せず貯金できちゃう『お金の自分軸』って何? | 家計再生コンサルタント・横山光昭 特別講義②

2019/01/23公開

ついついムダ使いしてしまい、給料日前はいつもお財布がさみしい……なんて人はいませんか? それは、自分にとって何が価値あるお金のつかい方で、何がムダづかいなのかという「お金の自分軸」ができていないからかもしれません。

「お金の自分軸」ができれば、周りに流されず、自分が本当に価値を感じるものだけにお金を使えます。その結果、自然と自分が望む人生を生きられるようになるのです。そんな「お金の自分軸」をつくるには、どうすればいいのでしょうか。『年収200万円からの貯金生活宣言』をはじめ、数々のベストセラーをもつ家計再生コンサルタントの横山光昭さんに教えてもらいました。

自分の価値観を知ることが貯金体質の第一歩

「貯金体質になるには、“お金の自分軸”が必要」と語る横山光昭さん

貯金体質になるのに必要なのは、自分の価値観をはっきりさせること。完璧な人間なんていませんから、「今日は飲み代がかかりすぎちゃったな」とか「スマホゲームだけはやめられない!」ということもあるでしょう。何かへの依存心があっても、意志が弱くてもいいのです。しかし「自分はこれを大切に思う」という根本の思いがなければ、あらゆることに流され続ける人生になってしまいます。

たとえば、クレジットカードでの買い物は収支がわかりにくくなるのでお金の管理が苦手な人は避けたほうがいいと言われます。しかし、その人にとってクレジットカードのポイントが貯まることや割引が、他には替えられない楽しみだったとしたらどうでしょう。無理やりやめることで、生活の豊かさが半減してしまうかもしれません。

このような場合は、手数料のかからない1回払いのみ利用する、ブランドデビットカードを選んで使った分はすぐに口座から引き落とされるようにしておくなど、工夫すればいいのです。このように「自分が何を大切にしているのか」という自分の軸を知ることで、マネー戦略もおのずと見えてきます。

収入が少なくても着実に貯めていく人もいれば、お金持ちでも貯金がまったくないという人もいます。両者の違いは、自分軸があるかどうか。どんな人でも、月々の収入には限りがあります。支出の優先順位をつけずに「あれも、これも」とお金を使っていれば、大金もあっという間になくなってしまいます。

出ていくお金は「消・浪・投」にわけられる

この「お金の自分軸」をつくるために大切なのが、使うお金を「消費・浪費・投資」の3つに分けるという考え方です。頭文字を取って「ショウ・ロウ・トウ」とテンポよく覚えましょう。

支出を「ショウ・ロウ・トウ」にわけると“お金の自分軸”が見えてくる

「消費」とは、生活するのに必要不可欠なものへの支出を言います。食費や家賃、水道光熱費、教育費、被服費、交通費などが、これに当てはまります。ふたつめの「浪費」とは、いわゆるムダづかいのこと。生活に必要でないうえ生産性もなく、今を楽しむためだけのためのものです。タバコやお酒、コーヒーなどの嗜好品、ギャンブルのかけ金、高すぎる金利などを指します。

3つめの「投資」は、生活に必要不可欠ではないものの、将来の自分に貢献しそうなものに使うお金です。貯金や資産運用の元金だけでなく、習いごとのレッスン料や勉強のための書籍購入費なども含みます。

いわずもがな、一番に減らしていただきたいのは「浪費」です。次に「消費」の中でかたよりがある部分を見つけ、それを減らしていくのがいいでしょう。気をつけていただきたいのは「とにかくお金を使わない」と“節約の鬼”にならないことです。「浪費は絶対にしてはいけない」となると疲れてしまいますよね。消費を切り詰めすぎる生活も長くは続きません。

未来につながる「投資」のお金については、むしろ積極的に使ってほしいくらいです。適切な「投資」をすることで人生に変化が出て、内面的に豊かになっていくからです。

「消・浪・投ボックス」で貯金体質をつくろう

お金を払うときは「これは消費? 浪費? それとも投資?」と、立ち止まって考えてみましょう。はじめてすぐの時期は判断に迷うことがあるかもしれませんが、3カ月もすれば即答できるようになります。これこそが「お金の自分軸ができた」ということなのです。

大事なのは「いくら使ったか」ではありません。「何にどのくらい使ったか」と気にしてほしいのです。これには、1カ月のお金の流れを正確に知る必要があります。

「自分でお金を使っているんだから、そのくらいわかるよ」と思っていませんか? クレジットカードなどを使っていると、月々の収入や支出をきちんと把握するのは意外と難しいもの。先月の収支がプラスかマイナスかさえもわからない、という人だって結構いるんです。

「収支を把握する」と言っても、難しいことは何もありません。3つの箱を用意してそれぞれに「消」「浪」「投」と書き、レシートをポンポン入れていけばいいのです。ネットショッピングやクレジットカードの明細書も、忘れずに入れてくださいね。

「消・浪・投ボックス」でお金の現状把握をしてみよう

「食費は消費」「レジャー費は浪費」などと決まっているわけではありません。食費でもいろいろなレストランに行くことで仕事の幅が広がっていく、という場合や、レジャー費でもそこでできた人脈がビジネスに役立ちそうだ、という場合などは、投資になるかもしれません。

また、同じ項目の中でも「これは消費だけど、これは浪費」というものも出てくるでしょう。最初のうちは面倒でもひとつひとつじっくりと向き合い、考えてみてください。

1カ月が過ぎたら、箱をあけてみましょう。「浪」ボックスにはレシートがドッサリ、「投」ボックスには数えるほどしかなかった……という人もいるかもしれません。

でも安心してください。今大事なのは、お金の流れを知ることです。それぞれのボックスのレシートの合計金額を出して、メモに書き出してみてください。

理想的なバランスは「消70・浪5・投25」

メモに記入するときは、「消=黒」「浪=赤」「投=青」などと色分けしておくと、あとからまとめて見返してもわかりやすいです。金額を記入し終わったら、それぞれが全体に占める割合を計算します。たとえば、消費の合計額が16万5,000円で手取り月収が21万円なら、下のような計算式になります。

16万5,000円 ÷ 21万円 = 0.785 → 78.5%

3つの割合が出たら、それを棒グラフ化してみましょう。メモやノートの罫線を使い、1目盛りを10%とすると書きやすいです。私はいつも、「消・浪・投」の理想的なバランスとして「70・5・25」をご提案しています。これは、私が現場で「お金の使い方が上手だなあ」と感じた人たちが実践していた割合です。

理屈だけで考えると、浪費はゼロにするのが理想かもしれません。でも、それで疲れてしまって、節約が長く続かないというのでは、意味がありませんね。「ときどきはムダ遣いをして息抜きをしてもいい」と柔軟に考えましょう。

浪費とは反対に、投資は意識しないとなかなかできないものです。実際に家計簿をつけるとわかりますが、20%も難しいくらいです。将来につながる自分への投資は、積極的にしてほしい。そんな思いを込めて、それよりも高めの25%としてみました。

この割合をグラフにしたのが、下の図。あなたの棒グラフは、この図と比べてどうでしたか?

「消・浪・投」の黄金バランスは70:5:25

たとえば、浪費が想像以上に多かった人は、お酒や食べ物、人間関係などに依存しやすい性格かもしれません。投資が少なすぎる人は、視野が狭まり気味で、今現在のことしか考えられていないのかもしれません。消費が大部分を占めていて浪費や投資がほとんどないという人は、ストイックに節約しすぎているのかもしれません。

「投資にお金を使わない人はキケン」と横山光昭さん

よくあるのが、消費と浪費のみで投資をほとんどしていないパターンです。投資をしていないということは、お金をふやす努力をしていないのと同じ。これでは今のところは自転車操業で収支が回っていても、仕事を辞めて収入がなくなったとたんに生活が立ち行かなくなります。

投資はこれから花開く「収入のタネ」をまくことです。例えば、収入アップのために必要な資格の勉強のためにお金を使ったり、老後のために自分自身で運用しながら積み立てる個人型確定拠出年金(iDeCo)をはじめてみたり。将来のお金の不安に備えるためにも、意識的に投資をしてほしいと思います。

まずは浪費の中でカットできるものはないかを考えてみましょう。次に消費の中でお金を使いすぎている項目はないか確認してみましょう。これらを投資にまわしていけば、だんだん理想のグラフに近づいていくと思います。その頃にはあなたの中にも立派な「お金の自分軸」ができるでしょう。自分にとって本当に価値あるものだけにお金を使えるようになっているはずです。それがまさに、貯金体質に生まれ変われた瞬間なんです。

横山 光昭(よこやま・みつあき)

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。 お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、これまで15,000人以上の家計を再生させてきた庶民派ファイナンシャルプランナー。“未来のおかね”を学べるお店「mirai talk」の共同代表も務める。メディア出演、執筆、講演も多数。著書に累計57万部を超えた『はじめて人のための3000円投資生活』、累計100万部を超えた『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズがある。

取材・文/Tokyo Edit 撮影/河野英喜 イラスト/コダイラショウヘイ デザイン/小久江厚(ムシカゴグラフィクス)

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